ガラパゴスからの船出

時代の潮流から随分外れた島に浮かぶ音楽ブログです。お気に入りの曲(2000年代後半が多め)の感想や好きな部分をひたすら垂れ流します。

anNina/対象a

以前も書いたんですけど、私「ひぐらしく頃に解」からアニメを見ちゃったんですよね。なんかわからんけど怖い雰囲気で日常が壊れて、バッドエンドで終わるっていう。無印ではレナや魅音、沙都子の狂気に打ち震えるんですが、私の中では彼女達は最初から良い子なんですよ。後から無印見たり原作やったりして「えっ、こんな子なの!?」って驚いたもん。

 

さて、そんな二期EDとして流れてくるのが、anNinaの「対象a」という曲。

残酷な物語のEDが、こんなオシャレなネオソウルなバラードだなんて…!深夜の誰もいない部屋で聴く曲。ピアノやウッドベースといったジャズの編成なんだけれど、ストリングスの旋律が哀しさを誘い、ボーカルAnnabelのしっとりとしつつ少しウィスパーな歌声が、どんよりとした心に毛布をかけて「おやすみなさい」と言ってくれるようだ。一番の上品な編曲も好きだけれど、アレンジが入った二番の編曲も好き。Bメロでピアノがメロディーと同じフレーズを弾いたりね。

 

また、bermei.inazawaの作る曲は、絶妙な電子音の配置が気持ちいいんですよね。ただのアコースティックなジャズでは終わらない。点滅する信号のように、消えいくもののカタルシスを含んでいるように思えてしまう。そうして進んだこの曲。最後には音の数が少なくなって、最初から何もなかったように収束していくのがね。

 

そしてこの曲を名曲たらしめているのが、「あなたの亡骸に土をかける」から始まるinterfaceの書く歌詞。曲名の「対象a」というのは、人が決して満たせない「欠如」を意味するらしい。ネタバレを避けるように書くけど、このアニメ(原作を含む)は、そのどうしても手に入らない未来をずっと追い求めていく話なんですよね。カケラを拾い続けて未来を想うのが罪なのだろうかと自問自答して、早く夢が終わらないかと、永劫とも言える時間を過ごしている。どこか諦めているようで、それでも天文学的な確率の希望を願う、救済の歌なんですよね。抽象的な言葉が並びつつも、ちゃんと本編とシンクロしているのです。

 

やっぱりこの曲は、禍々しさと悲しさを描いた無印の曲じゃない。哀しさと希望を描いた「解」の曲なんですよ。

The Avalanches/Because I'm Me

楽曲から鳴る全ての音がサンプリングという狂気のアルバム「Since I Left You」を2000年にリリースし、そこから16年もの間音沙汰がなかったThe Avalanches(ミックステープは出していたけれど)。そして2016年、突然世界に放ったアルバムこそ「Wildflower」である。

 

そのニュースを知った私は「えっ、まだ活動してたの!?」と驚いた。でもまあ膨大なサンプリングでアルバム作るんだから、それぐらい時間もかかるよな…でもかかりすぎじゃね…?などと頭をグルグルさせつつ期待しながら、ようやく聴いたのがこの「Because I'm Me」。

曲が始まるのは1:06~

出た!Avalanches得意のちょっぴりコメディ、でも素敵なMV!そしてHoney Cone「Want Ads」をサンプリングしたソウルフルなトラック!そこに乗る男の子の可愛らしいボーカルのサンプリング。Avalanchesが帰ってきたんだ!

 

しかし、しかしだ。今までのAvalanchesとは大きく違う部分がある。一つはわかりやすくラップが入った部分。これもサンプリングなのかなと思ったら、Camp Loというラッパーがラップを担当していた。鳴る全ての音がサンプリングだったAvalanchesにしては、幾分新しいアプローチである。

 

そしてサンプリングの構成。今までは色んな楽曲から色んなパートを持ってきて、それを並べてパッチワークのように一つの楽曲を完成させるイメージだったが、Honey Cone「Want Ads」を軸に、様々な声ネタを散りばめている楽曲になっている。16年の時を経て、サンプリングのスタイルも変わったようだ。

 

でもね、カッコいいからいいんですよ。センスの塊みたいな曲なんですよ。Avalanchesの楽曲にラップがこれほどまでに合うとは!まあ2000年の「Frontier Psychiatrist」なんて会話のサンプリングを軸に曲が構成されていたから、ラップと相性が良くても不思議じゃないよね。

 

この曲、ホンダのCMなんかにも使われていました。

ナレーションが石野卓球っていうところが、またいいよね。

 

ちなみに私はこのアルバムを気に入りすぎて、あつ森のスマホのデザインをこのジャケットにしていました。これもサンプリングの一環なのです。

 

