爆裂都市〜BURST CITY
2006年 09月 02日

先日、DVDを購入してひさしぶりに石井聰互監督の『爆裂都市』を観た。
この映画は観る度に印象が変わり、私のなかではつねに評価が定まらない。
それでも、毎回、なんらかの意味で圧倒される刺激的な映画であることは間違いない。
「これは暴動の映画ではない。映画の暴動である」が劇場公開時(1982年)のキャッチコピー。まさに的を射ている。近未来の架空の貧民窟を舞台に、ロッカーとチンピラとキチガイとヤクザとポリスと変態とスラムの住人の欲望と怒りと破壊衝動だけが延々描かれている。はなから物語は破綻し、観る者に感情移入の隙も与えない。そういうわけで観る度に気分と印象が変化するのである。
石井聰互監督は70年代後半から80年代始めに、当時一大ブームだった自主制作映画の世界に君臨するキングだった。日大芸術学部在学中に8ミリで撮った『高校大パニック』は日活で劇場映画としてリメイクされ、つづく16ミリ作品の『狂い咲きサンダーロード』はその圧倒的な面白さを買われ、そのまま35ミリにブローアップされて東映系で全国劇場公開されるという偉業を成し遂げた。『爆裂都市』はその勢いにのって、石井聰互監督が初めて手がけた35ミリ劇場作品だった。
しかし、よくもわるくも、彼は自主制作映画のスタイルをこの作品でも貫き通し、結果、空前絶後の〝パンクムービー〟を撮り上げたのだ。パンクロッカーが主役だからそう呼ぶのではない。過去の映画の常識をなにからなにまで破壊しようと試みたそのスピリットがパンクだったのである。
スタッフも全員自主映画出身(のちに『どついたるねん』で脚光を浴び、石井聰互よりも売れっ子監督になる阪本順治の名前もクレジットされている)。エキストラのほとんども当時の学生たちのため、一般映画を観る感覚でみれば未熟なアラも目立つ。とくに音楽が売りのひとつであったにもかかわらず、音響のつたなさは残念としかいいようがない。それでも、いま観ても先鋭的な映像が騒音の向こう側にあるスピリットを伝える。映画はやはり〝映像力〟なのである。
この映画のキャストがいまみるとまた凄い。
主役を演じたのはこれが映画デビューの陣内孝則(当時は人気インディーズバンド〝ロッカーズ〟のボーカル)、いまや芥川賞作家として文壇で活躍する町田康(当時は町田町蔵。パンクバンド〝イヌ〟ボーカル)、変態パンクバンドのスターリン(ボーカルの遠藤ミチロウはステージでオナニーしたり豚の臓物を客に投げつけたりで悪名高かったが、私は彼の書く歌詞が大好きだった)、そして名の知れたところでは泉谷しげる(この映画の美術監督も兼任)、戸井十月、上田馬之助、コント赤信号、麿赤児、まったく無名時代の室井滋(彼女はもともと自主映画でヒロインを演じていた)も出演している。
■1982年/東映セントラルフィルム/ダイナマイトプロダクション製作
「狂い咲きサンダーロード」は僅か800万円足らずの製作費で撮られた16ミリ自主映画です。主演はこれがデビュー作品の山田辰夫。共演は小林稔侍(特別出演。ほとんどノーギャラだったと聞いています)。他の出演者は若手劇団員や日大芸術学部の学生やホンモノの暴走族(笑)。製作資金も自分たちで調達したインディーズ映画(当時そんな言葉はありませんでしたが)ですからお金はまったくかかっていません。が、そのエネルギーは凄まじいものでした。山田辰夫の水を得た魚のような演技は多分、彼にとって人生最高のものといっても過言ではなく、「爆裂都市」でもみられた奔放なカメラワークはこの作品でも生きています。DVD単品発売、ぜひ実現してほしいですね(ちなみに私はβのビデオソフトなら持っているのですが・・・笑)。
この映画、自主上映の後に東映に買い上げられ、35ミリフィルムにブローアップされて全国公開されました。当時、東映がアナウンスした製作費はたしか1600万。この金額はいわゆる公称というやつで、実際は東映が買い上げた金額でした。いくら自主制作映画とはいえ、天下の東映が1000万円もかかっていないフィルムを公開しているとは言いにくかったんでしょうね。
しかしながら、実質的にはスタッフもキャストも皆、手弁当で作り上げたわけで、メジャーで製作したなら公称の数倍の製作費がかかっていたことは間違いありません(音楽監督として泉谷しげるが参加していますが、彼もまた無償で曲を提供しています。この映画は使われている曲がすべて秀逸。他にはパンタ&ハルやモッズの曲も流れていました)。ちなみに爆裂都市は狂い咲き〜の10倍の約8000万円だったと記憶しています。
あ~本当に見たいですよ。いつかDVD-BOX欲しいですよ。
狂い咲き〜の他にも、今回のDVD-BOXに収録されている「シャッフル」という幻の短編(大友克洋の劇画が原作で、私も学生時代に1回しか観ていません)も最高です。
まいったな。私もDVD-BOX欲しくなってきちゃいました(笑)。
ネットで調べていたら、DVD-BOXの予告編映像を見つけました。
http://www.transformer.co.jp/special/ishii.html
ぜひ、ご覧になってみてください。

