2026年映画初め。
ようやく洲本で掴まえた「ふつうの子ども」。観客は私一人、貸し切り。
大丈夫か洲本オリオン。
エンドロールで湘南の学校の名前があったが、神奈川県辺りのどこかの小学校が舞台。
ぼんやりした感じだが憎めない唯士(嶋田鉄太)が自宅のマンションを飛び出して学校へ向かうオープニング。
キャメラは終始揺れていて、とどまらない。時にデ・パルマ並にぐるぐると対象人物の周りを廻る。その軽やかさが風のようで心地よい。
小4のクラス、作文の朗読で「うんこ」とかなんとか幼稚な事しか言えない唯士、しかしクラスメイト心愛(瑠璃)は地球温暖化を憂える文を読み上げ、自説を述べる。「極端だね」と担任教師。が、唯士は心愛に惹かれていく。粗雑だがオトコマエの陽斗(味元耀大)がそんな唯士にちょっかいを出す、心愛は陽斗に気が向く。
唯士のゴニョゴニョとした喋り方は時に聴き取りにくいが、そういう事よりもキャラクターとしてのゴニョゴニョを優先しているように見える。
三角関係な子供たちは「環境問題喚起」の行動に出る。ビラ配りがやがて実力行使へとエスカレーションしてく行く。
連合赤軍も日本赤軍もこんなエスカレーションだったのかも知れない。そんなメタファーではないかも知れないが、子供たちは敢えなく「挫折」する。
保護者たちは学校に呼び出される。心愛の母親(瀧内公美)の登場で、画面が瞬速でピリつく。
子供たちの自然に見える演技も呉監督の周到かつ微細に演出した結果である事は自明だが、この瀧内の言葉、容姿、動きが「大人の世界=社会」として、心愛の説く「環境問題への大人の無関心」を呑み込むスリルが堪らない。
「台風クラブ」('85)の学級担任(三浦友和)の言葉「15年経ったらお前は俺になるんだよ」を思い出す。
「製作」に10人の名前が。バジェットは想像がつく低予算だが、素晴らしいキャスティングとスタッフワークで見事という他ない。
佳作、お勧め。淡路島へ急げ。