B-DASH/ちょ

どういう経緯だったかも、そこにいたメンバーの顔も名前もうろ覚え。でもそんな大学生の飲み会の時に聴いた曲だけが、ずっと記憶に残っていることって人生にはあるんじゃないだろうか。たぶん。

 

その飲み会後のカラオケで初対面だった同じ大学の女の子が、何気なく選んで歌った曲がB-DASHの「ちょ」だったんですよ。

驚くよね。カラオケの画面にさあ、全く意味のわからない「おーううぇーん瞑あーらさっちゅ Way a そーれー峯圓冥」とか「医療隊マッカラ号 立派な拳法界 正方位」っていう歌詞がずーっと続くんだもん。でも声に出して歌ってみるとわかるけど、口が気持ちいい感じ。スルスルと歌えるんですよね。

 

メロコア全開のこの曲は、英語に聴こえるような日本語を並べて作ったものらしい。確かに歌詞見なけりゃそれっぽいよね。マキシマム ザ ホルモンの亮君もガッツリ影響を受けたようで「B-DASHの言葉に自分の言葉を乗せるしかねえなって思って始めたのがホルモン」とまで言うぐらいだ。

 

これをカラオケで女の子が歌うんだから、カッコいいよねえ。その子の連絡先すら聞かず、私はこの曲名を記録して、音源を探したのであった。そして長い月日が経った今、今度は私がカラオケで「びすぱんでい」しているのだ。

fripSide/with a smile

fripSideが三期になってから早や3年。三期の中で一番好きな曲を決めろと言われるとかなり難しいんだけど、候補の一つがこの「with a smile」かなあ。

見たまんま、ひーちゃんこと阿部寿世がとにかく可愛い曲なのだけれど、fripの中でも屈指のポップな曲なんですよね。イントロのピアノのバッキングからして90年代のaccessっぽいのよ。全体的に「夢を見たいから」感あるよね。今までのfripだったら絶対やらなかった曲。satが提供した「STAR☆CARNIVAL」が一番近いかな?

ひーちゃんは元々北海道のローカルアイドルだったそうだけど、声質がなおすんと初期ジョルノの間ぐらいの感じでfripの曲との親和性が非常に高く、よく見つけてきたなあとしか言いようがない。そんなひーちゃんの声やキャラクター、ビジュアルをソロで活かすにはこういう曲だ!というものをしっかりと作ってくるsatのプロデュース力が一番凄い。

 

歌詞も「ここから動き出す新たなstage」「これから続いてく新たなstory」とか、fripボーカル三代目としてデビューしたひーちゃんの心境っぽいんですよ。この曲の作詞はひーちゃんとsatの共作なんだけど、fripをずっとやってきたsatの親目線(?)な感じが全体的に漂うから、ひーちゃんが選んだ言葉をsatが組み立てていったのかなあ、と勝手に推測している。でも「ずっとね、そばにいてね」は絶対ひーちゃんだと思う。satだったら語尾に「ね」は使わないよね。

 

それからこの曲の一番の推しポイントは、何よりsatのコーラスっていう。ここにsatの声が入ることで、ただのアイドルソングっぽい曲じゃなく、この曲がfripの系譜に存在することを証明してくれるんですよ。ライブでノリノリのsatを見るのが一興。

電脳戦機バーチャロン/ IN THE BLUE SKY

バーチャロンを最初に触ったのは、小学校のパソコン室。学校のPCに入っているような温いゲームに飽き飽きしていた私は、パソコン室を物色することにした。部屋の隅にあったロッカーから出てきたパッケージが二つ。一つは「アトラス」という地図ソフト、そしてもう一つが「電脳戦機 バーチャロン」だったのだ。

 

パソコン室の管理をしていた先生すら「そんなのあったの?よく見つけたなあ」と言っていたので、なぜ公立の小学校に未開封バーチャロンがあったのか、今でも謎である。いずれにせよパッケージのカッコいいデザインに惹かれた私は、そのCD-ROMをドライブに入れ、ゲームを始めてみた。そのファーストステージで流れてきたのがこの曲、「IN THE BLUE SKY」である。

もうさあ、幼心に絶大なインパクトを与えたわけよ。3D空間の青い空、海、浮かぶ工業用埋め立て地のような場所で闘う青いロボット。その印象を「これでもか!」と盛り立ててくれるこのBGM!いきなりサビから始まるんだもん。

 

この曲ってAメロ、Bメロ、サビの概念がしっかりしている、当時としてはかなり珍しいゲームBGMなんじゃないだろうか。シンセのメロディーがハッキリしてるし。A~Bメロが低い音とマイナーコード中心で、それでいてちょっとエモくて、エネルギーを溜めるような構成になっているのが好き。絶妙なリズムのハイハットと、右から鳴るコンガが特徴的なのよね。

