円安、物価高騰、国内市場の縮小...。日本の企業を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。「うちの会社も海外に目を向けた方がいいのかな?」と考えている経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか?
まさに、その流れが数字としてハッキリ出ました。
先日、PayPalが発表した「中小企業によるEコマース活用実態調査 2024」の結果から、日本のEC市場に起きている劇的な変化 と、その背景にある中小企業の「海外志向」 について解説します。
newsroom.jp.paypal-corp.com
越境ECの実施率がたった3年で2倍 に跳ね上がった!
引用:「ペイパル 中小企業によるEコマース活用実態調査 2024」を発表
結論から言うと、この調査結果は非常に衝撃的です。
PayPalの調査によると、ECを実施している日本の中小企業(従業員数4人〜299人)において、越境ECを行っている企業の割合 が過去3年で急増しています。
なんと、わずか3年のうちに、越境ECに取り組む企業が約2倍 に増加し、半数以上 がすでに海外に商品を販売しているという事実が明らかになりました。
さらに、「現在行っていないが、今後1年間に行う予定がある」と回答した企業(8.1%)も含めると、近いうちに約60% もの中小企業が越境ECに参入することが見込まれています。
もはや、越境ECは「一部の先進的な企業」が取り組むものではなく、「多くの企業にとって当然の選択肢」 になりつつあると言えるでしょう。
なぜ今、中小企業はこぞって海外へ向かうのか?
中小企業がこれほど急速に海外市場へ舵を切っている背景には、国内の厳しい経済環境と、海外市場の「魅力的な数字」 があります。
1. 厳しい国内環境と円安の影響
調査では、中小企業が過去1年間に影響を受けた要因として「物価の高騰」(50.0%)、「景気」(34.8%)、「為替レート」(31.0%)がトップ3に挙げられました。特に円安 は「仕入れ価格、その他コストの増加」(49.0%)という形で、企業の収益を圧迫しています。
国内ではコスト増を価格転嫁しづらい状況が続く中、「このままではジリ貧だ」と危機感を抱いた企業が、海外市場に活路を見出しているのは自然な流れです。
2. 越境ECは「顧客単価が高い」という魅力
最も注目すべきは、越境ECが単なる「売上増加」だけでなく、「収益性の向上」 につながっている可能性が示唆された点です。
顧客数
国内顧客の平均構成比: 90.6%
海外顧客の平均構成比: 9.4%
売上高
国内顧客の平均構成比: 85.1%
海外顧客の平均構成比:14.9%
顧客数の割合(90.6% vs 9.4%)と比較して、売上高の割合(85.1% vs 14.9%)が大きいということは、越境ECの顧客の方が国内顧客よりも購入単価が高い ことを示しています。
「高くても日本の品質の良いものが欲しい」「円安をチャンスと捉えて購入する」といった海外顧客の行動が、中小企業にとって大きな成長の原動力になっているのです。
越境EC参入で直面する3大課題
しかし、越境ECへの挑戦は簡単ではありません。挑戦する企業が増えた分、新たな課題も見えてきました。中小企業がECを行う上でぶつかっている主な壁は以下の通りです。
物流・資材コストの増加(34.8%): 2024年問題も相まって、海外への配送コストや資材費の増加が最大のネックになっています。
対応可能な社内人材の不足(29.0%): 言語対応、海外特有の法規制、マーケティングなど、越境ECを専門的に進められる人材が不足しています。
多様な決済手段の導入(28.1%): 各国のユーザーニーズに応えるため、現地の一般的な決済手段(クレジットカード、PayPal、ローカル決済など)の導入が求められています。
越境ECを成功させるには、これらの課題を一つずつクリアしていく必要があります。特に決済については、手数料やセキュリティ、そして海外ユーザーの信頼性に関わるため、グローバルで実績のあるサービス の導入が鍵となりそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のPayPalの調査で、越境ECはもはや「やってみたらどうだろう」ではなく、「やらないと生き残りが厳しい」 という段階に入ったことが分かります。
当ブログの読者の方々は、普段から「越境」に慣れている方々 だと思います。
海外との取引が当たり前になる時代、私たちが趣味で培った「海外のトレンドを読む力」や「輸入・物流の感覚」 は、そのままビジネスの大きなヒントになるかもしれません。
あなた自身がEC事業を立ち上げるにせよ、勤めている会社で海外展開を提案するにせよ、この越境ECのビッグウェーブに乗る準備を始めてみてはいかがでしょうか?