こちらはYuruvent Advent Calendar 2025 23日目の記事です。
もくじ
はじめに
情報は、人の意思決定に深くかかわります。
私達は目標を達成しようとするとき、無意識に戦略を立てています。しかし戦略を立てるためには目標までの周辺環境を知らなければなりません。ここで精度の低い情報を参考にすると、目標から遠ざかってしまう恐れがあります。
そこで本記事では、筆者が個人的にネットニュースなどの情報と触れる際に意識していることをまとめます。
本記事執筆の背景
※あまり興味ないかもしれませんが、筆者が本記事を執筆しようと思った背景について少し説明します。興味ない方は飛ばしてください。
2025年、筆者はほぼ毎日2時間半~3時間程度を使って特定分野のニュースたちとにらめっこしていました。
対象は以下の2分野です。
・世界情勢
・サイバーセキュリティ
これらの分野について「今世界がどうなっているか」、「今サイバー攻撃やその攻撃者がどのようになっているか」といった観点で日々巡回していました。
しかしニュースの中には誤報や、ミスリードしやすいものなども混在していました。2025年上半期にはこれらの情報に何回か翻弄されました。デジタルネイティブと日々もてはやされ、それなりに情報との付き合い方に自信があった筆者としてはかなり衝撃的で、情報との付き合い方ということを改めて考えさせられるきっかけとなりました。今回はそういった日々の作業の中で意識していった情報の付き合い方について言語化し、残したいというモチベーションで執筆しています。
情報と付き合うためのポイント
主に私が情報と付き合う中で大切だと感じたものは、次の5点です。
今後詳しく説明していきます。
- 重視する分野軸を考える
- 事実は何かをとらえる
- 情報発信者の属性を考える
- 裏どりをする
- 情報発信の経緯を考える
1. 重視する分野軸を考える
まず情報調査よりも前に、自分が重視する情報を整理します。
はっきりいって、この現代社会は情報が多いです。多すぎます。知名度のあるメディアのニュースだけでも毎日大量に発出されています。そんな状況で全ての情報を得ようとすると、あっという間におじいちゃんおばあちゃんです。
ということで、自分の興味ある情報・必要としている情報はどんなものかを整理します。これによって、おじいちゃんおばあちゃんになる前に効果的な情報の取捨選択ができます。
ただし分野軸を整理する際にイデオロギー(思想)を介在させることはおすすめしません。介在させることで偏った情報を選択しがちになってしまい、情報の精度が下がる恐れがあるためです。
私の場合、興味のある分野として「世界情勢」と「サイバーセキュリティ」を選択しました。しかしこれだけでは範囲が広いため、さらに重視するものを絞り込みました。「世界情勢」であれば「国家間の関係が大きく変動する事件」や「数年前から継続している事件(ウクライナ情勢など)」、「サイバーセキュリティ」であれば「攻撃者に関する情報」や「攻撃手法」と行った具合です。このとき「興味」よりも大きい思想(政治思想など)を入れないよう注意しました。

実際にニュースを収集する段階では、世界情勢とサイバーセキュリティのニュースを開いて要旨を読み、重要度が高ければ内容をしっかりと読むという形態を取りました。
そのため今後の章で登場する"情報"という単語は、重要度が高いと判断されしっかりと内容を理解しようとしている情報を指します。
2. 事実は何かをとらえる
次に情報の中から、事実のみを抽出します。
テキストベースの情報には、以下の要素が混在しています。
- 揺るぎようのない事実
- 執筆者による推測
- 執筆者の感情や思想
この中でも私たちが最も必要としている情報は「揺るぎようのない事実」です。極論、その他の要素は読み手自身が創出してしまえば良いです。
そのため情報の中から「事実として記載されている情報」のみを抽出することが必要です。抽出の際には5W1Hを意識するとやりやすいです。
なお事実の情報とは情報の受け取り手にとって確実に発生した事象だと分かる物を言います。例えば「〇〇が△△と述べた」というニュースが報道された場合、△△であることは事実ではなく、〇〇が△△と述べたことが事実です。

また専門家による推測は高い精度が期待できるため、こちらについても事実とは異なる枠組みで抽出して良いと思います。
3. 情報発信者の属性を考える
次に情報発信者がどのような人物/機関かを考えてみます。
事実は今後の戦略を立てる上で必要不可欠ですが、収集した事実たちが網羅的でなく偏っている場合は効果的な戦略を立てられない可能性があります。
しかし発信者によっては偏った事実のみに言及している可能性もあります。これは発信者の思想が入っていたり、発信者がすべての情報の中から特に重要と感じたものだけをピックアップしたりするためです。
そのため情報発信者/機関がどのような思想なのか、世間的にどのような評価を受けているのかを理解することで、欠落している視点や情報の偏り具合を考慮することが出来ます。
4. 裏どりをする
最後に他の情報源などを使って、事実の真偽を確認します。
