ライブの余韻が譜面に残り。
演奏が終わり観客が引き上げたステージで、男が一人譜面を見詰めていた。自分の歌を確かめるように、音符を一つずつ拾い集めギターの弦を震わせた。人が喜び楽しめる曲を作りたいと彼はいつも思っていたが、独りよがりの歌声は人の心には響かない事は分かっていた。
譜面は嘘をつかないから、自分の音魂の鏡でもあると思う。今日のステージを振り返りながら、曲の構成を確かめてみる。スタンドバイミーの様な誰もが知っている名曲は受けが良い。客の反応は既にイントロで分かるもの。
俺がビートルズのメンバーだったらこんな風に歌うだろうと、ヘイ・ジュードを演奏する。譜面をめくりながら曲の余韻を確かめる。「○○君、そろそろ帰るよ」ミュージシャン仲間が声を掛けて来た。腕時計を指で確認しながら、愛用のギターをケースに仕舞い込む。
慣れた手付きが白い杖に伸びる。「足元気をつけて」と仲間がホールの電源を切った。彼に暗闇は関係ない。心に刻まれた譜面を閉じて、盲目のライブが終わりを告げた。
※友人でミュージシャンの『江戸川レノン』さんをモチーフに描いたフィクションです。
- 関連記事
-
- 彼女は未来のベーシスト♫ (2025/08/06)
- 青と赤のブルース。 (2024/02/12)
- ライブの余韻が譜面に残り。 (2018/05/08)
- バス通り(甲斐バンドのカバー)。 (2015/10/23)
- リンゴ(吉田拓郎・カバー)。 (2014/03/28)
- 海岸通り カバー(イルカバージョン)再編集版。 (2013/10/31)
- 夏休み(吉田拓郎をカバー)再編集版、追記あり。 (2013/08/15)
- あどけない君のしぐさ(井上陽水のカバー)。 (2013/07/28)
- 紙飛行機(井上陽水のカバー)。 (2013/03/16)
- 百恋歌(作詞に挑戦)。 (2012/08/17)
- その頃17歳の少年は吉田拓郎に憧れていた。 (2012/08/10)

