Diary
晴、朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)の候が言う通り、街路のイチョウが黄葉をしきりに振払う。その落つる木の葉に、晩秋の淡い陽光が当たって金色に輝く様は大層美くしく、うっとりとしてしまう。と同時に、私が一年で最も愛する季節が終わってしまうこ…
www.youtube.com 晴、仕事を終えて、恋人と夕食を共にする。イタリアン。レストランから歩いて初台のオペラシティへ。紀尾井室内管弦楽団の定演、ブラームスの交響曲第一番を鑑賞。夢に見た恋人とのコンサートだというのに、私の心は高鳴らない。演奏自体も…
18日、終日働いた後に羽田を発ち、ラウンジで頂いたシャンパンでほろ酔い状態とは言えエコノミークラスで眠れる筈もなく、19日の早朝シンガポールに到着。そのままサミット会場のホテルで、ひねもす銀行家・投資家と会合・社交。普段は触れ合うことのない人…
晴、菊が最期の色を添える晩秋の小石川植物園を逍遥。柔らかい陽光を受けて輝く金色の落葉を踏みしめると、何とも神秘的な音が。尤も、私の心は穏やかではない。 上野にある某アトリエへ赴き、「イコン展」を鑑賞。正教の聖具をただのコレクターズアイテムと…
晴、霜降も末候となり、楓蔦黄(もみじつたきばむ)と言うように、確かに先日歩いた御池通の亭々たる欅並木は紅に黄色に色づき始め、晩秋のおとづれを感じさせるものであった。カトリックとしては、11月は「死者の月」である。3日は万霊節であった筈だが、朗読…
私たちの人生が神の喜びとなるのは、悲しみや荒廃をもたらすあらゆる悪に満ちた世界の中で、人間の尊厳を高め、身体と精神を尊重する生き方であるときです。(聖霊降誕後第19主日 説教) 陰、蟋蟀戸に在り。聖霊降誕後第19主日、キリアーレ"Orbis Factor"が…
秋の野に咲きたる花を指折りて かき数ふれば七種の花 萩の花尾花葛花なでしこの花 女郎花また藤袴朝貌の花 山上憶良 晴、菊花開。寓居近くに新しくビストロが出来たので、そちらで昼餉を済ます。4月以来に植物園へと出かけた。春に植物園を騒がせた中国人た…
www.youtube.co 晴、蟄虫坏戸。まだ記録を残すまでもないが、先日見た映画の登場人物がひとりごちた「死は物語の結末足り得ない」という台詞が心に引っかかり、思索を巡らせている。 そうかも知れぬ。思えば私が好きな物語は、主要な登場人物がみな最期には…
晴、彼岸を迎えている。今年も炎天酷暑を乗り切った。暑さも寒さも彼岸迄というが、この古い諺は今日でも辛うじて真たり得ている。 註文した秋冬物が仕上がるのもこの季節の愉しみ。今年は英国ヨークシャーの織元、ウィリアム・ハルステッドの梳毛フランネル…
晴、玄鳥去。昨日はシンポジウムのために福岡に出張した。シャガール目当てに尋ねた福岡市美術館のコレクションの、矯正し得ない卑俗さを目の当たりにして完全に気分を損ね、せめて平家都落ちの旧跡でもあればよいのに、矢鱈歩かされるし不快な街だと、不平…
世の風紀の乱れを見るよりは、永田町なり国際政治なりを見て、マキャヴェリックな報告書を作成している方がマシに思えてくるから、虚しい。世の末を思うと、いっそ今、我が玉の緒が絶えて仕舞えばいいと、本気で思う。 SNSは恐ろしい。男の性欲と女の虚栄心…
祇園祭のため15日から17日にかけて炎天溽暑の京都に滞在。ただ一点仕立て屋と会話のできなかったことを除いて、完全無瑕な旅であった。懐かしき人々に会い、酒を交わし、茶を一服。2泊3日の間、私には全く珍しいことに、滔々とお喋りを続け、笑っていた。こ…
陰、ろくに仕事しなかった。明日はいよいよ京都である。彼女とも会える。 参院選が近づいて来た。仕事柄、マスコミやら研究者やらから様々な情報が入ってくる。彼らの言うことは大筋で当たるのだが、100%は当たらない。だから聞き流す程度が良い。永田町では…
「Gott grüß die Kunst <芸術に神のご加護を>」、ドイツで印刷業に携わる人々の合言葉だと言う。畢竟、文字は芸術である。 晴、溽暑。パリのセーヌで102年ぶりに遊泳が解禁されたというが、私は汚濁の神田川沿い江戸川橋近く、凸版印刷本社に併設されている…
晴、灼熱溽暑。夏越の祓といっても全く清々しい気持にはならない。身に堪える暑さ、何も暑さばかりの所為ではないが、おかげで憂鬱病である。 昨日は大学の後輩と会った。銀座の和蘭豆でお茶をし、海が見たいと、十代の女のようなことを言って、新橋からゆり…
