年末詣

 年初めには、いつも「七福神めぐり」をしています。今年は、荏原の七福神を訪ねました。その一社「蛇窪神社」は、巳年でもあり、参拝者が多く混雑をしていて、辨財天様には、ゆっくりと参拝できませんでした。

 先日、改めて年末詣をして来ました。

 この神社は、鎌倉時代末期に創建された神社で、1322年に大干ばつが起こった時に、龍神社に雨ごいをし災難を免れたことに感謝して建てられました。またこの地にかって白蛇が棲んでおり、地元住民の夢枕に現れたという伝説も残っています。そのため、蛇窪神社には龍神様(蛇窪龍神社)と・・

 白蛇様(白蛇辨財天社)が祀られています。

 白蛇は、辨財天様の使いとして、また辨財天様自身が白蛇の姿で現れることもあると信じられています。

        *

 黒須田川の蛇(アオダイショウ)は、今年は出会うことが少なかったように思います。しかし10月になって、遊歩道の手摺りに絡まっている蛇に出会いました。

 アオダイショウの幼蛇でした。

 この幼蛇の体色は、成長すると徐々に緑色や黄緑に変化し銭形模様も薄くなります。幼蛇の時に灰色や褐色なのは、周囲の色に溶け込み、敵から身を守っていると考えられています。

        *

 黒須田川のカワセミの大晦日(12/31:11:23)

 枯れ木の中に・・

 その下ではコサギが・・

 黒須田川の大晦日の長閑な景です。

           *

 今年、日常生活を騒がせたのが、クマの人家への出没です。死者が出るなど痛ましい人的被害が出ました。出没の原因は、クマの個体数の増加、生息地の環境変化、そして人間社会の変化などが絡み合っていますが、野生動物と、どう共存するかが問われる年でもありました。

 新しい年は、穏やかな年であって欲しいと思います。

           *

           *

カワセミ春夏秋冬(38)

 冬の寒さの中で丸々と太っている雀を、俳句の世界では、「ふくら雀」と表現します。

 冬のカワセミにも、雀のようなふっくらとした愛くるしい姿に出会うことが、度々あります。カワセミ留鳥なので、どんなに寒くても同じ地域で採餌しなければなりません、そのための生き抜く知恵なのでしょう。

 この時期、黒須田川に飛来する「ふくらカワセミ」の愛くるしい姿には癒されます。

 どうして寒風が吹きつける、しかも天敵や人目に付くところに止まるのだろうか。

 2年前の雪の日。つい「寒くないか?」と叫びたくなります。

 昨年の3月の雪の日にも・・小さく丸々としたふくら姿が・・

 

 「ふくら」という言葉は、古くから使われている「膨らむ」という動詞が名詞化したものです。この言葉は、日本人の感性や生活に深く根ざしており、自然への畏敬や豊かさ、生命力の願いなどが込められているように思います。 「ふくら」は、縁起の良い漢字をあてて「福良」と書かれることもあります。

 来年も「良い福」を運んで来て欲しいですね。

          *

          *

黒須田川散歩(45)

 今日は「冬至」です。一年で昼が最も短い日です。この時期は、野鳥にとっても厳しい季節であります。多くの野鳥は、冬を乗り越えるための工夫をします。暖かい地域へ移動したり、食料を貯蔵したり、また寒い日には、羽毛を膨らませて寒さを防ぎます。

 この1年間、黒須田川に飛来した鳥たちに登場してもらいました。留鳥を含めると25種になりました。

【春】花(3月~5月)

そして【恋】

【夏】巣立ち(6月~8月)

 そして【水】

【秋】食べ物(9月~11月)

【冬】渡り(12月~2月)

 そして【ふくら】

エナガ

【番外】は・・

 そして【死】

 先日、散歩中に冷たい水の中に、カルガモの亡き骸を見つけました。周りの様子から、天敵に襲われたようでもなく、川の中の悪いものでも食べたのでしょうか?

 1年ほど前に、元気に採餌していたカルガモが、突然、激しく暴れた後に、息を引き取るのを見て、その瞬間の悲しい出来事を思い出しました。カルガモの生態について、まだ知られていない部分があるようですが、人為的なゴミなどによる環境の悪化だけは避けたいですね。

 来年早々、多くの野鳥が、黒須田川に飛来して、美しい囀りで春の訪れや生命の息吹を感じさせて欲しいと思います。

          *

          *

カワセミ春夏秋冬(37)

 カワセミは、その鮮やかな色彩と狩りをする姿から、いろいろな物語や詩歌、そして絵画に登場します。

 今回は、自然保護や生態をテーマにし、1965年に発行された絵本『かわせみのマルタン童話館出版刊 を紹介します。

 この絵本は、東欧の冷戦時代、チェコスロバキアとロシアの作家による共同作業によって生まれました。文は、詩人としても知られているチェコのリダ・フォシエ。絵は、ロシア生まれのイラストレーターのフェードル・ロジャンコフスキー。訳編は、いしいももこさんです。

