今週のお題「制服」

毎月季節の魚介を紹介するシリーズ★ その名も「旬の役魚」。
私は健康なカラダづくりに役立つ海の幸・魚介類を【役魚やくぎょ】と呼んでいます。季節ごとに旬を迎える魚たちが持つ特徴的な栄養や成分を充分に引きだして美味しく楽しく頂きましょう。6月の役魚はトビウオです。

トビウオ
トビウオの旬は6月から8月です。

トビウオ(止比乎、飛魚、鰩、𩹉 、文鰩魚、英: Flying fish)
ダツ目トビウオ科に属する魚類の総称。太平洋、インド洋、大西洋の亜熱帯から温帯の海に生息する海水魚で、世界で50種ほど、日本近海でも30種弱ほどが知られる。「トビウオ」の名前の由来は、水上に飛び出し、胸ビレを広げて滑空することから。日本では食用魚として漁業の対象となり、九州や日本海側ではアゴの別名で呼ばれる。島根県の「県の魚」に指定されている。

トビウオはなぜ飛ぶの?
トビウオは飛ぶからトビウオ。だけど、なぜトビウオは飛ぶのでしょうか。

トビウオはなぜ飛ぶの?
なぜ空を飛ぶかというと外敵であるマグロやシイラから逃げるため。

トビウオ(飛魚)はいつ飛ぶの?
どうやら、トビウオはずっと飛んでいるわけではないようです。他の魚と同様、基本的には海中を泳いで生活しています。
では、どのような時に飛ぶのかというと、大ピンチの時です。トビウオは天敵に海面に追い込まれた際に飛んで逃げます。
トビウオの天敵はマグロやシイラなど大型の魚ですので、トビウオが飛んでいる魚の下には大物が潜んでいるかもしれません。またトビウオは音や光に驚いた際も飛ぶため、誤って船に突っ込んでしまうこともある様です( ;∀;)
外敵、つまり補食されないように逃げているんだけど、逃げ先が海中ではなく、空というのがトビウオなんですね。

トビウオの羽?!
トビウオの羽のようなヒレを拡げた姿がこちらです↓

意外と本格的で立派な羽?!を持っているんですね。

トビウオの数え方

なんと、トビウオは鳥と同じく「羽」で数えるそうです。なのでこちら↑の画像の場合、「2羽のトビウオ」と言うそうです。本格的に「鳥」ですね。ウサギも羽で数えますが、トビウオの方がぴったりくる気がします。
ちなみに「尾」も使われるそうです。

トビウオは飛ぶというより跳ぶ!?

トビウオは鳥のように「飛ぶ」のではなく、ムササビのように羽のような胸ビレを広げて「滑空」しています。
本気で泳ぐと時速50kmを超え、その勢いでヒレを広げて飛び立つと……なんと新幹線16車両=404mを飛び越えます! 滞空時間は42秒! すごい!!なんでトビウオ飛ぶん? | 知って得する!川田一輝のお魚あれこれ No.69 | p1 | WEBマガジン HEAT
飛行の平均距離と高度は?
トビウオの飛行距離は、種類や状況によって異なりますが、一般的には30~50メートル程度といわれています。一部の種類では、100メートル以上の距離を飛ぶことが確認されており、これは小型の飛行機に匹敵する滑空能力です。飛行の高度は通常1~2メートルほどですが、波の状態や風の影響を受けると、さらに高く飛ぶ場合もあります。
飛行の距離や高度に影響を与える要因として、海面の状態が挙げられます。穏やかな波の上では長い距離を滑空しやすいですが、波が荒れている場合は飛行が妨げられるのです。また、風の向きや強さも重要で、追い風がある場合には飛行がよりスムーズに進みます。
トビウオが飛行する際の速度も驚異的で、時速50キロメートル以上に達することがあります。この速度は、外敵から逃げるために必要な条件を十分に満たしています。また、トビウオは飛ぶだけでなく、かなりのスピードで泳ぐのも得意で、これらの能力が組み合わさり、生存に大きく役立っているのです。
トビウオは鳥や昆虫のように羽ばたいて「飛ぶ」のではなく、グライダーのように滑空するので「跳ぶ」の方が正しいようです。

跳ぶためのトビウオは体の構造を変化させた
海で生きる魚とは思えないほどの飛行スタイル。跳ぶための距離や速度を得るためにトビウオは体の構造を変化させてきました。
トビウオが飛ぶためには、特別なヒレの構造が大きな役割を果たし、胸びれが非常に長く、鳥の翼のように広がります。この胸びれは骨と筋肉で支えられ、空気をしっかりと受け止められる形状になっています。このため、水中から飛び出しても空中での安定した滑空が可能です。さらに、体全体が流線型であることも飛行に適しています。この形状により、水中から飛び出す際の抵抗が少なくなり、スムーズに空中へ移動できるのです。
トビウオが飛ぶ仕組みとは? 驚くべき能力と生態について | animal lab(アニラボ)
トビウオには胃がない!?
トビウオは胃がない「無胃魚むいぎょ」です。そのため、食道と腸が直結しており、消化管も直線的で短くなっています。これは、体力を軽くし、飛行するための合理的な構造になっていると考えられています。
トビウオのような無胃魚はサンマ、イワシ、メダカ、コイ、キンギョなどがいます。
流線型の体に羽根のようなヒレ、そして軽量化のために胃まで無くすというトビウオの本気度!?を感じます。
ですが、胃に関してはメダカやコイ、キンギョは逆にどうしてなんだろう?と悩みます。

トビウオが空中に飛び出すメカニズムは?

