1万人の大合唱が大阪城ホール全体に響き渡る。左右から前後から、そして上からも。身体が震える、心が震える。佐渡裕マエストロの全身に漲るエネルギーに導かれ、ついにフィナーレ…🎼〝Tochter aus Elysium〟から高らかなる🎼〝Freude, schoner Gotterfunken, Gotterfunken〟、そしてオーケストラの響き。最期の音に向かってタクトを振り上げる佐渡さんの表情を目にした瞬間、会場中から湧き起こる拍手を耳にした瞬間、こみ上げてくるものが抑えられない。今思い出しても…やばい!
2025年12月7日(日曜日)、1万人分の1人だけど、1万人が一つ(まさに小学1年生から98歳までみんな兄弟=Brüder) になったと心から感じた瞬間。


本番当日はドレスコードに従いタキシードに蝶ネクタイ、これぞ馬子にも衣裳。初参加のにわかテノールだけど、恰好だけは一人前。否が応でも緊張感が高まってくる。午前はゲネプロ、16:30から本番。オーケストラの美しい演奏が始まり、宇宙の始まりのような第1楽章、生命力を感じる第2楽章、美しくて温かい大好きな第3楽章、そして…いよいよ第4楽章。ワクワクとドキドキが交錯。独唱に続きいよいよ第一声〝Freude!〟。会場の圧に負けないように声を張り上げた。私の周りはベテランの方ばかりなので心強いが、負けないように、でも迷惑をかけないように自分の声に集中。声は腹から出ているだろうか?喉の奥の空間に響いているだろうか? なにより愛する人に届いているだろうか?
テノールパートは「ド」からオクターブ上の「ラ」まであって、五線譜から飛び出ている高い音は素人の地声では厳しい…、とはいえ年輩の方でも声が出る出る。そしてこんなにたくさん「巻き舌」ができる人がいるなんて。私は結局、最後までできませんでした。
それでも、合唱指導してくれた下村郁哉先生の、「みんなで仲良く、平和に、それぞれを思いながら、大阪城ホールいっぱいに歌いあげてください」というエール。佐渡総監督による直接指導…通称「佐渡練」での、「1万人が繋がっている、全員を感じる、1万人でしかできない音楽を創るのだ」というメッセージを胸に、とにかく、間違えないように気をつけ、精一杯歌って、本当にアッという間の素晴らしい、夢のような時間でした。

8月末からレッスンが始まり、ここまで瞬く間に駆け抜けた3ヶ月半。
の頃は、
- 声が出ない!…喉ではなく横隔膜を意識して腹から声を出せとか、口の奥に空間をつくって響かせよとか、言葉で言われてもわからないことだらけ。
- 音がとれない!…私はテノールパート。楽譜を見てはじめて知ったテノールのメロディ。さらに混声四部合唱。あ~も~、いろんな声が聞こえてくるし!
- ドイツ語発音が難しい!…母音(長母音、短母音)に子音(無声子音、有声子音)、ウムラウトなど日本語とは全く異なる独特の発音に悪戦苦闘。
初体験の私にとって、
① まずはドイツ語歌詞を覚える(本番は暗譜)、
② そしてテノールパートのメロディを覚える
③ 次に歌詞の意味、歌詞に込めた想いを考え、歌にする
④ できれば独りよがりにならず、4つのパートによる合唱のハーモニーを感じる
と段階的な目標をたてて取り組んできました。
①②は多少怪しいながらも、レッスンのおかげでなんとか乗り越えたものの、とにかく間違えずに歌うことで精一杯。
③はまだまだ。「ここは紳士のようにカッコよく」とか、「ここは喜びが前面にはじけるように」とか、「ここは艶やかに」とか、気持ちを歌に乗せるのは本当に難しい。そんな中、西尾岳史先生がレッスンで教えてくれた、
- 🎶Ahnest du den Schopfer, Welt? の〝Welt? 〟はもっと力強く。たとえば、ポテチの袋を中身が飛び出るくらい力をためてパァンって開けるイメージ。思い切り強い問いかけなんだから
- 🎶Tochter aus Elysium の〝Elysium〟は…、そうやなぁ、みなさん温泉にはいったら『あぁ、極楽』って言いませんか?そんな至福の感じで。今日からお風呂に浸かったら、心を込めて〝Elysium〟って言ってみてください
の例えは絶対に忘れません。
④に至っては、自分のテノールパートに一生懸命で他のパートを聴く余裕もないのですが、それにしてもアルトとバスは難しい。でもこの2つの下支えのおかげでテノールやソプラノが輝くことができていると感じます。
8月からは第九が生活の一部になり、寝ても覚めても、何をしていても第九が頭の中を駆け巡っています。ときには夢の中にまで…。1日1回は歌わないと気持ち悪い。佐渡裕さんをはじめ、小澤征爾さん、カラヤン、広上淳一さんなど、何度、私の歌の練習に付き合ってもらったか、演奏してもらったことか。
これまで漫然と聞いていた第九が、知れば知るほど、その深みにはまっていく。なんて思いやりがあり、温かく、寛大で、歓喜に溢れた楽曲なのだろうと。まさに第九に出逢えた喜び‼️
佐渡さんの第九を生で聴けて、しかもそこに参加しているなんて、なんて贅沢。
みなさん、ほんとうに素晴らしい非日常をありがとうございました。来年またお会いしましょう。
Freude‼

(PS.)
新大阪にて、帰りの新幹線が動き出すと同時に、なんと隣のホームにドクターイエローが入線。慌てて撮ったのでこんな画がやっとですが、最後の最後までラッキーな旅。

(おわり)
にほんブログ村