「なぜ国王の言うことが“絶対”ではなくなったのか?」
「自由や民主主義はどこから生まれたのか?」
その答えは、ロック・モンテスキュー・ルソーが活躍した“啓蒙思想”にあります。
彼らが迷信や圧政に立ち向かい、人々の自由を取り戻そうとした思想は、現代社会の土台にもつながっています。

啓蒙思想とは
啓蒙思想とは、「人間は理性を使えば社会をよりよくできる」という考えにもとづき、迷信や不合理な権力から人々を解放しようとした思想です。
当時のヨーロッパでは、国王が強い権力をにぎる絶対王政が続き、多くの人が自由を制限されていました。
だからこそ、ロック・モンテスキュー・ルソーなどの啓蒙思想家は、自由や権利を守る社会が必要だと主張したのです。
その結果生まれた考え方は、現代の人権や民主政治の基礎にもつながっています。
3人の啓蒙思想家の比較表
ロック・モンテスキュー・ルソーの3人は、啓蒙思想を理解するうえで欠かせない代表的な思想家です。
ここでは、それぞれの違いを表で整理してみましょう。
| 思想家名 | 国名 | 主な著書 | 思想の内容 |
|---|---|---|---|
| ロック | イギリス | 『統治二論』 | 人は自然権を持つ 社会契約説を主張 人民は抵抗権があると主張 |
| モンテスキュー | フランス | 『法の精神』 | 「立法・行政・司法」の三権分立を提唱 |
| ルソー | フランス | 『社会契約論』 | 人民主権を主張 国民全体の共通の利益を表す「一般意志」にもとづいて政治を行うべきだとした 直接民主制を理想とした。 |
3人に共通しているのは、「権力は国民の自由や権利を守るためにあるべきだ」という考え方です。
一方で、ロックは自然権と政府への抵抗権、モンテスキューは権力の分立、ルソーは人民主権と一般意志といったように、強調するポイントはそれぞれ異なります。
これらの思想が組み合わさることで、現代の民主政治や人権尊重の考え方が形づくられていきました。
ロック:近代的な権利の出発点
ロックはイギリスの思想家で、今の「人権」という考え方の土台をつくった人物として有名です。
彼は、人は生まれたときから「生命・自由・財産」といった大切な権利(自然権)を持っており、それは誰にも奪われないものだと考えました。
しかし、こうした権利を一人ひとりが自力で守るのは難しいため、人々は話し合い、互いに契約を結んで政府をつくるべきだとロックは主張します。
これが社会契約説です。
政治の力(統治権)は、国民が政府に一時的に預けているもので、元々は国民のものだとロックは考えました。
さらに、もし政府が権利を奪ったり不正な支配をしたりした場合、国民は力を使って抵抗してもよい、という「抵抗権」も重要だと述べています。
ロックの考えは、アメリカ独立宣言など、後の国づくりにも大きな影響を与えました。
モンテスキュー:権力を分ければ自由が守られる
モンテスキューはフランス出身の思想家で、国王に権力が集中する絶対王政を強く批判した人物です。
彼は、「権力が一つの場所に集まると、必ず乱用され、国民の自由が失われてしまう」と考えました。
そこでモンテスキューが提案したのが「三権分立」という仕組みです。
これは、政治の力を3つに分けて、お互いに監視し合うことで権力の暴走を防ぐ仕組みです。

3つの権力を別々の機関に担当させてバランスをとることで、国民の自由と権利を守ろうとしたのがモンテスキューの考え方です。
現代の多くの国の政治制度に大きな影響を与えています。
ルソー:主役は国民自身
ルソーはフランス出身の思想家で、「政治の中心にいるのは国民である」という考えを強く主張しました。
彼は、国を動かす力は国王でも貴族でもなく、人々全員が持っていると考え、この考え方を「人民主権」と呼びました。
さらにルソーは、国民が直接政治に参加し、自分たちの意思で物事を決める「直接民主制」を理想としました。
つまり、政治の権利(統治権)は国民自身にあり、政府はその意志を実行する存在にすぎないという立場です。
ルソーの考え方は、のちのフランス革命や近代民主政治の成立に大きな影響を与え、「国民が主人公の政治」という現代の考え方の源流となりました。
練習問題
問1 モンテスキューの著書は?
⇒『法の精神』
問2 自然権を主張したのは誰?
⇒ロック
問3 ロックの考えが強く影響したのはどの国の憲法ですか?その際に憲法に盛り込まれた権利は?
⇒アメリカ合衆国憲法、抵抗権
問4 モンテスキューの主張した三権をそれぞれ答えよ
⇒行政(権)、司法(権)、立法(権)
問5 政治の権利は国民自身にあり、政府はそれを代行する損時にすぎないと主張したのは誰ですか?
⇒ルソー
まとめ
啓蒙思想は、ロック・モンテスキュー・ルソーが、国王の勝手な政治をやめさせ、人々の自由を守ろうとして生まれた考え方です。
自然権・三権分立・人民主権など、それぞれ主張はちがいますが、「政治は国民のためにあるべきだ」という点で共通しています。
これらの考えは、今の民主主義の土台になりました。