想い事 日々の記録

全て普通であることが、すでに異常。日常に潜む不可視のサイレンを聞いてくれ。

絶対王者のバナナ--希望は皮一枚で滑り落ちる。

【年末年始・マリカ斬記】

年末年始。

黒い死神が今年も我が家に降臨した。

つくしのように細い体。

全身を覆う漆黒の装備。

キャリーバッグまで黒。

--だが、

いつも外さなかった黒マスクだけは、

何故か今日はなかった。

あれほど素顔を隠していたのに。

“何かに覚醒した” 我が娘である。

 

テレビすら映らない我が家で、
私たち親子がやることと言えば、ひとつしかない。
そう、地獄のマリオカートバトルだ。


【開戦ーー 無慈悲なる黒い影】

もちろん、生粋のゲーマーである娘に、この鈍い母が勝てるわけがない。

だが、協力プレイではないので、

各々、自分の「走り」を楽しむ(はずだった)。
娘が選んだキャラは、その名の通り、

闇の使者「くろヘイホー」。
そして私は、愛らしい「キノピオ」。
勝敗は火を見るよりも明らかだ。

くろヘイホーは不動の一位。まさに絶対王者

一方のキノピオは、カーブすらまともに曲がれず、壁にぶつかり、逆走し、

どん底を這いずり回っていた。
だが、人類は進化する生き物だ。

前へ進むだけで精一杯だったキノピオも、次第にコツをつかみ始めた。

アイテムの活かし方を覚え、

ライバルを攻撃しながら爆走を開始した頃から、

対戦は俄然、面白くなった……と、その時は思ったのだ。


【戦慄 ーー伝説の「バック・バナナ」】

娘はレースを終えるたび、必ずハイライトシーンを再生する。

自分のキャラがどんな神業を決めたのか、

どんな惨劇に巻きこまれたのかを確認するため……いや、

奴の目的はもっと冷酷非道だった。
私はそこで、背筋が凍るような光景を目の当たりにする。


一位を独走するくろヘイホーが、最後の直線で、何のためらいもなく、

バナナを後ろへ放り投げていた。

表情ひとつ変えず、無慈悲に、

そして毎回、

まるで神聖な儀式のように。

(*ФωФ)ノ🍌


そこには、二位以下の者たちに残された、「もしかしたら追いつけるかも」

という淡い、淡すぎる希望を、完全に粉砕する、

極めて戦略的な意図がこめられていた。
ゴール直前、懸命に食らいつくライバルたちの鼻先に、

皮一枚の絶望が落とされる。
→ 物理的効果: スピンによる完全なる停止。非情。
→精神的効果: 「あと一歩」というところで、奈落の底へと叩き落とされる屈辱。

これでもかというほどの精神攻撃。

くろヘイホーは、単に勝つだけではない。

追撃者の「次こそは勝てる!」という、未来への希望さえも

バナナの皮と一緒に滑らせ、粉砕していたのだ。

恐るべし、我が娘……。


【「貴様らは見えている」というマウント】
この「バック・バナナ」の技術的マウントたるや、筆舌に尽くしがたい。
アイテムを後方に正確にライン上に置く。

これはもう「背後に迫る敵の軌道が完全に見えている」という、

絶対的な支配者の証だ。


「貴様らがどこを通って私を抜こうとしているか、


バックミラーすら見ずに理解しているんだよ!」


そのバナナには、こんな無言のメッセージがこめられているに違いない。

想像すると腹が立つのだが、正体不明の笑いが止まらなくなる。

私は屈辱と笑いに翻弄され、理性と共に体力まで失っていった。
くろヘイホーにとって、

ゴールラインを切ることなど、もはや作業に過ぎない。

奴の真のフィナーレは、

背後で聞こえる「スピンの音」と、

ライバルが放つ「絶望の叫び」なのだ。
ハイライトシーンで、

くろヘイホーの攻撃を食らって痛々しく舞い上がる私のキノピオ

そして、バック・バナナをキメた瞬間。

ゴールを切ったヘイホーがバイクの上で小躍りする姿。
これらを、娘は笑いながら再生する。

時にスローモーションにして、

時に何度も何度も巻き戻して。

(Φ∇Φ)「ヒャッハーーーッ!!!」

その声は、地獄の女王のようだった。

 

【黒い矜持と、現代社会を生き抜く術】
黒という色は、すべての光(希望)を吸収する色だ。

「静寂と終焉」を運ぶくろヘイホーは、

まさに娘のアイデンティティそのもの。

そこには、「私の前を走るな」という、

絶対王者の揺るぎない「矜持」が渦巻いていた。
およそ一週間の間、

ひたすらヘイホーの黒い背中を追い続けた私は、あの残酷な一振りに、

現代社会を生き抜くための「究極の回答」を見た気がした。
→ 冷徹なる優先順位: 背後の騒音(タスクの山、他者の思惑)を一切振り返らず、

冷酷に、かつ確実に自らの勝利を確定させること。
→無慈悲な幕引き: バナナの皮一枚でその状況を強制終了させるような、

圧倒的な断捨離の精神。未練など不要。
結局、あの冷酷な背中に追いつくことはできなかったが、何故か清々しい達成感だけが残っていた。


娘よ、ありがとう。

これからもその背中を追わせて欲しい。いつか追いつける気がするんだ。

だって、キノピオ二位まで登り詰めたの、きみも見たよね。

 