 

そしてサビ!ドレミ…から始まるこのサビですよ!カノン進行という王道中の王道のコード進行。ここぞとばかりに高い音へ突き抜けていく様は、果てしない青空を表現しているかのよう。最後がDmで終わるのも、遥か遠くの空へ何かが行ってしまった切なさが感じられてエモいのよ。

 

学校のパソコン教室なのでゲームパッド等あるわけもなく、キーボードでテムジンやらライデンやらをガチャガチャと動かしていたのが、まあ楽しかった。そこから自分がバーチャロンシリーズを触ることはなかったけれど、テムジンステージのこのBGMだけはずっと心に残っていたんですよ。そこから随分と年月が流れた2011年、セガサウンドチーム「H.」がアレンジ音源を出したのです。

オケヒの置き方だったりオルガンが目立ったりと、良アレンジに仕上げてあるんですよ。これもこれでカッコいいよねえ。

Mass Production/Cosmic Lust

Mass Productionはこの時代に流行ったディスコファンクを得意とする、10人組のアメリカのバンドだ。

この曲を見つけたのは全くの偶然。全然別の曲を探していた時に間違えて手に取ってしまった、なんかのベスト盤のCDがあって。で、1~2曲聴いてみて目当ての曲がないことに気づいて、まあ折角手に入れたのだからそのうちまた聴くか、とお蔵入りしてしまったんですね。そこから数年の月日が経ち、これなんだっけ?と適当に流してみた時にこの曲が偶然かかってきて、衝撃を受けたのです。

凄いよねえ、このインスタントな宇宙の感じ。遥かなるスケールで描かれる宇宙じゃないのよ。人間が作ったネオン煌めく夜の都会。TM NETWORKの「Be Together」に「セラミックの月 プラスティックの星」って歌詞があるじゃないですか。あのチープだけれど眩い都会の夜、それがまさにこの曲から伝わってくるのです。「マリオカート64」のレインボーロードの雰囲気っていったら伝わるかな…?

 

まずなんといっても、メロディを奏でるシンセの音がいいよね。アナログ感満載の音がチカチカと光るネオンのようで、さながら夜の街を案内する先導役である。モジュレーションかけたり、ピッチが一オクターブ下がったり、遊びまくってるのよね。フレーズを一通り奏でた後にストリングスっぽいシンセの音がオブリガードを奏でるところは、灯りが増えていく街のようだ。ワクワクが零れてくるよね。

 

この曲はホーンセクションも印象的だけど、中盤からサックスがメロディになって、更に後半からは怒涛のエレピソロ、終盤はビブラフォン、最後の最後でピアノと、聴いている我々を誘惑するように次々と主役が変わっていく。そういえばこの曲のタイトルは「Cosmic Lust」なのだから、そりゃ欲望を揺さぶるような構成にもなるよね。でも曲があまりにも素晴らしいから全然いやらしくないのよ。

 

そしてその華やかな音色を支えるリズム隊の絶妙なグルーヴがまたいいのよね。四つ打ちでダンサブルなキック、途中から入ってきて楽しさを彩るボンゴ、跳ねまくるベース。職人芸とばかりにひたすらリズムを刻むカッティングギター。色んなソロ楽器がステージ上で華やかに踊れるのは、リズム隊のセンス溢れる演奏あってのことなのです。

 

というわけでですね、一度聴いた時からこの強烈に楽しい曲にやられてしまったのです。私割とファンクとかディスコ好きなんですけど、この曲が一番かもしれない。何といっても古さがない。何か時代の色というものに染まってない感じがするんですよ。その普遍性が魅力の根源にあると思う。

くるりとユーミン/シャツを洗えば

名前を聞いたことはあったけれど、くるりの曲をちゃんと聞いたのはこれが初めてだった気がする。

イントロのね、ブリティッシュなハードブギのリフでもう掴まれますよね。ハードブギのリズムってのは、日本の民謡と通じるものがあるよなあと常々思っていて、だから日本人の我々が聞くと心地よく感じるんじゃないかしら。別にこの曲に民謡っぽさはないんだけど、タムがなんか和太鼓っぽいし、手拍子入れたくなる感じ。早起きした日曜の朝の、気だるくも何でもできそうな煌めきが上手く表現されている。

 

この曲は歌詞もすごい素敵。“洗濯”をテーマにカップルの丁度良い距離感が漂ってくるよね。恋ではなくて日常の傍らに存在する愛の歌。この幸せを噛み締めるような歌を岸田繁のフラっとした、少し色気のある声で聴くのが良いんですよ。「風吹けば飛ばされそう」って、岸田の声のことだよなあって思うもん。

MVのパジャマのシーンは本当に寝起きに撮影したのだろうか(海賊帽は謎)。