 内容は、カワセミの夫婦マルタンとマルチーヌ)を中心に、川辺で暮らす動物たちの営みを通して、命が生まれ育ち、そして次の命に繋がって行く「生命の循環」が描かれています。

 文化背景が異なる二人の才能が融合して、個性的で魅力あふれる「カワセミマルタン」が誕生しています。自然を描きながらも、文学的な感動を与えてくれて、大人が読んでも愉しめます。

        *

 現在、都会の中には、絵本のような自然は少なくなって来ています。私の住む近くの川は、コンクリートで護岸されていますが、近くに里山もあり、カワセミが飛来し採餌できる自然が、まだ残っています。

 ある日、お茶目で可愛いカワセミに出会いました。その様子を、絵本風にまとめてみました。 

 この川に、よく飛来するカワセミくんは、大変好奇心が旺盛です。特にカルガモさんとは、いいお友達です。

 しかしカワセミ君は、カルガモさんの行動が、いつも気になっています。

 時には、カルガモさんの採餌の邪魔をしたりして、嫌われたりします。

 ある昼下がりに、橋の下でのんびりと休んでいると・・

 目の前に・・黒い輪のようなものが、風に飛ばされて来ました。

 虫のように見えますが、見たこともない形をしています。

 「何だろう??」

 「でも動かない」

 気になって嘴で触ってみると・・

 「少し硬いが・・暴れたりしないぞ」

「食べてもいいものかな!?」

「・・やめてとこ」

 振り回しながら「でも食べてみたいな・・」

 嘴から落ちた黒い輪は、風に吹かれてコロコロと動いたのです。

 動くと美味しそうに見えて来ました。

 もう一度咥えます。 「暴れない、もう死んだのかな」

 「食べよう・・」

 「待て、こんな形・・美味しそうでもないな」

 その黒い輪を、しっかりと見つめ直したカワセミくん・・

 「食べるの止めた・・捨てちゃえ

 食いしん坊のカワセミくん。「食べようか・・食べてたくないな・・」と、迷った末に食べずに、川に捨ててしまいました。

 この黒い輪は、いったい何だったのでしょうか。

       *

 カワセミくんは、やっぱり、元気に暴れる魚の方が大好きなようです。

 あ・・あ・・美味しい。ご馳走さま。

           *
           *

黒須田川散歩(44)

 日本列島に冬将軍が到来。日本海側は大雪。太平洋側は、気温は低いですが、乾いた冬晴れが続いています。

 寒さに弱いコスモスですが、12月に入っても、まだ元気に花を咲かせています。

 遊歩道の傍の小さな花壇には、今、小菊が満開です。

 暖かい日には、小菊の蜜を求めて虫たちがやって来ています。

 純白の布団で、採蜜する「ヤマトフキバッタ」

 このバッタの翅は、短く背中で重なっているので飛べません。11月を過ぎると寿命を迎えるのですが・・

 ピンクの布団では、蛾の幼虫だろうか。

 不愉快なハエと言われる嫌われ者の「センチニクバエ」は、数匹飛び回っています。

 「オオフタホシヒラタアブ」は、羽が透明で陽が当たるとキラキラと輝きます。

 羽が擦り切れて痛々しい「キタテハ」

 冬を乗り越えられるだろうか・・

 橙赤色と黒色の綺麗な模様をしたジュウジナガカメムシ

 冬の間は活動しませんが、暖かい日には、体を温めたり、短時間活動をします。

 この色の模様は、鳥などの天敵から身を守るための警戒色です。

 「ショウジョウバッタ」の子供だろうか。

 暑い夏の間は、ほとんど見かけなかった縄張り意識の強い「モズ」と「ジョウビタキが帰って来ました。

 ジョウビタキのメスは、川辺にいました。

 相変わらず囀りが賑やかなのがメジロシジュウカラ・・そこにエナガが加わることもあります。

 「スズメ」と一緒に飛んで来たのは・・

 カワラヒワのメスのようです。こんな場所で見かけるのは珍しい。

 ダイサギも、度々現れるようになりました。

 渡りをしないマガモもいるそうですが、5月以来の再会です。

 飛来する鳥の種類も増えて、休日には、双眼鏡をぶら下げた夫婦を見かけます。

        *

 先日、地元の消防団の方が、川に入り清掃を行っていました。

 信じられないものが捨てられていました。

 また11月下旬には、横浜市河川流域管理課の職員が、30cmのドローンを使って護岸・川床の調査と点検が行われていました。

 カルガモは、ドローンの音が近づくと慌てて逃げ去りました。

   

 人家の中を流れる川は、生き物たちの棲息の場だけでなく、火災が発生すると、水源の役目もしてくれる重要な川でもあります。護岸を調査して川の保全を確保していただくのは大変に有難たいです。
          *
          *