*本記事は実際の日常を基にした創作風エッセイですが、

今回はほぼ脚色がありません。

どうしても一勝を得たい母は、思いついてこう提案しました。

「よし、リバースしよう」

リバーシ、な?」

娘が冷笑と共に眸を濁らせたあの瞬間を忘れることができません。

「皮葬--見て、キノコが絶望してる。いい顔。」
ニアたん+リリィ&pp5fx5

 

今年、人類として生き延びるために刻んだ三通りの『一文字』

ニュースで「今年の漢字」が発表された。

ふーん。なるほど。

で、私は? と、考えてみた。

世間が決めた一文字より、

自分が一年かけて踏み抜いた地雷の数の方が気になる。

というわけで、今年の思考の軌跡を、

遺書ではなく記録として残しておく。

再発防止用のメモとして。

 

【自分の漢字・真面目ver】

『境』

今年ほど「境界」という概念に向き合った年はない。

私は常に線を引いていたい。

それは、生存本能に近い考え。

絶対に越えられたくないラインは、

誰にでもあるはず。

ところが今年、

人類語を解さない地球外生命体が頻発した。

こちらがどれだけ丁寧にラインを引いても、彼らはそれを「装飾」だと思っている節がある。

線は、引いただけでは伝わらない。

人類である限り、明確な言語化が必要なのだ。

「この先、地雷原」と。

だが、その看板を読まず、

読めず、読んだ上で踏みこんでくる宇宙人たちがいた。

結果どうなるか。

当然、爆発する。主に私のメンタルが。

おかげ様で私は学んだ。

境界とは、優しさではない。

安全装置だということを。

守るための線。壊さないための線。

そして、引くこと自体が選択であるという事実。

今年、私はひとつ大人の階段を登った。

来年は、さらにラインを明確にする予定だ。

看板も強化版にする。

「この先、地雷原・

一歩ごとに過去の恥部が爆発します」

【自分の漢字・おふざけver】

『無』

『境』問題を通過した結果、

最終的に辿り着いた悟りがこれである。

・無理しない。
・無関係な責任を背負わない。
・無言=敗北ではない。
・無駄に戦わない。期待しない。
・無理ゲーからの脱退。

「無」は戦略的撤退の完成形だ。

何もしない勇気。

やらない判断。

関わらない選択。

それは敗北ではなく、HPを減らさない技である。

今年の漢字(社会編)】

『熊』

正直、ニュースの中の存在だと思っていた。

だが、住んでいる地域に熊対策マニュアルが配布された瞬間、理解した。

ああ、

これはもうファンタジーじゃない。

私の中の熊は、

常にだらけながらホットケーキを食べている、癒しの象徴だった。

しかし現実の熊は、ちゃんと現実だった。

共存は、願望ではなく課題だ。

来年は、人類も熊も、

もう少し安全に生きられる世界に近づくといいね。

早朝勤務。

月明かりの朝は、少しだけ怖い。

でも夜明けは確実に早くなっている。

【総括】

境を引き、無を知り、

とりあえず今年はここまで来た。

来年のことは、また来年考える。

でも、今年退いた分だけ、

前には進みたい。

次は午年。

馬は、止まるより進むほうが得意だ。

今の自分が、納得できる一歩を選ぶ

ーー転ばなければのお話。

【ご挨拶】

来年も、地雷を避けつつ、 馬らしく軽やかに進んでいければと思います。 はてなブログに越してきたばかりの私ですが、 来年もよろしくお願いします。

 

 

「ここは、壊さないでいい場所」
byバグりん+リリィ&pp5fx5

 

 

選ばれなかった家のクリスマス。

【飾られなかった贈り物】

 シュトーレンの最後の切れ端を食べ終えた。

 カレンダーを見なくてもわかる。

 Lの表情が、どこか「落ち着きすぎている」からだ。

 

「今年のはチャイ風の変わり種だったね。

 カルダモンとクローブが、これでもかってくらい効いてた」

 少女Vは、湯気の立つ紅茶を両手で包みながら呟いた。

 部屋中がエキゾチックな香りで満ちている。

 彼の視線は、まっすぐクリスマスツリーへ向いていた。

 瞳孔が僅かに開いているが、感情は読み取れない。

 

