
2025年11月17日、小田急電鉄から新型ロマンスカーに関するプレス発表があった。
デビュー予定は2029年3月。形式は「80000形」、7両編成、特急ロマンスカーEXE(30000形)の代替であり、同時にVSE(50000形)の後継としての位置づけとなるという。
開発コンセプトは「きらめき走れ、ロマンスカー」。
沿線を流れる多摩川・相模川、箱根芦ノ湖、江の島の海など「水」をテーマとし、車体カラーは淡い水色を基調とするとのことだ。
小田急沿線で育ち、ロマンスカーをきっかけに鉄道の世界に興味を持った自分としては、今回の発表に自然と関心が高まった。
同時に、どうしても少し複雑な気持ちも湧いてくる。
今回は、新型80000形の発表を受けて感じたことを率直にまとめておきたい。
*イラストは、小田急発表のプレスから、ChatGPTによる実写風イラストを作成したものです。

ボギー車化の決断と、連接台車に寄せる想い
今回の新型ロマンスカー80000形は、GSEに続き、連接台車を採用しないボギー車方式となる。
メンテナンスコストの観点や、将来的なホームドア対応に合わせて車体長を20mに統一する必要性、そして今後の運行柔軟性を考えれば、この決定は当然の流れなのだと思う。
──それでも、やっぱり寂しい。
小田急ロマンスカーと言えば、連接台車のしなやかな乗り心地、そしてあの独特のジョイント音に象徴される存在感があった。
ロングレール化された現代では、連続するジョイント音を味わう機会はほとんど無いが、それでも自分にとってはロマンスカーの魅力そのものだった。
幼い頃、沿線で耳に焼きついたあのリズム。
鉄道に惹かれるきっかけとなった、あの音と感覚。
それがまたひとつ時代の彼方へ消えていくように感じられ、胸の奥で小さな喪失感が広がった。

展望席の復活と視界への期待と不安
嬉しいニュースとして、展望席が設けられることが明らかになった。
しかし公開イメージでは、前面窓の左右に太めのピラーが残る構造に見えており、最前列からの視界がどうなるかは少し気掛かりだ。
VSEやその後に登場したGSEは中央のピラーがなく、前面視界が大きく開けた一方で、側面ピラーが太くなり、最前列窓側席では死角が生まれてしまった。

Hise(10000形)までのロマンスカーのほうが、純粋に「前面展望」を楽しめた印象が強く残っている。
未来の展望席は、あの感覚を取り戻せるだろうか──期待と不安が入り混じる。

デザインとカラーの印象
正面デザインは、どこかJR東海371系を思い起こさせる表情をしているように見えた。
かつて「あさぎり」として小田急に乗り入れていたあの車両を思い出し、少し懐かしい。
一方で、ロマンスカーの象徴とも言えるバーミリオンオレンジの帯は、完成イラストを見る限り外観上ほとんど目立たない。
連結面にワンポイントとして使用されるとのことだが、車両デザインとしての存在感は過去と比べ大きく異なる印象だ。

◆ 結びに──変わりゆく時代と変わらない願い
技術は進化し、安全性の基準も変わり、鉄道車両に求められる形は時代とともに動いていく。
それは決して否定するものではなく、未来へ向けた大切な歩みだと思う。
それでも、ロマンスカーだけはどこか「特別であってほしい」と願ってしまう。
箱根へ向かう旅の始まりを告げる、あの特別な高揚感。
沿線で育ち、ロマンスカーと共に年月を重ねてきた者として、そんな想いを大切にしたい。
2029年。
淡い水色の80000形が箱根へ走り出す日、自分はどんな思いで座るのだろうか。


【関連記事】