トビウオが空中に飛び出す際には、巧妙な動きが関係しています。
まず、水中で勢いよく尾びれを動かし、短時間で加速し、水面を切るように飛び出せます。
飛び出した瞬間に胸びれを大きく広げ、空気を捉えて滑空を開始します。
さらに、飛んでいる最中に尾びれを水面に叩きつける動きを繰り返して、より推進力を得られます。この動作は「水上助走」と呼ばれ、飛行距離を延ばし、飛行を持続させるための重要なテクニックです。
飛行中のトビウオは、胸びれだけでなく、腹びれも使って姿勢を安定させています。このバランス感覚がなければ、空中での滑空がうまくいかず、短時間で水中に戻ってしまいます。
実際に跳んでいるトビウオの動画を見つけました↓
海面から出てすぐは左右の羽をパタパタ、尾びれをぴょんぴょん動かしています!

トビウオは生後2週間で初フライト可能
トビウオの速く遠くへ跳べるという特徴は生まれてすぐ有効になるようです。

トビウオ(飛魚)の赤ちゃんは飛べるの?草食動物などは産まれてすぐ歩くようになりますが、さてトビウオの赤ちゃんは飛べるのでしょうか?トビウオは孵化後すぐに飛ぶことはできません。しかし、2週間ほどでヒレが発達し飛ぶようになります。成長がとても早い魚ですね(^^)/

トビウオの一生はわずか1年

トビウオは寿命がとても短く1年ほどです。そのため、こんなに特徴的な魚にもかかわらず、水族館などでは展示していません。
トビウオの一生はたった1年。1年は51週。2/51と考えると、だから早くから跳べるように成長しなければならなかったのかも知れません。

トビウオのタマゴは「トビコ」
トビウオの子ども、タマゴを「トビコ」と言います。

とびこ(飛子・飛び子)
トビウオ(飛魚)の魚卵を塩漬けにした食品。
見た目は「イクラ」。サイズ的には「タラコ」。成長したトビウオよりも魚卵である「トビコ」の方を食べたことがあるのではないでしょうか?

トビウオのニックネームは「あご」
トビウオのことをよく「あご」と呼びます。なぜ「あご」と呼ばれてしまうのでしょうか。

あごが落ちるほど美味しい魚
「あご」とは、九州北部から日本海側の地域で呼ばれている「トビウオ」の呼称です。ダツ目トビウオ科、亜熱帯〜温帯の海域に生息する海産魚で、世界で50種類ほど存在すると言われています。回遊魚のため地域によって漁期は異なりますが、日本近海では20〜30種類のトビウオが生息しています。トビウオが九州などの地域で「あご」と呼ばれるようになった由来は「あごが落ちるほど美味しいから」「食べるときに硬くてあごをよく使うから」「トビウオを前からみると顎が出ているから」「トビウオの学名:Cypselurus agooから」など諸説あります。
脂肪分が少なく、青臭さがあまりないことから、刺身、すり身、塩焼き、唐揚げなどさまざまな調理方法で食されますが、中でもあごだしは深いうま味がありながら、すっきりとした上品な口当たりが特徴です。昔から九州では祝いの席やお正月、祭事など大切な場面で縁起のよい高級食材として振舞われ、愛され続けています。
九州では「あごだし」が有名です。つまりトビウオから取る出汁です。