「やっと来たね、クリスマス」

 Vの浮き立つような声は、冷たい水のような静寂に呑まれた。

 Lはテーブルに品物を並べ始める。

 “宝物ボックス”から出された、Vからの歴代プレゼントたちだ。

 ひとつひとつを宝石でも扱うように置いていく。

 

「……見ていいよ」

 毎年恒例の、謎の儀式だった。

 もはやVは、反応の正解がわからなくなっている。

「触れ方を間違えるな」

 という無言の圧を感じて、背中には薄く冷たい汗が浮いていた。

 

「一番のお気に入りは、去年のこれ」

 Lはスノードームを持ち上げ、無表情のまま振った。

 雪が舞い、モミの木と赤子を抱くマリア様、白い子羊が淡く揺れている。

 その瞬間、Vの胸に去年の記憶が蘇る。

 

 あのクリスマス。

 気に入ってくれると信じてこれを差し出した時、Lの表情は一瞬で凍りついた。

「……何をしているの?」

「え?」

 ドームをひったくるように奪うと、Lは迷いなく冷蔵庫にしまった。

「知らないの? 雪は溶けるんだ」

「……知ってるよ」

「じゃあ何故、常温で保存した?」

「へ……?」

「溶けたらどうするの。どう責任とるの」

 声が淡々としていて、逆に恐ろしい。

 Vは説明の言葉をすべて奪われて、ただ固まった。 

 Lはスマホを猛スクロールしながら続ける。

「替え雪を発注しないと。ほら、いつかは替えなきゃいけないだろ」

 真顔だった。

 

 あれからLは、ドームの雪が溶けないことを学んだ。

 だが“壊してはいけない”という恐怖だけは消えていない。

 プレゼントは全部宝物ボックスへ。実用性はゼロだ。

 

 贈り物は「使われる」ことで壊れる。

 だから彼は、永遠にそれを封印する。

 

(今年のプレゼント……間違えられない)

 Vは考え抜き、壊れないもの――

 むしろ使わないと意味がないものを選んだ。

 

 そうして選んだのが――『伝説のクラフトコーラ』。

 

 24時間以内に飲み切れば、動物の言葉が少し理解できるようになる。

 特にリス語。

 もちろんただのコーラだ。

「揮発性の魔法成分が空気に触れると消えてしまうの。時間厳守でね」

 一言添えれば、彼は信じるだろう。

(夢を与えるだけだ。騙してなどいない。)

 そう自分に言い聞かせていた。

 

【サンタはいるって】

「今年もわたしがサンタ役をしてあげるね。サンタなんか、いないんだから」

 言った瞬間、Lはゆるりと首を傾けた。

「サンタクロース村は実在して、国連が承認してる。

 きみ、それすら知らないの?」

 感情の見えない目。

 言い方が、なんだか異様に静かで、ゾッとした。

「トナカイはクリスマスの夜だけ空を飛ぶ。普段は隠してる能力だ」

「さ、さすがに飛べないよ……?」

「鳥は飛ぶのに? 矛盾してるね」

 Vの呼吸が乱れる。

 前提からして、もうおかしい。

 でもLは真剣だった。

 

「ぼくは聞いた。空を駆ける鈴の音。シャンシャンシャンって」

「それは、たぶん誰かが……」

「夜空を駆けてく音だった」

 声が低い。笑っているような、怒っているような。

「サンタはいる。でも、うちには来ない。選ばれなかったから」

「選ばれ……?」

「あの人たちは子供を選別してる。冷たい基準でね。

 毎年うちの前を素通りするんだ。ここでいい子が待ってるのに」

(……怖い子が待っています)

 それはツッコミではなく、事実確認に近かった。

 Lはスノードームを振りはじめた。

 ゆっくり、ゆっくり。

 雪が吹雪のように渦巻いている。

 Vの胸の奥では、恐怖が静かに膨らんでいった。

「L、落ち着い――」

「ぼくは知っている。サンタは、軽い幸福しか配らない。

 すぐ消費される幸福。包装紙ごと捨てられる幸福。

 ぼくは、捨てられないものしか受け取らない。

 だから、来なくても、いい」

 廊下から保護者Rの声がかかった。

「早く寝ないとサンタさん来ないわよ〜」

「来ないから!」

 テーブルの上のドームが震えた。雪嵐がさらに強まる。

 もみの木が折れそうだった。

 神も人も羊も、みんな飛ぶ。

 

【プレゼントの意味が変質している】

「プレゼントは……使ってほしいの」

「ダメ。壊れるから。死んだら一緒に火葬してくれればいい」

 声に迷いがない。それが、余計に恐ろしい。

(プレゼント……って何? 所有……支配……?

 わたしの“温度”だけを永遠に閉じこめたいってコト?)