晴。今日はよく働いたので脳が飽和状態。来月京都へ旅行するので、その計画を立てている。あと週末何をするかを考えている。 読みたい小説、ジョージ・オーウェルの『1984年』。観たい映画、Shadows of Forgotten Ancestors (1965)、Army of Shadows (1969)…
陰。彼女がシュウメイギクの苗を探している、花言葉は「薄れゆく愛情」だそうだ。 私は飽き性なのだろうか、そうかも知れない。英会話を磨くぞと発奮して、数万円叩いてAI学習アプリをDLしたが、2週間と続けられなかった。機械相手に話して何が面白いのだろ…
晴、昨日から夏至に入った。 英国の帝国主義が現今の中東問題の原因だとか、国連安全保障理事会は機能不全に陥っているとか、賢しげにコメントをする輩がいるが、どうも気に入らない。 前者は、火事の原因は火にある、というような全く生産性のない議論であ…
晴、炎天溽暑。歯科検診。腕時計の修理が終わったと連絡あり、遅い。週末に秘書検定があるので、それの勉強などして過ごす。鉛筆を持って参考書に向かうことは久しくなかった様な気がする。昔は記憶力が自慢だった。記憶力だけで大学に入り、卒業したような…
雨、溽暑。芒種に入って久しい。この季節の湿り気と東京の退廃的街並とはよく似合う。よく似合って最悪である。風そよぐ楢の小川の夕暮は禊ぞ夏の印なりける、こうした清々しい歌が詠まれる余地はない。この遣り様のない沈滞した雰囲気は気候の問題か、現今…
晴、ニオイバンマツリの芳香が実にかぐわしい。いかにも日本らしい名を持つが、漢字で書くと匂蕃茉莉、即ち香り高い外国のジャスミンを意味し、アメリカ原産だとか。 私の祖父は実にユニークな人であった。村の入り口に50本のサルスベリを植えた話など面白い…
夏を愛する人は 心強き人岩をくだく波のような 僕の父親 冬を愛する人は 心広き人根雪をとかす大地のような 僕の母親 逃げてしまいたい。すべてを諦めてしまいたい。弱りきって心許ない時の慰めとなるのは、パスカルではなくモンテーニュの方であるかも知れ…
風雨。横濱まで出掛ける。三溪園へ行く予定であったのが、悪天候でとても逍遥できない。 山手十番館という洋食屋で昼餉。丁寧な給仕は結構だが、若者に十分な教育を施さずに不慣れなことをさせても、ただ仰々しく優雅とは程遠い、御節介なサービスである。私…
晴、牡丹華。躑躅も薔薇も、そして牡丹も。外を歩いていると、花こそ目には見えないが、その香は風に薫って、私の鼻腔を甘美に刺激する。 父が投資に失敗したとかで、7千万を失ったらしい。私は、何故家のことで私にもっと裁量がないのかと、常日頃から不満…
晴。白衣の主日(Dominica in albis)と呼ばれる、主の御復活後はじめの主日。ヴィディ・アクアムを言祝ぎ、ミサ曲はルクス・エト・オリゴを歌う。久しぶりのミサに預かり、私の魂は白妙のように浄化される。 ヨハネの第一の書簡。 世に勝つものは誰ぞ、イエス…
牢晴薄暑、穀雨。躑躅に蘇芳、藤に山吹。千紫万紅の花々咲きみだれるなか、厳かに復活祭の儀は執行れた。 そして本日、教皇フランシスコ台下薨去の報あり。繕うこともないか、教皇フランシスコは死んだ。保守派のカトリックにとって彼の御宇は災いでしかなか…
晴、薄暑。 今朝の新聞のコラムに、リラダンの『未来のイヴ』が紹介されており吃驚した。人間と生成AIの関係論という文脈で登場する訳だが、なかなか含蓄深くて、面白く拝読した。 もちろんこの常識的世界にあって、リラダンが肯定的に紹介されることなどあ…
雨、晏起。 親しんだ典礼聖歌の旋律。教会が永遠に失った旋律。塞き敢えぬ涙が頬を伝う。悲しみは転じて憎しみとなる。ポーランド人の知り合いから、日本で枝の主日のミサに与るに、お薦めの教会を教えて呉れと連絡を受けて、はじめて今日がかの主日であると…
晴、寒気戻る。雷乃発声(かみなりすなはちこゑをはつす)、霊南坂の桜が満開を迎へたが、明日の風雨に散つて了ふだらう。久方の...と歌ふ暇すらない。尤も東京の桜に然程名残惜しさも感じない、そんなことよりプティ・ヴェールのグリル、行きつけの仏料理店に…
晴、春分を迎へ、七十二候は雀始巣(すずめはじめてすくふ)。雑司が谷は彼岸の展墓客で賑つてゐる。桃と白の二色のモクレンが見頃を迎へてゐる。 新宿のバガボンドにて、大学の知人と4年ぶりに会ひ、仕事のことや人間関係のこと、即ち無沙汰の人との型通りの…