Mon Cœur Mis à Nu

But, darlings, the show must go on.

Music

テ・デウム(Te Deum)とヴェニ・クレアトール・スピリトゥス(Veni Creator Spiritus)

テ・デウムとヴェニ・クレアトール、どちらもグレゴリアンの旋律で歌われるカトリックの伝統的な頌歌であるが、一般信徒には歌う機会が限られている。テ・デウムは12月31日の夕べのミサで、ヴェニ・クレアトールは新年のミサとペンテコステにおいてであろう…

『われらはきたりぬ(We Three Kings of Orient Are)』1857

気づかぬうちに待降節に入り、無原罪の御宿りの祝日も終り、喜びの主日(Gaudete)を迎えようとしている。意識を向けるためにアドベントカレンダーを用意すべきだったと反省している。次の主日ではVeni, veni, Emmanuelが歌われるかも知れないし、教会に行こう…

ジャック・オッフェンバック『ホフマン物語(Les contes d’Hoffmann)』1881

晴、暑し。白露に入り、秋らしい風も吹くようになったか。 この季節には、無為な夏を過ごした悔恨から、芸術を覓める活動が旺盛になる。ミサに与る頻度も増える。今週末には大学時代の友人に誘われて、ベートーヴェン・プログラム。ピアノ協奏曲第1番から第5…

ハンス・ツェンダー『シューマン・ファンタジー(Schumann-Fantasie für großes Orchester)』1997

晴、炎天溽暑。 ホテルニューオータニの地下、夏の暑さとは無縁の古びた迷宮の一角にあるカフェ、ペシャワールにて、しばらく今日の音楽会のことを考えていた。小暑の夕べにサントリーホールである読響の定期演奏会。曲目はメンデルスゾーン、細川俊夫、ハン…

鶴田錦史『壇ノ浦』テキスト

www.youtube.com 雨、皐月の最期の日。私は彼女に花束を渡し能う限りの力で愛を謳った。彼女は「私に迷いはない」と力強き返答を呉れた。Eh bien. さて、好きな音楽は?日常にある定番の問答であろう。私は正直に答えればクラシック音楽が9割、ビートルズが0…

ロッシーニ『セビリアの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)』1816

雨、小満後とは思えないほどに寒い。晏起ののちにインターコンチネンタルで花束を予約する。名は覚えていないが、恐らくは桔梗の仲間であろう紫の高貴な色をした五弁の洋花を気に入ったので、それでまとめてもらうことにした。 夜、新国立劇場で『セビリアの…

ワーグナー『さすらひのオランダ人(Der fliegende Holländer)』1843 高木卓譯

苦難を経て星のもとへ(Per aspera ad astra)、神が恵みたまはんことを 『さまよへるオランダ人』楽譜の表紙にワーグナー記す 陰のち微雨。築地教会でミサ、王たるキリスト(Fête de Jésus Christ Roi)の一級祝日。プロテスタント気質の大学の友人を招く。キリ…

エリック・サティ「夜想曲第1番」『5つの夜想曲(Cinq nocturnes)』1919

www.youtube.com 晴れ、冷気。秋深まる。金木犀はもう散つて了つた、その儚さは櫻花の比ではない、それ故に私は金木犀を愛慕してゐるのだらうか?否、その香が、佳き季節の訪れを告げる知らせであるからだらう、イエズスの降誕にも似た慰めと喜びを齎す、深…

『元后あはれみの母/サルヴェ・レジーナ (Salve regina) 』羅和対訳

www.youtube.com 秋晴。長かつた夏の所為か、未だに曼殊沙華<リコリス>が咲いてゐる、紅と白に。紅茶葉の価格が高騰してゐる。これもまたインドの異常気象の所為だといふ、セイロンの擾乱も影響してゐよう。だが私の知つた事ではない、ディンブラにあるディ…

ベッリーニ『夢遊病の女(La Sonnambula)』1831

www.youtube.com 好きな旋律。第一幕第四場より「あゝ言葉を見つけられたなら (Ah! Vorrei trovar parole!)」。公証人の前で婚姻届書に署名を了へたエルヴィーノとアミーナが、明日に結婚式を控へ、歓びに満ちて歌ふ。 薄陰、涼し。新国立劇場にて、珍らしい…