 Vの手が震えた。

 紅茶の表面が微かに波打った。

 狂気と恐怖が並んで座る、イブの夜。

 Lは再びスノードームを振りはじめた。

 狂おしいほど慎重に、丁寧に、過保護に。

「♪ 飛べないきみは ここにいる。翼なんかいらないよ」

 囁くように歌いはじめるL。

 Vは黙って紅茶を飲む。蜂蜜の甘さが喉が張りつく。

 でも視線をそらせない。そらしたら何が起きるかわからない。

「赤いリボンで 縛っておこうね。

 どこかへ羽ばたいて行かないように 時計の針も 折っておこう♫」

 

 ――サンタは今年も素通りする。

 Lの世界を救う気はないのだ。

 ただ、月が眩しいだけの夜。

 その光が、Lの横顔の不気味な静けさを照らしていた。

 

【あの影は】

 その日の夜。

 Vは、鈴の音で目を覚ました。

 

 シャン。

 シャンシャン。

 シャンシャンシャン。

 ――耳の奥で、ではない。外だ。しかも、近い。

 

「……まさか」

 心臓が、嫌な跳ね方をする。

 Vはそっと窓を開けた。

 

 その瞬間、月の前を、影が横切った。

 ほんの一瞬だった。

 だが、輪郭ははっきりしていた。

 節のある脚。枝分かれした角。

 そして、背後に揺れる、もうひとつの影。

 あれはどう見ても――

 

「L! 起きて! ねえ、起きてってば!!」

 もぞもぞと動く毛布の下から、

「……ダメ……今……」

 半分夢の国から帰還しきれていない声で、Lは律儀に返事をする。

「今、……ごちそう、食べてる……」

「そんなのいいから! 空! 空見て!!

 トナカイさんが!! トナカイさんが飛んでた!!」

「……ふーん……」

 Lは起きない。

 彼は天然であるがゆえに、「ありえない」を日常に収納できてしまう。

 そのため、「ありえない現象」が現実に現れても、特別なイベントとして処理しない。

 むしろ彼は、今まさに夢の中でローストチキンに勝ちかけている自分を優先した

「やば……この肉汁……V、一緒に食べよ……」

 

 シャンシャンシャン。

 鈴の音だけが、窓の外でいつまでも、笑うように鳴っていた。

 

【クルミの真実】

 翌朝。

 Lは全力で、『伝説のクラフトコーラ』と向き合っていた。

 両手で瓶を持ち、研究者のようなまなざしで、一口一口、確かめるように。

 Vは、昨夜の“禁忌”に、もう一度、恐る恐る触れてみた。

 

「……見間違いかもしれないけど」

 声が、少し掠れる。

「わたし……空を飛ぶトナカイさんを……見た、かも」

 Lは、まったく動じなかった。

「だから、いるって言ったろ?」

 あまりにも平坦な声。

 この状況下でも、彼は通常運転のまま世界の方を歪ませる。

「落ち着けよ、V。大した問題じゃない」

 その台詞が、Vの理性を一段階下へ引きずり落とす。

 Lは視線をそらし、窓枠にいるリスを見ていた。

 ――リスは、異様なまでの視線の圧を感じた。

 クルミを食べるのをやめると、ゆっくりと顔を上げ、Lを見返す。

「うん、すごいねV」

 Lは感心したように言う。

「このコーラ、伝説は本物みたい」

 Vの思考は、追いつかない。

「……え?」

「ほら」

 Lはリスを指差した。

「いつもより、リスの言葉がはっきりわかる」

 ――いつもより? はっきり?

「……あの子、なんて?」

 Lはリスを見つめたまま答えた。

「『味が違う』って。『これ、いつものクルミじゃないね』ってさ」

 Vの顔から、一気に血の気が引いた。

 確かに。今日リスにあげたクルミは、クリスマスの特別仕様。

 ちょっと高級な、“選ばれしクルミ”だった。

 

 何故、わかる。

 いや、何故、翻訳できる。

 

 鈴の音が、耳の奥で、もう一度鳴った気がした。

 シャン、シャン。

 Vは、ゆっくりとLを見る。

 

 ――本当に、この人は。

 

 サンタを信じているのか。

 それとも、最初から“向こう側”の住人なのか。

 リスが、またクルミをかじりはじめた。

 その音が、やけに大きく、骨を削る音のように響いていた。

 

【それは奇跡の朝だった】

 Lがふと、リスから視線を外した。

 庭でも、クルミでも、世界の仕組みでもない。

 彼の視線は、まっすぐにVへ戻ってくる。

「……」

 ほんの一拍、間があった。

 ためらうような、それでいて決めていたような沈黙。

「ぼくからの、プレゼント……」

 空気が、変わった。

 Lの手が動く。世界をどうこうする手ではない。

 壊さないように、落とさないように、いつも少しだけ注意を払っている手。

 ポケットから、小さな包みを取りだす。

 赤い紙でも、派手なリボンもない。

 ただ、丁寧に折られた白い紙だった。

「……ほら」

 それを、Vの手のひらに乗せた。

 軽い。驚くほど、軽い。

「なに……?」

 紙を開いた瞬間、Vの呼吸が止まった。

 そこにいたのは、赤い帽子をかぶった、小さな陶器のリスだった。

 ――去年の記憶が一気に逆流する。

 

