Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

三島由紀夫『春の雪』1969

京都から戻り、事務所で仕事を済ませた後、N響のソワレに出かけた。

シューマン ピアノ協奏曲イ短調
シューマン 森の情景op.82-7 「予言の鳥」(アンコール)
ブラームス 交響曲第1番ハ短調
シューベルト 「ロザムンデ」間奏曲第3番(アンコール)

このドイツロマンプログラム。ブラームスの演奏が見事であり、ブラボーの喚声も宜なるかなと、珍しく納得する程であった。

 

扨て、三島由紀夫の『春の雪』を読んだ。京都への羇旅の途上に読み始め、この晩に読み了えた。行定監督によって映像化された陳腐なメロドラマは、世が優雅を理解しなくなった証左であって、この原作とは比べ様もない。若さへのあくがれ、行動への信奉。幾度読んでも見事な心理小説である。だが此度のように切なく読んだのは初めてであった。

 

『春の雪』を初めて紐解いた十八の頃、私も清顕と聡子のように、誰かを愛したいと思った。私は素敵な女性に出逢った。だが彼女は私の愛に一向無関心。小説の二人が主上を裏切り申し上げてまで果たした逢瀬は、私達にとっては唯々退屈な、不毛な、お行儀の良い時間でしかない。

 

私は、清顕と聡子の愛が、私達にとって不可能であることを残念に思う。

 

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