『天の元后喜び給へ/レジーナ・チェリ(Regina coeli)』羅和対訳

www.youtube.com 微雨のち晴。知らぬ間に立夏過ぎ、ぢきにペンテコステ、即ち復活節が了はりに近い。IMEの変換予測が日毎に痴呆になつてゐるやうに思ふ此頃。これは一般ユーザが綴字法を忘却してゐる事を意味するのだらう、運助文法馬丁文字。シベリウスのヴ…

『ヴィディ・アクアム(Vidi aquam)』カトリック聖歌集502番_羅和対訳

www.youtube.com Ego sum pastor bonus, et cognosco oves meas, et cognoscunt me meae.我は善き牧者にして、我がものを知り、我がものは我を知る(ヨハネ傳10:14、ここに云ふ牧者(羊飼ひ)はイエズス・キリストを指す) ヴィディ・アクアムは復活節(East…

ワーグナー『トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)』1865_愛と死に就いての覚書

www.youtube.com 新国立劇場の最上席での観劇。本歌劇の半音階的な重音進行や不協和音の構成は、後期ドイツロマン派を予感させる。内面的響きが特徴である。 前奏曲、「憧れの動機」に始まり、そこからとめどなく流れる美の奔流を受けて、私は忽ち夢うつつ。…

カトリック聖歌集105番『来ませ救ひ主』

Lentも第6週を迎へてゐるが、本日紹介するのはAdventに歌はれるホ短調の聖歌。ヨハン・マッテゾンはこの調に就いて沈思的、悲しみ、痛みと述べてゐるが、この聖歌には相応しい調である。 この聖歌に歌はれてゐるのは、人類の大いなる罪への悔恨と、キリスト…

リヒャルト・シュトラウス『ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 』1888

www.youtube.com リヒャルト・シュトラウスが遺した唯一のヴィオロンソナタ。3月になると思ひ出す。或る人が好んで弾いてゐたのだ。彼女はヴィオロン奏者であつた。彼女は深碧色のドレスでステージに立ち、いつも不機嫌さうに演奏するのだ。私の前でバッハを…

『アスペルジェスメ(Asperges me)』カトリック聖歌集501_羅和対訳

www.youtube.com 主日、神田教会でミサに與る。本日が七旬節なので暫くグロリアは聴けなくなる。 さて「アスペルジェス・メ(Asperges me)」とは、ミサ前の灌水式で歌はれる交唱である。今日の「新しいミサ」を執り行ふ教会で聴く事はないだらう。といふのは…

救い主を育てた母/アルマ・レデンプトリス・マーテル(Alma Redemptoris Mater)_羅和対訳

www.youtube.com アルマ・レデンプトリス・マーテルはカトリック教会の聖母賛歌。低劣卑陋なる日本の教会では忘れ去られてゐるが、フランスに於ては彌撒の終りによく歌はれてゐた。先唱の"ALMA"に、会衆の歌が続く。 おゝ巴里よ。斯の地のオルグの高揚が既に…

シューマン「美しい五月に(Im wunderschönen Monat Mai)」『詩人の恋(Dichterliebe)』1840

www.youtube.com Im wunderschönen Monat Mai,五月てふ麗はしき月にAls alle Knospen sprangen,冬籠りの蕾咲き出づるDa ist in meinem Herzenそして我が胸裡にDie Liebe aufgegangen.ゆくりなく愛は灯りぬ Im wunderschönen Monat Mai,五月てふ麗はしき月にA…

『ナチス・ドイツに於る音楽(Music in Nazi Germany)』DW Documentary

www.youtube.com "Music in Nazi Germany"なるDeutsche Welleのドキュメンタリー。「おすすめ動画」として出て来たので視聴。フルトヴェングラー、ワーグナー、ユダヤ人、バイロイト、アウシュヴィッツ=ビルケナウ。話を敷衍した割に、Music is immortalと云…