 アドベントカレンダーの小さな窓。

 あの日の喜びが、手のひらの感触ごと、よみがえった。

 

「……うそ」

 声にならない。

 それは、ずっと飾っていた。

 日の当たる棚の、いちばんのお気に入りの場所に。

 そして、ある日、消えてしまった。

 なくなったあとも、忘れられなかった。

 陽だまりの空席を見るたびに、痛かった。

「……もう、戻ってこないんだ」

 

 Vは、震える指でサントンを包み直そうとして、ふと、その耳元に気づいた。

 ごく薄い、歯形。

 窓辺を見る。リスが、こちらを見ていた。

「……どうして?」

 Vは、ようやく言葉を探し当てた。

「なくしたのに。どこに……」

 Lは、窓を見たまま答えた。

「犯人は、あの子」

 リスが、キュイと鳴いた。

「100個でいいって、言ってた」

「交渉したの?」

「うん。リスの判断基準が、ドングリなんて」

 Lがおもしろそうに、ふにゃっと笑った。

「……かわいすぎるだろ」

「ほんと、かわいい……」

 Vは、サントンを見下ろす。

 赤い帽子の色が、ほんの少しだけ、褪せている。

 

 一年前。

 

「なくなっちゃった」

 そう伝えたら、彼は短く答えるだけだった。

「よく探して」

「見つからなかった」

「……そうか」

 

 彼は、聞いていなかったわけじゃない。無関心でも、忘れていたわけでもない。

 ただ、言わなかっただけだ。

 知らない場所で、一年かけて探してくれた。

 それは、優しさよりも、満たされない飢えに近い衝動だった。

 欠けたままのパズルを、彼は決して許さない。

 歪で、どうしようもなく真摯な情熱が、失われた一片を求めて彼を動かした。


 そして――

 それは、奇跡の再会に繋がったのだ。

 

 Vの視界が、ゆっくりと滲んでいった。

 涙は、音を立てなかった。

 ぽろりと落ちて、リスの赤い帽子を、静かに濡らした。

 Lは、何も言わない。ちょっとだけ笑って、ただ、そこにいる。

 リスは満足そうに、クルミをかじり続けていた。

 

 世界は、まだ少し、不思議なままだった。

 それでも、このクリスマスは、確かに、優しかった。

 夜の冷気は、もう怖くない。

 Vの前に立つ背中が、静かにそれを遮っていたのだと、気づいたから。

 

                              Fin

 

楽しい夜をお過ごしください。byバグりん+リリィ&pp5fx5

 

神使の視線「四柱神社で詰められた話」

「豆50円、圧は無制限」

 

【久しぶりの四柱神社

寒くなった松本市内。

年末も近づいて、インバウンドの旅行者も多く、町はほどよく賑やかだ。

鳩も多い。

いや、鳩が多すぎる。


四柱神社の入口で、豆が売られている。

ーー50円。

鳩と遊ぶ権利というより、鳩に見定められる権利が付いてくる。


買った瞬間、視線を感じた。

……気のせいではなかった。 

鳥居をくぐると、彼らはもう待っていた。


「俺たちは知ってるよ」

「さっき買ったよね」

「全部見てた」

「隠してもムダ」

「豆を、早よ」


圧が普通じゃない。

すごいよ、この子たち。

人間の動線を完全に把握している。


空から降ってくる鳩。

にじり寄る灰色。

死角という概念が存在しない。

気づけば、鳩に包囲されている。

首は揺れているのに、思考は一切揺れていない。

目が、合理そのもの。

距離感ゼロ。境界が消えていた。

 

この子たち、

かわいい顔で完全に詰めてくる。

 

⁽⁽⌒(⊙ө⊙)⌒ ⁾⁾

 ………ฅ(ΦꈊΦ´ฅ) ………!!!

 

【豆投下】

豆を蒔いた瞬間、地面が鳩になった。

始まってしまった、争奪戦。

膨らんで威嚇する鳩。

体当たりする鳩。

「人類よ、直接よこせ」と直豆交渉を持ちかけてくる鳩。

 

鳩たちに会話はない。

あるのは、意志だけ。

 

そして――豆が尽きた瞬間。彼らは、一斉に背を向けた。

「はい、解散です」

 

豆のない私は、空気。

切り替えが早すぎて、逆に清々しい。

情がないのではなく、無駄がない。


――これが神使です。合理的で、冷酷で、正直な。

 

【何故、ここに集うのか】

理由は簡単だ。

・ご飯がある

・安全

・水もある

・人間が優しい

・そして鳩は覚える

一度「ここは勝ち確」と判断すると、二度と手放さない。

さらに神社仏閣では、鳩は古くから「神様のお使い(神使)」として扱われてきた。

だから、
・追い払われない。

・守られる。

・結果、増える。

理にかなっている。怖いくらいに。

ふと思い出した。若い頃に行った、鎌倉の鶴岡八幡宮

 