キセキレイ

 青々としていた葉っぱが、いつしか紅葉し、そして今は役目を果たしたように、青く澄んだ初冬の空から、ひらひら、はらはらと舞い落ちています。

 黒須田川の川面は、その色彩った葉っぱで溢れています。しかし水の流れとともに、数時間で消えてしまう儚い景色です。

 空から舞い落ちるように見える、この2つの写真は、特殊な撮影ではなく、遊歩道から眺めた川の水面を、そのまま撮ったものです。

 黄色の絨毯で、日向ぼっこをするシジミチョウ。

 北風の悪戯か?蜘蛛の糸にひっかかる葉っぱ・・大きな獲物!?と慌てるジョロウグモ

 餌場を奪われて、別の場所に移動するカルガモたち。

 澄んだ水は、枯葉に新しい輝きが・・

 石組に集まった枯葉の中に、見慣れた鳥がいます。「キセキレイ」です。

 川辺の枯葉を咥えて、ひっくり返えす。その下にいる虫を見つけるのが得意です。

 お腹の黄色が、落ち葉の色にそっくり??

 キセキレイは、日本に広く生息する鳥で、黒須田川でも一年中見られます。灰色と黄色が組み合わさった美しい鳥です。

        * 

 日本では、古くから身近な鳥たちの羽の色から生まれた、美しい色の名前があります。

 キセキレイの美しく柔らかい黄色を、日本の伝統色で表現できるのだろうか。

 『日本の傳統色』長崎盛輝著・青幻舎刊 を参考にして、黄色系の伝統色を調べてみました。黄色でも微妙な違いがありましたが、マンセル色度記号の近いものから3種類を選びました。傳統色名は「菜の花色」「黄檗色」「刈安色」です。

 キセキレイの色と見比べて、私のイメージに、一番ぴったりするのが「刈安色」ではないかと・・躊躇なく決めました。

 「刈安色」は、イネ科の刈安という植物から採った染料の色で、少し緑かかった、柔らかい黄色をしています。この刈安色は、古くから黄色染料として利用され、奈良時代には、すでに使われていた記録があります。

 またセキレイは、日本神話の逸話もあり、古くから人々の生活にも関わってきた愛らしい鳥でもあります。  

        *

 キセキレイは、渓流や水辺など自然豊かな環境を好み、その鮮やかで、柔らかな黄色は、清流の中でひと際目を引きます。

 今年誕生した幼鳥でしょうか。「チチィ チチィ」と高く澄んだ鳴き声で親鳥の後について飛び回っています。

 奈良時代には、庶民が刈安で染めた衣類を身に着けるのが一般的だったと言われています。単純に黄色と感じていたキセイレイの黄色でしたが、日本の伝統的な色名と重ねてみると、私たちにとって身近な親しみのある色でもあったようです。

 私が散歩する範囲で「刈安」を見つけることは出来ませんでした。

 私たちの身近にあるススキ、それを染色すると、その採集した時期や染色方法によっては、様々な色合いが生まれるそうです。現代に合った新たな色名が誕生するかも知れません。

           *

           *

 

本箱(26)

 この『こすもすと虫たち』は、45年前に「新日本動物植物えほん」シリーズの一冊として新日本出版社から発行されました。文は高家博成さん、絵は洋画家の横内襄(1934年ー2016年)さんが描いています。

 この絵本は、コスモスをめぐる虫たちの不思議が営みを最密な観察に基づいた絵と、物語性のある表現で小さな命のドラマが描かれています。

 高家博成さんは、絵本作家で農学博士であり、多摩動物公園の昆虫飼育係長を務めた経験もあります。作品は、科学的な生態に基づきながらも、子供たちが楽しめる絵本を創作し、昆虫や生き物の魅力を伝えています。

 また『あめんぼがとんだ』高家博成(文)・横内襄(絵)・1991年10月・新日本出版社は、1992年に「日本科学読物賞」を受賞しています。

 45年前の絵本と今の絵本では、多少の表現方法に違いはありますが、今も色褪せずに読み継がれているものが多いようです。

 科学絵本と言えば、子供向けと思われがちですが、大人が読んでも科学への知的好奇心を刺激し感動を与えてくれます。そして日常のありふれた風景に隠された自然や生き物の魅力に気づかせてくれます。

 高家博成さんは、今年の7月15日に逝去されました。

       *

 「コスモス」は、明治中期に日本に入って来た、秋を代表する美しい花です。原産地がメキシコであることを忘れるほど、短期間に日本の風土に根づいています。

 今年は、暑さが長く続き、黒須田川の遊歩道の自生のコスモスは、花が咲くまでに枯れたりして成長が悪く、咲いた花も少なかったように思います。

 その中でも元気に咲いた花には、虫たちがやって来ました。

 黄色やオレンジ系の花を咲かせる「キバナコスモス(黄花コスモス)」は、一般的なコスモスとは同属ですが、別の種類で、大正初期に日本に入って来ました。

 コスモスを離れし蝶に谿深し

           水原秋櫻子

        *

        *