ふくみみdiary

  日常のあれこれのほか、読書記録、ドラマ(韓国・中国)感想記録を残してます。

読書「ストーンサークルの殺人 M.W.クレイヴン」他

知らない作家さんでも面白い小説があるなぁと思う同時に、好みって人それぞれなことが不思議です。

この好みというのはどこでどう決まっていくのか・・。

ネタバレあります。

212.六人の嘘つきな大学生 浅倉秋成

『人気のIT企業の最終選考に残った6人。全員内定獲得を目指し協力して最後の課題に取り組んでいた。

しかし直前になって内定がもらえるのは1人だけと通告される。さらに6人の罪と嘘を暴く謎の封筒が見つかり・・』

ミステリーと紹介される作品です。緻密に考えられたストーリーですし、二転三転する展開はミステリーとしての面白さ十分なのでしょうが、私はミステリーという感じは受けませんでした。

就活を通して成長していく若者の物語として読みました。

それぞれの登場人物をイメージ出来ず、なかなか入り込めませんでした。ようやく最後になって人物像がはっきりとしましたが、私としては遅かったなと思います。

一面だけで人を判断しがちな危険性や就活の裏側なども描かれていて、ある意味勇気や希望を感じられる内容でもありました。

213.屍人荘の殺人 今村昌弘

『ミステリー愛好会の会長で名探偵の明智とその助手の葉村の前に剣崎という女子学生が現れ、映画研究会の夏合宿に一緒に参加してもらえないか?と持ちかけられる。

映画研究会には「今年の生贄は誰だ」という脅迫状が届いていた。

葉村は初対面の自分たちと参加したいという剣崎を訝しむが、明智は乗り気で3人で参加することにした。

しかし初日から思わぬことで、合宿施設のペンションに閉じ込められることに。恐怖と緊張の中、ペンション内で合宿参加者の一人が惨殺死体で発見され・・』

外界から遮断された中での殺人事件。すぐそばに犯人がいるという状況のミステリーです。自ずと緊張感が高まります。謎解きミステリーとしてとても面白かったです。

このミステリーの奇抜な設定が、否応もなく恐怖感を煽り、逃げ道のない絶体絶命を決定づけて緊張感を更に高めています。

合宿参加者は身動きとれなくなるのですが、その理由がちょっと奇抜過ぎて騙されたような感覚も覚えました。実際にはあり得ないことだろうと思いましたし・・。

主人公と思った明智が早い段階で表舞台から消えてしまうのもびっくり。

SFと本格的な謎解きミステリーが融合したような物語です。一昔前とは違う新しい工夫なんだろうと思いました。

214.ひとりでカラカサさしてゆく 江國香織

『86歳、80歳、82歳の仲の良い3人の老人が大晦日の日にホテルの一室で猟銃で命をたつ。

それぞれの遺族の間には思いがけず新しい関係が出来ていく。この3人の死がなかったら出会うこともなかった人たち・・』

かなりショッキングな出だしなので、暗い物語かと思いましたし、死んだ3人のこれまでを描いたものかと思いましたが違いました。

この死をきっかけに故人を振り返り、その死を受け入れていく遺族達の物語です。不思議と穏やかで軽やかな雰囲気が魅力的でした。

でも何がテーマなのか?読み終わった今もあやふやです。多くの人と交わっていても、人間は結局一人で決めて自分の人生を歩んでいるのだということでしょうか。

何もかもわかり合うなんてことは不可能だし、その必要もないのでしょう。

死んだ3人も含め登場人物のそれぞれの生き方や考え方がしっかりと伝わり、とてもリアルに感じました。

ただ登場人物が非常に多く、その関係性も複雑なので、人物相関図の作成が必要かと思います。この人は誰だっけ?と思うことがしばしばありました。

また展開が小刻みに変わり、過去と現在が行ったり来たりで少し戸惑いました。

そんな風に躓きつつ読みましたが、最後は清々しさもあり独特の読後感でした。

215.ストーンサークルの殺人 M.W.クレイヴン

『イギリスのカンブリア州のストーンサークルで次々に発見される焼死体。この猟奇的な殺人で世間を騒がせている犯人はイモレーション・マンと名付けられた。

遺体は焼き尽くされており捜査が難航する中、重大犯罪分析課の分析官ブラッドショーは大きな手がかりを見つける。

三番目の犠牲者の体には不祥事を起こして停職中の刑事ワシントン・ポーの名前と「5」が刻み込まれていたのだ。ポーは停職処分を解かれ捜査に加わることに』

ものすごく面白く満足度の高い作品でした。

ハヤカワ文庫でしたが分厚い長編で少し怯みましたが、読み始めたら止まらず一気でした。海外ドラマを見ているようなワクワク感もあり、日本のミステリーとは違う楽しさでした。

最初から本題に入っているので焦点がはっきりとしていて物語に入り込みやすいです。テンポも良く飽きる暇がありません。

よく考えられたストーリーで描写は丁寧です。真実に迫る過程は複雑ですが、それでもスッキリとまとまっていて、なによりも説得力があります。

登場人物も個性が際立ちとても魅力的でした。

最後は畳み込むような展開が続きます。思いもよらないどんでん返し、そしてこんな終わり方は酷すぎる思っていたら、さらなるどんでん返し・・。おしゃれな終わり方だなと思いました。

ミステリーとして面白いというだけではありません。人間の闇やトラウマ、狂気だけでなく、仲間との絆や信頼、そして友情と大切に思うからこその葛藤なども描かれて、人間の心も追求した内容でした。

これぞミステリーという感じの質も完成度も高い作品でした。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。