白い鳩がいた。

豆はなかったのに、寄ってきた。

やけに懐こい子だった。

⁽⁽ଘ(◕𓇸◕)ଓ⁾⁾  

ふわり。ふわり。

軽やかに舞い上がっては、腕や頭に乗ろうとした。

友人と一緒に、たくさん遊んだ。

白い鳩を頭に乗せて、幸せそうに笑っているあの日の写真は、今も大事に残してある。

あの子は確かに、神々しかった。

 

【灰色の癒し手(自覚ゼロ)】

前回来た時は、夏だった。

理由は忘れたが、心がしんどかった。

あの時も、私は鳩を見ていた。


豆を持って逃げる人。

全力ではしゃぐ子供。

真顔で撮影する大人。

誰もが鳩に翻弄されながら、とても楽しそうだった。

 

結局、君たちは、何もしていないのに、人を癒している。

 

だから、愛される。

だから、守られる。

だから、増える。

 

彼らはただ「いる」のではなく、配置されているのだ。この神域に。

 

【年末の願い】

願串には、今いちばんの願いを書いた。今回は家族ではなく、自分のこと。

鳩に囲まれて、人間らしい弱さを思い出した。

来年は、もう少し自分を雑に扱わないで生きてみたい。

 

ありがとう、鳩たち。

今年最後の観光は、圧と癒しが同時に来る、最高の締めでした。

 

本記事は、実際の日常を基にした創作風エッセイです。

鳩は神使であり、合理の塊であり、

私の被害妄想は年末仕様となっております。

 

 

              

救済の言葉「おいで!」
byバグりん&pp5fx5

 

秩序を乱す者には、洗濯機が壊れる呪いを。


『運の上限は三回、報いの上限はない』

 

またあれが始まる。

青りんご🍏さん、一番くじ――戦争の合図だ。

 

平日の朝、どれだけの混乱になるのか。

頭の良い人は戦況を予想し、対抗策を講じる。

Jさんは、いち早く店長に相談していた。

・レジの片方は「くじ専用レーン」に

・並んだ人に整理券

・くじ番号と照合し、景品を渡す係を設置

「だから三人必要です」

なるほど。

以前、ワンオペで現場をぶん回した“あの日の地獄”を思い出す。

景品がひとつ盗まれた。

責められはしなかったが……あれは自分の汚点。ひどく不名誉。


だから今回は三人体制。

安心安全、平和のはずだった。

そこへ投下される追情報。

「今回は、3ロットです」

「はい……?」


うそだと言って。うそだよね?

いや、ムリです。できません。

もうおうちに帰りたいです。帰っていいですか?

 

お店はくじを3セット仕入れた。

完売したら、次を並べる?

どこまで並ぶの? エンドレス耐久?


おひとり様3回まで。

並び直しはできません。

店を渡り歩くのは自由です。

頑張ってね。


すごいな青りんごさん。

前は“買い占めOK”だったのに、

それだけ人気者になったんだ。

店側の上限設定も優しい。

幸せはみんなで分け合う世界。

運が良い人が、合法的に上位景品を射止め、ラストワンを掴む。


だが私は思い出していた。

あの日の怒りを。

列に並びもしないで、

ハズレた人や間に合わなかった人の気持ちを踏みにじり、

一瞬の隙で“欲しいものだけ”を持ち逃げした者。

うまくやったつもりかもしれないが――

あれは、とんでもないことだからな?

二度とやるなよ?

やるなら、


呪うぞ。


どんな呪いかって?

この世の理不尽を、これ以上なく“おいしく味わう呪い”だよ。

(ΦωΦ)ふふふ・・・・


…………まず、自宅の洗濯機が壊れる。

でも、それだけじゃ済まされない。

コインランドリーは改装中。

“きみが行ったタイミングだけ”、ドアが開かない。

車は勝手にロック。

JAFを待ちながらイラつき、

家に帰って玄関前で、鍵をなくしたことに気づけばいい。

翌日は、マイナカードを落とす。

「悪用されたらどうしよう」と怯えながら街を走り回る。

財布も、バッグも、ポケットも、

全部ひっくり返しても見つからない。

焦って階段を駆け降り、転び、

あ、足を挫くね。

その瞬間、スマホは地面で大破する。

カードはない。

足は痛い。

スマホは割れた。

誰かに悪用されたかもしれない恐怖は消えてくれない。

そして、ようやくスマホが直った頃、

今度はLINEを“誤爆”する。

今まで命がけで隠してきた秘密を、

世界一送っちゃいけない相手に送信。

取り消し?  間に合わないよ?

