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「数学廃止論」への反論 (1) ――本気なら、なぜ在職中に動かなかったのか――

「数学廃止論」への反論 (1)

――本気なら、なぜ在職中に動かなかったのか――

文科省

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文科省事務次官前川喜平氏が提案してきた、「高校での数学必修を廃止せよ」(略称として「数学廃止論」を使います) に対する反論を始めます。

数学そのものを廃止するというのではなくて、高校で履修する科目から、数学を廃止すべしという主張です。事実は何なのか、そして論理性、両方に問題があるのですが、ゆっくり説明して行きます。

反論というより、疑問と言う部分もあるのですが、まず前川氏の本気度についての疑問が生じました。

高等学校で何を教えるのかそしてどんなことを教えるのかは、文科省の中の組織では初等中等教育局が担当です。そして前川氏は2000年より前からずっと初頭中等教育局の中の様々な部署を経験して、2013年には初等中等教育局長になり、そして2016年には事務次官になっています。事務次官を辞任したのは2017年です。

一方昨日のブログで紹介した東洋経済の記事は2018年になってからのものです。その他の数学廃止論の発信も事務次官を辞めてからのものに限られています。

そこからの疑問です。前川氏が本当に数学教育の必修が高等学校教育において大きな障害になっていると考えていたのなら、なぜ2000年頃から、つまり氏自身が文科省の中でそのことについての担当部署に就いて以降、20年近くにわたって、その任にある文科省の中で問題提起をし、そして広く国民の間にもその意味が伝わるような努力をしてこなかったのでしょうか。

平凡なお役人だったら、敢えてお役所の中で目立つような、つまり出る釘に見られるような問題提起をしなかったとしても、それほど話題にもならなかったでしょうし、私がこんな疑問を呈することもなかったはずです。

しかしながら前川氏は、数学廃止論の根拠としても昨日御紹介した彼自身の発言の中でも自ら述べているように、子どもたちの貧困の問題、あるいは教育の問題を調査するために、わざわざガールズバーに頻繁に出かけて、実際に調査をしたという経歴の持ち主です。

実はそのこと自体も誤解されて、そういう教育的な目的のためではなく、もっと下卑た目的があったのだろうという前提で、マスコミからもずいぶん叩かれもしたのです。

それほどの犠牲を払ってまで現場に行き、そして調査をし、それを行政の中で生かそうとするほどの人なのなのですから、数学を高校から高校の必修から外すという「重い」テーマについても、同じような情熱を持って問題提起をするための事実調査をしても良かったのではないでしょうか。

ガールズバーの聞き取りの中でも数学教育が子どもたちにはどう受けためられているのか、特に、おそらく数学が得意ではなかったであろう女の子たちからの聞き取りも充分できたはずです。統計的に意味は無いかもしれませんけれども、その子たちの実際の体験をきちんとまとめて、文科省内で問題提起をし、広く世論に訴えたとしてもバチは当らなかったはずです。

それをせずに、初等中等教育局長から事務次官まで登り詰め、そしてその職を辞さざるを得なくなって辞めた後に初めて問題提起をするというまだるっこしいやり方をなぜ取ったのでしょうか?

前川氏にとっては、こんな下種の勘繰りは一笑にふせばそれで済むことなのかもしれませんが、私と同じような疑問を持つ人は少なからずいるのではないかと思います。

次回は横道に逸れますが、前川氏についての疑問を一般化して考えてみたいと思います。世の中には、前川氏と同じように影響の力を持つ立派な立場に立っている間は忠実にその職務を果し、退職後にその任を離れてから初めて、在職中の立場とは異なる、いわば自分の「本心」を世界に向けて発信し始めた人がたくさんいます。

そのこと自体、例えば軍需産業で大きな手柄を立てた人が、退職後、核廃絶運動のリーダーになると言うような例があるのですが、それは歓迎すべきことだとは思います。でもだったらなぜ、影響力の大きな在職中に自分の本心に従って職を賭してでも行動をしなかったのでしょうか、という疑問も生じます。

 

皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!

[2025/10/2     人間イライザ]

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