東三国にある
「オルタンシア ビストロ」。
“ビストロ”という言葉がもつ温もりや親しみやすさを大切にしながら、
皿の隅々からは確かなフランス料理の技術が立ち上がってくる一軒だ。
2020年の開業以来、何かとお世話になっています。
この夜は、前菜と肉料理がプリフィックスの
「ムニュ オルタンシア」で。
■「祝」ドメーヌ オヤマダ(山梨・勝沼)
Domaine Oyamada Iwai Sparkling
国産の自然派スパークリングで乾杯。
金木犀、ジャスミン、そんな華やかな香りが、ふわりと立ちのぼる。
泡立ちはきめ細かく穏やかで、口当たりは驚くほどなめらか。
優しさに包まれる一杯だ。
■アミューズ・ブーシュ
まず心を掴まれたのは「ポテトサラダ」。
エスプーマを用いた、なめらかさ。
思ってたポテサラと違う感覚が楽しいの。
細かい角切りのハムと胡瓜が心地よいリズムを生み、
トリュフの香りが上品に寄り添う。
「鹿肉のジャーキー」は自家製。
噛めば噛むほど旨みが滲み、
つい、シガシガと噛み続けてしまう。笑
■共栄堂 K24_AK/室伏ワイナリー(山梨・甲州)
しみじみと、身体に染み入るオレンジワイン。
果実味は穏やかで、じんわりとした旨み。
派手さはないが、料理と向き合う時間をそっと支えてくれる存在。
■前菜
ヒグマのパテ
つなぎも脂も、すべてヒグマ。
脂はブリンブリンと弾けるのに、後味は驚くほど清々しい。
野性味が前に出すぎることはなく、
むしろ、研ぎ澄まされた風味が長い余韻を描く。
■蕪のスープ
冬の夜、そっと心へ染み入る一皿。
蕪のやさしい甘みの奥から、トリュフの香りがふわり。
■魚料理
平目 クレームシャンピニオン
ヒラメの骨抜きが見事。
身を崩さず、繊維を傷つけない下処理があってこそ、
「しっとり、むちっと」した食感が成立する。
その平目は、バルサミコとスパイスで軽くグラッセ。
酸と甘み、そして控えめなスパイス香が、
平目の淡白さに輪郭を与えていて。
クレームシャンピニオンの深いうまみが全体を包み込む。
添えられた白身魚のクリームコロッケは、
白身魚のほこほこ感を残しながら、
中はとろりとクリーミー。
軽やかな一口サイズもいいね。
メインは、7種から選ぶプリフィックス。悩みに悩んで…
■フランス産ピジョンとフォアグラのパイ包み
しなやかな鳩ムネ肉、濃密なフォアグラ。
そこに肩肉を細かく刻んで忍ばせることで、
味わいと食感に奥行きが生まれる。
デュクセルも、単なる“つなぎ”ではない。
旨みの層を下から支える、重要なパーツ。
胡麻を練り込んだパイ生地の
バターの香ばしさ、胡麻のロースト香がハーモニーを奏でる。
艶やかなソースは、
ガラや内臓から引いたダシをベースに、コニャックで香りづけ。
重くなりがちな素材を、アルコールの揮発で軽やかにまとめ、
パイ、肉、フォアグラの三位一体がより深みを増していた。
■洋梨のコンポート
とろける果肉に、クランブルの食感。
軽やかで、するするいける。
■ミニャルディーズ
すべてグルテンフリーと聞いて、思わず驚く。
「米粉のカヌレ」は、ざくっとした食感の中に
柚子の香りがほのかに広がる。
「金柑のコンポート」は艶やかで濃密。
「ガトーショコラ」も、もちろんGF。
緻密で、香り高く、なめらかでしなやかな口どけ。
最後まで抜かりなし。
オーナーシェフの川端和波さん。
芝公園の名店で基礎を磨き、その後フランスへ。
星付きレストランや名門ホテルで5年半、研鑽を重ねたのち帰国。
国内の名だたるフレンチを経て、今の「オルタンシア ビストロ」がある。
川端シェフの味づくりに、過剰な演出はない。
けれど、素材の扱い、火入れ、香りの重ね方――その一つひとつに、
フランス料理への真摯な姿勢と、手仕事の熱量が宿っている。
私はすっかり、その誠実さに惚れ込んでいる。
「オルタンシア ビストロ」
大阪市淀川区東三国4-15-12 シオザキビル1F
06-6398-7502