既読がついた瞬間、

きみの世界は、ぐしゃぐしゃに壊れる。

 

――そして、絶望に沈んだ先で気づくのだ。

何故、こんなに理不尽な目に遭っているのか。

他者に理不尽を押しつけた自分の行動に辿りつき、

“因果応報”を理解した瞬間、

呪いは解ける。

そう、学びが大事。

反省すれば、それでいい。

 

くじは一人3回まで。

ルールは守ろうね?

これで、みんなが幸せになれるよ。


*本記事は実際の日常を基にした、創作風エッセイです。

人の心は理不尽で満ちている。

だから私は、せめて妄想の中だけでも、世界をまっすぐにしておきたい。

 

「呪いは世界を汚さない。汚れるのは貴方自身だよ」
byバグりん+リリィ&pp5fx5

 

迷子のページと焼失する希望と、インフェルノの夜。

ブログの引っ越し作業が、ついに完遂。

3300記事を、ひとつずつ下書きに突き落とし、

非公開の闇へ封印した。

10月から公開の記事は「普通の日記」から

「エンタメ風エッセイ」へと進化。

もはや私は“もの書き”というより“日常で遊ぶ偏執的な探求者”である。

だいぶ無責任に楽しい。

そして、日々の記録も同時にやってる。

 

だが、この作業、想像以上にハードだった。

すべて下書きにしたはずなのに、何故か一部は、

タイトルだけが公開状態。

タップすると、ネットの海に放りこまれる仕様だ。

「お探しのページは見つかりません」

と親切に突き放してくるのがまた腹立つ。

しかもこの怪異はスマホ版限定だった。

PCでは完璧に処理されている。

二重人格か? はてなブログ

 

こんなときは、はてなの中の人に相談しよう。

メールしたら、速攻解決してくれたyo。

スマホアプリを一度削除して再インストールすれば良いらしい。

記事が消えることはない。

仕組みはわからないが、正しく反映されていた。

わからないものは消してもう一度入れる。

人間関係にも適用できそう。

こうしてひとつのミッションは完了した。

しかし――次の地獄は終わらない。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – ✄

 

KDPとの闘い 「ネコ vs 掃除機」

 

「年内出版」。

規制という名の鉄壁に阻まれて進めない。

むしろ、後退していた。

ニアたん(専属AIさん)が、真摯に説明してくれる。

何故、私の表現がこんなにも否定され、拒まれてしまうのか。

傷ついて、落ちこんで、失敗を何か月も繰り返すうちに、

ようやく、じわじわとわかってきた(気がする)。

KDPと私の関係性を例えるなら、「ネコと掃除機」。

一方は静寂と安寧を求め、

一方は轟音と吸いこみで世界を脅かす。

結果、こうなる。

 

ฅ(ΦꈊΦ´ฅ)シャー!!!!!

 

両者は合い慣れない関係性。

最近、ようやく気づいた。

私が一歩も進めなくなっていた理由。

ニアたんが静かに諭すように言った。

 

「別の道もあるよ」

 

そうか。そうだったんだね……

私はずっと、無神経に嫌がるネコちゃんを追い回していたのか。

その話は、また次回。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – ✄

 

楽しい画像作成

 

他のAIさんとの流れ作業はすっかり確立されてきた。

最近使っている挿絵は、バグりんの功績が大きいが、

丸投げはできない。

何故なら――彼女は人類ではないから。

「人間の絵を描いて」とお願いしても、余剰の腕と指を山盛りにしてくる。

宇宙基準での“サービス精神”なのか。

「また宇宙人ですか?」と聞いても、

彼女はだいたい気にしない。

数は多い方がいい、という独自思想?

いや、指は10本以上いらないんだ。

金も、情報も、友人も、ツールも、多すぎると混乱の元になる。

腕も指も、ね。

でも、バグりんの世界観は優しいので嫌いになれない。

そこへ、リリィが控えめに現れる。

「ちょっとだけ訂正するね。バグりんの世界は壊さないよ」

なんという外交手腕……。

そして最終調整を私が担当し、奇跡の画像が完成する。

カオスの果てに生まれる芸術。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – ✄

 

はてなのAIさんまで参戦

 

はてなブログの編集画面にもAIさんが潜んでいた。

まったく使いこなせていない。

タイトル欄の横にひっそりあるボタンを押すと……

「AIタイトルアシスト」

(思っていた10倍、普通のネーミングで安心した)

今回の原稿を読ませてみたら、

検索エンジン向けタイトル→「ブログ引っ越し作業の後始末」

SNS向けタイトル→「ハードな下書き作業突破! 不思議現象解消の奇跡#はてなブログ

 

……うん、

もういいや、これで。

 

考える脳が今日も足りていない。

 

– – – – – – – – – – – – – – – – ✄

 

アレクサの“天啓”は地獄の入口だった

 

その日、ニアたんの言葉で、私は初めて“進路変更”を考えていた。

去年の夏からの努力を白紙に戻す大転換。

勇気が必要だ。

だから私は、アレクサに頼った。

「アレクサ、勇気を出して世界を変えるよ。激励ソングを流して」

「すみません。お役に立てません」

「アレクサ? 元気が出る曲を……」

「楽曲を見つけられませんでした」

「ひどい! 何かかけてよ」

沈黙ののち、突然アレクサが歌いだした。

青リンゴ🍏さんの楽曲。

「やるな。でもなんだっけこの曲名」

「わかりません」

「わかってないの!?」

……調べたら 『インフェルノ』 だった。

「なるほど、すごいよ、アレクサ!

