映画

私家版 今年の映画ベスト 60

2025映画 BEST of そりゃそうだろ編 ベスト18(観た順)『敵』『ANORA』『名もなき者』『ウイキッド ふたりの魔女』『新幹線大爆破』『リー・ミラー』『国宝』『ルノワール』『フロントライン』『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』『ふつう…

『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』ネタバレ

2024年、フランスで最高の興行収入を記録した映画。しかも、日本でもヒットした『最強のふたり』の記録を塗り替えたそうだ。 どんな文化にも光と影があると思うけど、こういう映画が大ヒットすることにもフランスのよき伝統があらわれて見える。 今回のこれ…

『サターン・ボウリング』ネタバレ

パトリシア・マズィ監督。『ガール』のお父さん役だったアリエ・ワルトアルテ主演。その弟にアシル・レジアニ。『過激派」動物保護団体を主催するアジア系の女性にY・ラン・ルーカス。 父と子、相続、兄弟、という聖書の創世記のカインとアベルから延々と繰…

『みんな、おしゃべり!』

同じ商店街で暮らす聾唖の家族とクルド人の家族がひと悶着起こす。着想がユニークなので面白くなりそう。だけど、ディテールは興味深いのに全体としては稚拙。 でも、『稚拙」は貶し言葉ではないから、褒めようとしてるのかも。 在日クルド人も聾唖の人もど…

『殺し屋のプロット』ネタバレ

マイケル・キートン監督・主演。これがマイケル・キートンの初監督作品だそうだ。ポスターのマイケル・キートンが濃い目のサングラスをしているのは興行的に損なんじゃないかと思う。もっとマイケル・キートンでっせ!という打ち出しで行くという手も。 軍の…

『プラハの春 不屈のラジオ報道』ネタバレ

1968年、社会主義の民主化、民主社会主義を求めたチェコスロバキアにワルシャワ条約機構下の軍隊が侵攻して制圧した。 その時の大義名分が「ナチからの解放」。今、ロシアがウクライナに侵攻している大義名分の「ウクライナの非ナチ化」とまったく同じ。57年…

『ズートピア2』

大ヒットした前作は見てないんだけど、こないだの『怪盗グルーのミニオン超変身』からCGアニメに対するアレルギーが出なくなった。 これはいつにかかってCGアニメの作り手側の努力の賜物。2012年の『メリダとおそろしの森』の時にはメリダの赤い髪の表…

『エディントンへようこそ』

アリ・アスター監督の『ミッドサマー』は、世間がいうほどには面白いとは思わなかった。カルトは遠い異国ではなく身近にあるからこそ怖いのであって、北欧に出かけてったらこんな変な人たちがいましたっていうのでは、それはエキゾチシズムにすぎないと思う…

『平場の月』ネタバレ

「性格悲劇」ということばがあって、それはシェークスピアの『オセロ』なんかを評するための言葉。『オセロ』を読んだり観たりしたあと誰もが「オセロ、お前よぅ」と思うあの感じをそういう言葉で言い表している。 『平場の月』はまさしくそれで、つまり、こ…

『小川のほとりで』ネタバレ

キム・ミニ主演のホン・サンス映画では『それから』が好き。あのあたりからホン・サンスが好きになり始めた気がする。何にせよジワーっと好きになってきたのでその魅力を説明するのは難しい。 『小川のほとりで』はひさしぶりにキム・ミニを主役に迎えて、キ…

『手に魂を込め、歩いてみれば』ネタバレ

この映画を観て私が何を思っているか、もし知りたいのであればこの映画を観てほしい。その時あなたが思うことを今私も思っている。ただし、イスラエル人は除く。イスラエル人以外の世界中のすべての人がこの映画を観れば思うことを私も今思っている。www.huf…

『消滅世界』ネタバレ

『コンビニ人間』の村田沙耶香が原作。 『コンビニ人間』は労働そのものが喜びになってしまっている女性が主人公だった。あれは、コンビニのバイトがモチーフだったから奇異に感じられるだけで、他の職業ならありふれた話かもしれないし、もっと上級なお仕事…

『落下の王国 4kデジタルリマスター』

もともと名曲として名高いベートーヴェンの交響曲第7番なんだけど、2008年以降は『落下の王国』とともに思い出されるようになった。しかも、第7番の第2楽章なのが渋い。 石岡瑛子の衣装とともに圧倒的な映像美は記憶していたけれど、あの女の子アレク…

『Ryuichi Sakamoto : Diaries』

「『日記』に刻まれた坂本龍一、最後の3年半の軌跡。」とあるので、坂本龍一の日記をもとに最期の日々が再現されているのだと思った。ところが、驚いたことに、ほんとに臨終のその日までカメラが病室にいて彼の姿を記録し続けている。そして、意識を失わない…

『兄を持ち運べるサイズに』ネタバレ

『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督最新作。 オダギリジョーは結局これが一番と思わされる。変幻自在の役者さんもいればこれしかできないって役者さんもいる。オダギリジョーは後者なんだと思われる。『夏の砂の上』はプロデュースも務めたが、出役と…