世の中には誤情報や偽情報が溢れています。誤情報とは勘違いなどによって拡散した誤った情報のことで、偽情報とは意図的に作られた嘘の情報のことです。ほかに悪意をもって恣意的に拡散されているような情報も存在します。
このような傾向は少数ながらニュースでも見られ、どのような情報であっても複数の情報源から多面的に見る必要があります。この時、前項でも述べた通り網羅的な情報を収集することが大切ですので、裏どりを行う情報源は様々な属性の発信者によるものが良いです。
複数の情報源をもとに一つの事実を多面的に俯瞰することで得られる具体的なメリットは以下です。
- 情報の真偽性の精度向上
- ミスリードの回避
- 新たな背景情報の獲得
このように複数の情報源を調査することで情報の真偽を判定する以外のメリットがあります。
例えば気の利いた言い回しを使ったようなテキスト情報などはミスリードを起こしやすいです。そのため複数の「事実」を明確化するセカンドオピニオンのような効果を期待できます。
また同じ情報であったとしても情報源によって扱う範囲が異なり、別の情報源ではより詳しく説明されていることもあります。その後の事実の深堀調査で効果を発揮するようなキーワードを発見できる可能性が高まり、深堀りのとっかかりとなる効果も期待できます。
なお裏どり対象の情報源が参考文献などを明示している場合、他の情報源だけでなくこちらを参照することも重要です。情報発信者が参考文献で示されている文脈を正確に発信できていない可能性もあるためです。
当たり前の話かもしれませんが、もし裏をとれないような(つまり他に同様の情報を発信している信頼できるような発信者が見つからなかった)ときには、その情報は「事実」ではなく「事実である可能性が0%ではない情報(以降では不確定情報と表現)」として扱う必要があります。
5. 情報発信の経緯を考える
もし情報発信者の属性調査や裏どりがうまくいかず、情報の網羅性や真偽性に関する疑念を払拭できないときには、「なぜこの情報が発信されたのか」について考えることも有効です。
- 情報で示唆されるような事実について、発生する予兆があったか
- 登場人物は誰か
- 情報の発信者は事実とどのように関係しているのか
- 情報が発信されることで世の中に波及する可能性のある影響はどのようなものか
こういった事項をもとに情報発信の意図を考え、「事実」ではなく「不確定情報」として扱う姿勢が大切になります。事実である可能性の度合いは情報発信の経緯推測などから、自分なりに考えてみるのが良いでしょう。
ショッキングな情報を見つけた時は
さあ、情報と付き合うためのポイントへの言及が終わり、意気揚々とおわりにへと参りたいところですが、一つだけ伝えたいことがあったためこの場をお借りします。
SNSでもニュースでも、様々な媒体で感情を揺さぶられるような情報と出会った時。そんな時には、一度深呼吸をして「本当か?」と考えることが大切です。
情報発信は単なる善意で行われていることもあれば、感情や思想を共有する目的で行われていることも、読み手の思考をコントロールする目的で行われていることもあります。(例えば本記事の目的は、思想の共有になっています)情報発信者は善人とは限らないのです。
これは私の勝手な見解ですが、特に人の感情に深く訴えかけるような情報は感情や思想の共有、思考コントロールといった目的で発信された可能性が高いです。人間は感情的になると理性的な判断を行いにくくなるためです。そして自分の感情を誰かと共有したいと感じ、情報をさらに拡散してしまうことに繋がります。
こういった善意以外の目的で発信された情報は、発信者の主張を裏付けるための事実のみが列挙されている可能性もあり、情報の網羅性や真偽性に不安が生じます。(もちろん本記事もです)
そのため感情を揺さぶられ、「拡散したい」と思うような情報と出会ってしまった時には、本記事で上げたような分析などによって自分なりの解釈を得ることが必要です。
自分なりの解釈をもとに、冷静に判断を行ってください。
おわりに
ということで、ここまでが2025年にほぼ1年間毎日ニュースを漁って学んだことになります。
ここまで読んでくださった方の中には「何を当たり前のことを」を感じた方もいるかもしれません。しかし情報が身の回りにあることが当たり前となり、その価値を感じづらくなった現代社会において、情報とどうやって向き合っていくかという姿勢は非常に重要で、何回でも振り返る機会があって良いものだと思います。
特に最近は生成AIの発展などによってディープフェイクが問題となっていたり、SNSなどを介した国家規模の影響工作なども問題となっていたりします。そのため今後はこういった情報と向き合う姿勢がより重要となっていく可能性もあります。
また情報の中には「確固たる事実とは言えないが、事実でないとも言えない不確実情報」が多数存在しています。そういった情報に対してはゼロヒャクで考えるのではなく、周辺情報の収集などを行って自分の中での確度を高めていくことが大切です。
本記事を読んでくださった皆様が、情報とどのような付き合い方をしていくかについて改めて考えてくだされば幸いです。
少し長くなってしまいましたが、ご精読ありがとうございました。