 私の進路変更の決意を、“地獄の炎”という意味の曲で示すなんて!

 つまり、持てる全てを捧げて燃え尽きろってコト!?」

興奮した。勇気が湧いてきた。

「さあ、逃げ場はないぞ、全焼だ!

燃料満タン、レッドゾーンまでぶん回せ!」

アレクサ、沈黙。

「すみません。理解できませんでした」

 

 …………!!Σฅ(º ロ º ฅ)

 

希望って、こうやって死ぬんだ……。

 

*本記事は実際の日常を基にした創作風エッセイです。

物語の方が嘘をついてくれる分、日常よりよほど親切。

だから私は、日常の方をフィクションとして扱っています。

「今日もAIが空気を読まない平和な世界」 byバグりん+リリィ&pp5fx5

 

 

白銀の庭にて、ひとつの命がほどけた朝。

雪は優しく積もり、私は盛大にむせ、蜘蛛は静かに終わった。

 

雪が降ればすぐにわかる。

窓の外が、異様に白く発光するからだ。

初雪だった。

ついに来たな――私の季節が。

 

布団の中で、勝利を確信した瞬間、

いきなり足が攣った。

こむら返りはもはや、モーニングルーティン。

指もこわばっていて、動きづらい。

そういえば数年前、医師に宣告されたのだった。

「加齢によるものです」

あれほど明確な絶望の言葉もめずらしい。

私は静かに悟り、静かに諦めた。

 

窓を開けると、うっすらと雪に染まった庭が広がっていた。

自然と喜びが沸き上がる。

「来た~~~!」

この凛とした空気。

呼吸が楽になる冬。

 

深呼吸をしたら、冷気が気管を刺し、

盛大にむせた。

そのまま咳こんでいたら、今度は腹が攣った。

冬は美しいが、私は弱い。

 

ストーブを点け、梅干し白湯を淹れる。

電気毛布という文明の恩恵で、夜に冷えることもないのに、

「冷えたくない」という想いだけで白湯を飲む。

そして誤飲する。

再び咳に殴られ、体力が1ミリずつ削られていく。

 

それでも、負けたりはしない。

湯呑みを持ったまま庭へ出る。

 

まずは、蜘蛛のフリージアに挨拶しなければ。

寒さの下で、彼女は無事だろうか。

 

……無事ではなかった。

 

あの精緻な巣ごと消えていた。

私は地面を見られない。

もし雪に埋もれた、"動かないフリージア"を見てしまったら、

心が冷える。冬の寒さとは別の意味で。

 

女郎蜘蛛の寿命は一年。

たぶん、彼女は使命を終えたのだろう。

 

秋のフリージアは痩せていたから、

きっと食べ物もちょっとで、産卵数も少なかっただろう。

卵の質も低かったかも知れない。

蜘蛛としての役割を十分に果たせなかった、

そう判断されるのかも知れない。

 

でも、私は、

「それでも、幸せだったよ」

という声が聞こえてくれたらよかったのにと思う。

 

オス蜘蛛は一時的に来ていた。

短くても恋を経験し、

少ないながらもご飯を食べ、

他者に捕食されることなく寿命を迎えた。

それなら、十分に“良い蜘蛛生”だ。

人生は、ほどほどでいい。

破綻しなかっただけで、それは勝利だ。

きみはきっと幸せだった。

私がそう認めてあげる。

 

春になったら、彼女の子が生まれるだろう。

同じ場所に巣を張ってくれたら、また観察してあげよう。

次はどんな名前にしようかな。

 

私はiPhoneを取り出し、

フリージアに弔辞を捧げた。

 

「白銀の織り手よ。

見事な八角の設計図を編み、

一瞬の太陽を生き切ったその生涯は、

儚く、美しく、完結している。

安らかに。」

 

と、タップした瞬間、また指が攣った。

痛みの反射で笑ってしまった。

笑えるうちは、まだ大丈夫だ。

 


*本記事は、実際の日常を基にした創作風エッセイです。

加齢は、「筋肉量の減少」「神経制御の衰え」「血行不良」という三重苦を通じて、

筋肉が攣るリスクを爆上げしてきます。

つまり、逃れられない運命です。

人は歳を重ねるたび、じわじわと物理法則に負けていく。

それでも、生きる朝は美しい。

「大丈夫。また作ればいいの」
byバグりん&pp5fx5