『ブルーボーイ事件』ネタバレ

個人的には、まず売春を取り締まることじたいが間違ってる。売春と他のあまたの労働とどうちがうのか?。売春を罰するんではなくて、売春の労働環境を改善しろ。何で国家の体裁のために個人が犠牲にならなきゃいけないんだって。冗談じゃない。そのうえ、売…

『金髪』ネタバレ

坂下雄一郎監督のオリジナル脚本らしい『金髪』は、岩田剛典を教師役に迎えた1980年代生まれ世代の学園ドラマ。これにくらべると是枝裕和の『怪物』や三池崇史の『でっちあげ』に描かれている教師たちがステレオタイプに見えてきさえする。 もちろん、いずれ…

『次元を超える』ネタバレ

ネタバレも何もないけれども、豊田利晃監督作品でなければ映画俳優としての千原ジュニアをここまで堪能できないのではないか。加えて、松田龍平、窪塚洋介、東出昌大、渋川清彦、板尾創路と、曲者ぞろいのキャスティングがまるで遊んでいるように見えつつ、…

『レッドルームズ』ネタバレ

ほんとはもう九月末に公開されてた『レッドルームズ』が何となく気になって観に行った。 カナダ映画なんだけど、舞台がモントリオールなのでフランス語。 世情を騒がせた少女連続誘拐殺人事件の容疑者が捕まってその裁判が始まったところ。今のところ状況証…

『ハード・トゥルース』ネタバレ

これまたわたくし全く事前情報なしに観に行ったので『アメリカン・フィクション』の流れなのかなと思っていた。ちなみに、結論から言うと、すごくよかったので、ネタバレなしで観ることをおススメしたい。この記事は例によってネタバレ上等で感想を書きまく…

『モロカイ・バウンド』ネタバレ

タイトルの「モロカイ・バウンド」は「モロカイの方へ」とか「モロカイゆき」という意味だと思う。「bound for~」というと「~行の」という意味なんだけど、ただ一方でboundには「縛られている」「囚われている」といった意味もあって、そうとると「モロカイ…

『旅人の必需品』 ネタバレ

月刊 ホン・サンスとして立て続けに公開される日本未公開のホン・サンスの新作映画5本はすべて観る予定。この多作ぶりもすごいけど、いつ観ても未経験の鑑賞体験を与えてくれる。ネタバレなしで観たほうがよいと思うよ。 この『旅人の必需品』を観ても、ホン…

『旅と日々』ネタバレ

三宅唱監督は『きみの鳥はうたえる』以来、その脚色の力に心酔している。佐藤泰志の小説を映画化するのが流行ったような一時期が、偶然かどうかあったのだけれど、なかでも三宅唱監督の『きみの鳥はうたえる』は原作を超えていると感じた。若くして自殺した…

『エリック』『ローズ家 崖っぷちの夫婦』

『ローズ家 崖っぷちの夫婦』は、ベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマンのダブル主演なのだから、まあ滅多なことにはならないだろうと思ったが、というか期待したが、私の映画リテラシーが不足していたみたいで、この映画は1989年、マイケル…

『スノードロップ』ネタバレ

新宿武蔵野館で10/10〜10/23の2週間限定公開の予定だった映画が、ようやく大阪でも公開を迎えたその初日だったそうで、吉田浩太監督と主演の西原亜希さんが舞台挨拶にいらしていた。 映画のクランクアップは2023年だそうで、それから劇場公開までおおよそ3年…

『ホーリー・カウ』

『見はらし世代』につづいて二十代の監督の作品。国籍と性別はちがう。ルイーズ・クルヴォワジエ監督は1994年生まれのフランス人女性。だと思う。生まれはスイスのジュネーヴだそうで、この映画の舞台になっている、スイスに国境を接したフランスのジュラ県…

『秒速5センチメートル』ネタバレ

奥山由之って人は兄弟ふたりの中でも、お父さんのプロデュース感覚を強く受けついでいるのかもしれない。 『アット・ザ・ベンチ』も、わたくし勘違いしていたけど、脚本家は各パートごとに違うものの、演出は奥山由之ひとりだったのね。蓮見翔のパートがまる…

『ブラックバッグ』ネタバレ

YouTubeのシネマサロンを見といてよかったと思うのはこういうとき。竹内さんが謎解きしてくれている。あんなの一回観ただけでよくここまで理解できるわと驚かされる。これ見てから観に行ったほうがよい。 っていうか、そうか、そりゃ、わたしの頭が追い付か…

『ワン・バトル・アフター・アナザー』ネタバレ

ポール・トーマス・アンダーソン監督はアメリカをよく知っているってことなんだろう。右や左の論客、デマゴーグ、スタンダップコメディアンなどなどをひっくるめて黙らせる作品力。 最低な下ネタから喫緊の政治テーマまで、ひとつの串で貫き通して、「アメリ…

『宝島』

『宝島』は暴動のとこまですごく良かったけどな。 上昇気流に乗って上げて上げて上げていく感じは、公式サイトのコピーどおり「劇場でたぎる」感じだったんだけど、その後、墜落したな。 昇っていくのが上手いだけでももちろん大したものなんだけど、頂から…