(だいぶ間が空いてしまったので、前回のエピソードも添付しておきます)
ギャラリー・ラファイエット。パリの中心オペラ座界隈に堂々とかまえるフランスを代表するデパート。添乗員やガイドに必ず紹介されて、多くの人が思い出の品、お土産、或いはブランド品を求めにやってくる。
安藤さんは、姉と兄、そして奥さん四人でツアーに参加されていた。会社経営者の彼が、既に連れを失くした姉と兄を旅行にお誘いしてでの参加だった。彼らは旅行の締めくくりとして、ギャラリー・ラファイエットにお土産購入にやってきた。
無事に使命を果たし、最後は人混みに疲れ果ててデパートを出ようとしたその時だった。姉がフランス人の男性に声をかけられた。フランスを全く理解できないので、訳が分からず目をぱちくりさせていると背後から日本人女性が現れた。(当時は日本人スタッフが常駐していた。今はいない)
「失礼いたします。日本の方ですか?」
「はい。そうですが。」
「本日は、ご来店いただいてありがとうございます。あの、こちらのお財布はお客様の物で間違いないでしょうか?」
「あ!」
姉は驚いた。間違いなく自分の財布だったからだ。
「どうしたんだ姉ちゃん。」
先に歩いていた安藤さん夫妻と兄が気づいて戻ってきた。
「どうしてあなたが私のお財布を持ってるの?」
姉は動揺しながら尋ねた。日本人スタッフは、その様子を優しく受け止めながら、丁寧に対応を始めた。
「落ち着いて聞いてください。お客様はスリに財布を盗られまして、それをこちらの刑事さんが取り返してくださいました。」
声をかけてきたフランス人男性は刑事だったのだ。
「やだ!そうなの?全然気づかなかった!・・・え?いつ?」
「3時くらいでしょうか。」
「そんな前に!どうしてすぐに返しに来てくれなかったのよ!」
デパートに入ってから2時間経っていた。動揺と驚きが彼女の感情を昂らせて声が大きくなった。
「姉ちゃん落ち着いて!届けてくれたのにそんな言い方ないだろう。そもそも盗られたのは自分の責任だろう?」
その通りだ。姉は、耳まで真っ赤にしたままで俯いた。
「お気になさらないでください。」
店員は落ち着いていた。
「それにつきましてはオフィスでお話いたします。お財布の中身も確かめていただかないといけませんし・・・」
刑事がスタッフの耳元でなにか囁いた。スタッフが微笑みながら頷いた。
「そうですね。いろいろご協力いただいたお礼もきちんとしたいですし。」
「協力?」
「はい。とりあえずオフィスにいらしてください。」
つづく


高級感あふれるギャラリーラファイエットのメイン棟。最近の日本人は、かつてほど買い物をせず、写真だけを撮りに訪れることも多い。


屋上は展望台になっている。目の前にはオペラ座、遠くにはモンマルトルが見える。
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