基本情報
公開年:1969年
監督:中平康
脚本:斎藤耕一 倉本聰
キャスト:加賀まりこ(ユカ)中尾彬(修 )加藤武(パパ)北林谷栄(ユカの母)
上映時間:94分
あらすじ
<以下、日活公式サイトより引用>
国際都市・横浜。外国人客が多い上流ナイトクラブ“サンフランシスコ”では、今夜もユカが客の人気を独占していた。 愛想を振りまくわけでも、客にまとわりつくわけでもないが、他の女とは違う異様な何かが男達を惹きつけた。歳は、十八。パトロンは、年寄もいれば若い男もいるらしい。平気で男と寝るが、キスは絶対させない。教会にも行く。――彼女には様々な伝説があるが、結局ユカという女は、男達にとって、わけもわからず魅力的な女ということだ。窓から横浜の市街が一望できるユカのアパートで、彼女は老人とたわむれあっている。パパと呼んでいる船荷会社の社長だ。ユカはパパに何かしてあげたいと願っていた。それが彼女の胸に幸福感をもたらすはずだから。しかし、パパに逢うのは月曜日でなければいけないのだ。ユカがボーイフレンドの修と街を歩いていたときのことだ。ショウウィンドウを覗きこみながら、娘にすばらしい人形を選んでやっているパパの姿を見つけた。パパの傍では幸福そうな微笑をたたえた奥さんが、パパと娘を見つめていた。ユカは「あの幸福に満ちたパパの顔を、自分にも欲しい」と思った。待ちに待った月曜日がやってきた…。
評価
10年ぶりくらいに観ましたが、スタイリッシュでお洒落、そしてちょっと悲しい気分になるなあ、という印象は変わりません。センスの良さがダダ漏れしていて、こういうの好きな方にはたまらないかと。
あともうとにかく加賀まりこが可愛いです。それだけでも観る価値あり!
では以下、ネタバレありの感想です〜。
感想
1964年加賀まりこの奇跡
公開日は1964年3月4日。そして同じ加賀まりこ主演のノワール「乾いた花」の公開日もなんと1964年3月1日となっています。
コケティッシュまりこと悪女まりこが揃った1964年3月。方やトリュフォーやゴダールといったヌーヴェルバーグに影響を与えた中平康作品、方や「乾いた花」はコッポラやスコセッシにも強い影響を与えたという作品です。
いや、すごいな。1964年3月、まりこの奇跡じゃん。公開当時目撃した人がうらやましい!
「乾いた花」は「難解」という理由で公開を8ヶ月延ばしたそうなので、撮影の順番は「乾いた花」→「月曜日のユカ」だと思いますが、おそらく当時20歳前後の加賀まりこの輝きはすごかったのでしょう。スカウトしたのはあの寺山修司だっていうし。
…と、前置きが長くなりましたが、「月曜日のユカ」は、そのキラキラ輝く加賀まりこに全振りした作品。かわいい。とにかくかわいい。男の理想であるちょっと頭のヨワい可愛い女の子ユカ。マリリン・モンローやブリジット・バルドーがよく演じていたタイプで、彼女たちを意識したキャラ造形だと思います。
もちろん、こんなに男に都合の良い女は現実にいるはずがありませんが、彼女に惚れている男性たちも皆とことん優しくて、こちらも現実にいるはずありません。要するにファンタジーです。こういう優しい世界、好きですけど最近の映画じゃあめっきり見なくなりましたね。嘘を嘘と見抜けない人たちが増えたからでしょうか…。
センスと言えばそれまでなんですが。
さて、このふわふわしたファンタジックな脚本をピリッとお洒落にしているのが独特の撮り方。ユカと修が散歩する場面はブレブレの手持ちカメラ。先ほどヌーベルヴァーグに影響を与えた中原康監督、と書きましたが、
中原康「狂った果実」(1956年)→ゴダール「勝手にしやがれ」(1960年)→「月曜日のユカ」(1964年)という影響の与え合いはありそうです。
カッコいいな〜と思ったのがディスコみたいなところでユカたち若者が踊る場面。その場で流れているであろう音楽とはテンポが違うゆっくりめな劇伴がついているんです。踊り狂う彼らを水槽の外から観ている感覚になる。すごく面白いです。
それと人物が真ん中にいないカットが多い。画面右下か左下あたりに顔がある。余白の多さがお洒落だし、その余白に映るのが横浜の風景だったりするので、街の魅力もたっぷり楽しめる「街映画」になっています。
そして圧巻は、画面左側にユカのアップを映した終盤の長いカット。
お話を説明すると、ユカは、船荷会社社長「パパ」の愛人。同世代の恋人、修もユカに本気で惚れている。ユカの顔の長回しは、フレーム外からの修の声を聞いているという設定です。「愛人稼業なんてやめて俺と一緒に暮らそう」「お金はかかるけど、頑張って稼ぐよ」「結婚したらキスさせてくれる?」(ユカは誰とでも寝るが絶対にキスはさせないのです)
プロポーズですね。ユカは戸惑いつつも嬉しそう。その日暮らしのファンタジー世界にいた彼女が現実に目を向ける瞬間ですが、このカットを境に物語が暗転します。
ネタバラシをすると、この後修は事故で死に、パパの頼みで取引先の外国人船長と寝たユカはあんなに嫌がっていたキスをされる。そして最後、ユカは埠頭でパパと踊り、海に落ちたパパを見殺しにする。
ユカが、結婚という地に足のついた夢を見たとたんに起きる悲劇です。そしてなんとも切ない余韻を残して物語は終わる。
あと、部屋をローアングルで固定しておいて、そこにはまったく生活する気のないユカの姿が映っている、というのも面白かったです。これもセンスと言ってしまえばそれまでなんですが、洒落てるな〜なんて思いました。
同じ加賀まりこ主演の「乾いた花」、そして中原康監督「狂った果実」、ゴダールの「勝手にしやがれ!」のレビューも貼っておきますね。どれも名作です!
「月曜日のユカ」はアマプラで観られます〜。
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