絵画から学ぶ歴史と宗教 ノートルダム大聖堂

今回もノートルダム大聖堂に収蔵されている美術品をご紹介します。

 

 

この作品は聖人が廃墟のような場所で、病にかかり瀕死の婦人を癒すという場面です。周囲には使用人でしょうか婦人を後ろから支えるように抱え起こし聖人の癒しを助けています。また、隣には瀕死の婦人を思い悲嘆に暮れている女性が描かれています。

婦人の目はすでに閉じられており手にはなにか握られてはいますが、だらりとしたに投げ出されています。

聖人は夫人の口にキリストの体聖体を与えているようです。

この婦人に癒しを与えているのはノートルダム大聖堂の資料から、聖人シャルル・ボロメオとわかります。

シャルルはイタリアのロンバルディアの上級貴族の家族に生まれ、叔父はメディチ家出のローマ法王という輝かしいファミリーです。

叔父の栄光もあってということでしょう、22歳には下級ですが枢機卿の位につきます。

この時代宗教改革のあらしが吹き荒れている時代でした、カソリック教会の堕落腐敗も甚だしく、シャルルはこれに果敢に取り組みました。教義の定義の作成など教会内部の重要な改革に邁進しました。

さて、この作品の主題ですが、1576年にミラノを襲ったペストの際のシャルルの活躍を描いたものと思います。

ペストの流行が始まると貴族や聖職者たちは郊外に避難するなかシャルルは街に踏みとどまり病院を作り、賛同する聖職者たちを病院に集めペストに苦しむ人の世話をしたという逸話があります。

多分この絵の主題はこの時のものだと私は思います。

題名 聖シャルル・ボロメオが病人を慰める

作者 作年 不明

 

この作品は磔刑に処されたペテロを描いたものです。

キリストの死後ペテロはキリストの教えに従い布教を始めます、このためペテロもローマ兵にとらえられ磔刑を宣告されます。ペテロは自分の刑はキリストと一緒では恐れ多いとして、自分の刑は十字架をさかさまにしてほしいと申し出てそのとうりに処刑されたという記述が聖書外伝にあります。

この時代はネロ皇帝の時代です。

この絵はまさにペテロが逆さ十字架の刑に処されるさまが描かれています、十字架を建てようとする死刑執行人とそれを阻止しょうとする使徒たちの行為が克明に描かれています。

天には天使がまい、ペテロが聖人であることを証明しています。

題名 聖ペテロの磔刑

作者 カール・ヴァン・ルー

作年 1743年

この作品もペテロが起こした奇跡について描かれたものです。

右側に青い着物を着て赤いケープを巻いているのがペテロです。

ある日ペテロが通りを歩いていると一人の女が瀕死状態で倒れていました、足には幼子が抱き着き母の手は子どもの首に力なく置かれています。そしてそのそばには目を病んで、包帯を巻かれた男が横たわっています。

上半身が裸で胸をはだけた婦人に今しも後ろから屈強な男がくさびを打ち込もうとしています。夫人の苦しみを早く終わらせようとしているのでしょう。夫人の子どもでしょうか少年がくさびを素手で受け止めそれを阻止しようとしています。

まさしくその瞬間にペテロがそのそばを通りすぎるという設定です。そうするとペテロの影に触れた病人が奇跡の復活を遂げるという聖書の中の一説です。

とてもドラマチックに描かれた作品です。

これも1630年頃にフランスを襲ったペストを暗示しているといわれています。

ペテロの着ている衣装は青と赤でキリストの存在を感じさせます。

題名 影で病衣人を癒すペテロ

作者 ローランド・ド・ラ・イール(1606-1656年)マニエリズムの作家

作年 1635年

 

2025年4月i-phne15pro