あごだし

乾燥させたトビウオから取った出汁をあごだしと呼びます。
あごだしの作り方

あごだしは金色を帯びた透明で、他にないとてもスッキリとした味わいです。

トビウオの栄養

とびうお 焼き干し 100g当たり
- エネルギー・・・・・・・・・309 kcal
- たんぱく質・・・・・・・・・73.4 g
- 脂質・・・・・・・・・・・・3.3 g
- 炭水化物・・・・・・・・・・0.1 g
- 食塩相当量・・・・・・・・・1.8 g
- 飽和脂肪酸・・・・・・・・・0.56 g
- n-3系脂肪酸・・・・・・・・・0.49 g
- n-6系脂肪酸・・・・・・・・・0.08 g
- 糖質・・・・・・・・・・・・0.1 g
- ビタミンA・・・・・・・・・・17 µg
- ビタミンD・・・・・・・・・・3.3 µg
- ビタミンE・・・・・・・・・・2.4 mg
- ビタミンK・・・・・・・・・・1 µg
- ビタミンB2・・・・・・・・・0.32 mg
- ナイアシン・・・・・・・・・16 mg
- ビタミンB6・・・・・・・・・0.21 mg
- ビタミンB12・・・・・・・・15 µg
- 葉酸・・・・・・・・・・・・40 µg
- パントテン酸・・・・・・・・0.82 mg
- ビオチン・・・・・・・・・・14 µg
- ナトリウム・・・・・・・・・690 mg
- カリウム・・・・・・・・・・1100 mg
- カルシウム・・・・・・・・・3200 mg
- マグネシウム・・・・・・・・200 mg
- リン・・・・・・・・・・・・2300 mg
- 鉄・・・・・・・・・・・・・2.7 mg
- 亜鉛・・・・・・・・・・・・5.4 mg
- 銅・・・・・・・・・・・・・0.23 mg
- マンガン・・・・・・・・・・0.26 mg
- ヨウ素・・・・・・・・・・・62 µg
- セレン・・・・・・・・・・・140 µg
- クロム・・・・・・・・・・・4 µg
- モリブデン・・・・・・・・・4 µg

トビウオの注目したい栄養素

- ビタミンE 抗酸化作用があり、動脈硬化予防に効果的。
- セレン 抗酸化作用があり、老化防止や心臓病予防に期待ができる。
- マグネシウム 筋肉や神経の興奮を制御する働きがあり、骨や歯を健やかに保つ効果も期待できる。
- ビタミンB群 ナイアシン、B6、B12、葉酸などが含まれ、代謝を助ける働き。
- たんぱく質 筋肉や血液などの組織の材料となり、体の機能を維持するのに不可欠。
- 脂質 鰯などに比べて少ないため、カロリーが低い。
効果
動脈硬化の予防 ビタミンEの抗酸化作用により、動脈硬化のリスクを軽減。
老化防止 セレンの抗酸化作用により、老化を遅らせる効果が期待できる。
骨や歯の健康 マグネシウムにより、骨や歯を強く保つ。
神経機能の維持 マグネシウムが神経機能の正常な働きを助ける。

トビウオの漁獲量ランキング

トビウオ 漁獲量ランキング(2006年)
- 長崎県・・・・・・・1,869 t(23.1%)
- 鹿児島県・・・・・・1,456 t(18.0%)
- 島根県・・・・・・・883 t(10.9%)
- 石川県・・・・・・・596 t(7.4%)
- 福井県・・・・・・・441 t(5.4%)
- 東京都・・・・・・・412 t(5.1%)
- 和歌山県・・・・・・312 t(3.9%)
- 高知県・・・・・・・308 t(3.8%)
- 宮崎県・・・・・・・280 t(3.5%)
- 鳥取県・・・・・・・241 t(3.0%)
長崎、鹿児島、島根の3県で全体の50%となっているようです。

空に輝くトビウオ
なんと、トビウオは跳び過ぎて夜空に輝く星になってしまっています。

とびうお座(とびうおざ、Volans)
現代の88星座の1つ。16世紀末に考案された新しい星座で、トビウオをモチーフとしている。天の南極に近くにあり、北緯26°より北の地域では星座の一部すら見ることができない。
南半球でしか観ることはできないようです。

★にょろにょろポイント★

トビウオの旬は種類によっても違いますが、概ね夏を代表するの魚です
トビウオは、地方によって、アゴ(長崎・福岡・島根・鳥取・能登)、トビ(関西)、ウズ(三重)、ツバクロ(石川)マイオ(焼津)などと呼ばれて親しまれています。春~夏にかけて、南の海から最も早くやってくるのはハマトビウオ、ホソトビウオ(マルトビウオ)、ツクシトビウオなど。続いて、サヨリトビウオ、アヤトビウオ、ヒメアカトビウオなどがやってきます。日本近海でも20種以上が分布しますが、前者を「春トビ」、後者を「夏トビ」と呼びます。伊豆諸島で漁獲量1位の「八丈春とび」は東京のプライドフィッシュです。

トビウオ。まるで翼を持ったような独特のカタチを持ったトビウオは結構有名だと思いますが、実際にトビウオを食べたという人は少ないかも知れません。その代わり、トビウオのタマゴであるトビコや、トビウオから取ったあごだしは味わったことがある人も多くなるかも知れません。
もしトビウオを見かけたらぜひ味わってください。
ー 適 材 適 食 ーてきざいてきしょく
小園 亜由美 (こぞのあゆみ)
管理栄養士・野菜ソムリエ上級プロ・健康運動指導士・病態栄養専門管理栄養士・日本化粧品検定1級

*1:文中の表現は全ての人が対象ではない場合があります。現在治療中の方は必ず担当医や管理栄養士の指示に従ってください。食事療法は医療行為です。ひとりひとりの身体の状態に合わせた適切でオーダーメイドなカウンセリングが必要です。充分に注意してください。