フォーレ「メリザンドの歌(Chanson de Mélisande)」『ペレアスとメリザンド(Pelléas et Mélisande)』1901

www.youtube.com モーリス・メーテルランクの戯曲『ペレアスとメリザンド』、英訳版の劇付随音楽。第三幕第二場、塔の窓際に坐すメリザンドが、光の束のやうな美くしい金色の髪を、くしけずり乍ら歌ふ「王様の三人の盲の娘」。これはロレイン・ハント・リー…

ワーグナー『パルジファル(Parsifal)』高木卓譯

偕に悩みてさとりゆく 純真無垢(Parsi)のおろかもの(Fal)かかる男を待てよかし 我の選べる者なれば 『パルジファル』はワーグナーの死の前年、1882年に完成しバイロイトで初演された。 作曲家は『パルジファル』を舞台神聖祝典劇(bühnenweihfestspiel)と銘し…

ワーグナー『ロオエングリン(Lohengrin)』高木卓譯

1845年、『タンホイザー』で疲労困憊したワーグナーは、ボヘミアのマリエンバードに保養していた。毎朝ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩を脇に抱えて、森へ出かけたという。 ワーグナーははじめ、ヴォルフラムの手が入った『ロオエングリン』…

『Louange à Dieu, Très-Haut Seigneur(その聖所にて神をほめたたへよ)』

www.youtube.com 動画はノートルダム大聖堂のミサ。その入祭唱で歌はれてゐるのがこの聖歌である。歌詞は詩篇第150篇のやうな神を賛美する内容だが、正確な出典は不明。 Louange à Dieu, Très-Haut Seigneur,その聖所にて神をほめたたへよ pour la beauté de…

ワーグナー『トリスタンとイゾルデ(Tristan und Isolde)』高木卓訳

昧爽の光が窓帷の隙間から漏れている。朝まで一文にも成らぬ事に精を出して愚かな事だと思うが、これが私の生である。 先刻まで『トリスタンとイゾルデ』のリブレットを読んでいた。岩波上梓の高木卓譯。この三幕からなる楽劇の台本は、作曲者自らが「トリス…

『Out of the deep(De Profundis)』詩篇 第130篇

されど人の子の来る時地上に信仰を見んや ルカ傳18:8 この頃希望を見出せずに居る。 www.youtube.com アングリカンで歌われるデ・プロフンディス。The Choir of King's College, Cambridgeの録音。Reverentな響き。 ledilettante.hatenablog.com 1. Out of t…

リヒャルト・シュトラウス『サロメ(Salome)』1905

新しき背広を著て、新国立劇場まで出かけ鑑賞。一幕のオペラたる本作は、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を台本に、リヒャルト・シュトラウスが曲をつけたもの。 ledilettante.hatenablog.com ヨハネの首を摑み始まるサロメの長い告白。 本日のオペラの…

チャコフスキー「スペインの踊り」『白鳥の湖』より

www.youtube.com 第三幕の音楽。スペインではあろうけれど、寒村だろうか。 ランキング参加中音楽

プーランク『カルメル会修道女の対話(Dialogues des carmélites)』1957  

本ブログのテーマは副題として書いてある通り「美というものは、芸術と人間の霊魂の問題である」、即ち「芸術と信仰」である。だがこの頃は宗教色が強すぎると思っている。復活祭で一区切りをつけたい。 さて本日、四旬節第5主日の福音朗読箇所は「ラザロの…

ワーグナー「ヴェーヌス讃歌(Dir, Göttin der Liebe, soll mein Lied ertönen!)」『タンホイザー』第二幕より 対訳

www.youtube.com タンホイザーは童貞達の面前で淫蕩な歌をうたい城を追い出された。 Dir, Göttin der Liebe, soll mein Lied ertönen!愛なる女神!汝に捧げん我が歌をGesungen laut sei jetzt dein Preis von mir!今高らかに汝を称へさせ給へDein süsser Rei…

ワーグナー『タンホイザー(Tannhäuser)』1845

誉むべきかな、稀世の大芸術家リヒャルト・ワーグナー。 私はオペラのはじまりと偕に倏忽として地上から攫われた。斯の至高の音楽が続く限り、舞台上の幻想こそが実在で、それ以外の全ては非存在である。私は斯く確信させられたのだ。それは引力の束縛から解…