高田崇史
大分県宇佐市と宮崎県高千穂町がこの小説の舞台となる。行方不明になった鳴上漣を探索し救出するというストーリーに、「卑弥呼の葬祭」かつ「天照暗殺」という推理・謎解きプロセスが絡んでいく。だが、後者の推理・謎解きがメインストーリーであり、鳴上漣…
著者は現在発生した殺人事件と怨霊認識に彩られた史実、歴史上の事件と人物群像を絡めていくという構想のミステリーに長けている。この小説もまたその領域で新たな史実解釈を組み入れた作品。本書は単行本として、2017年2月に刊行された。 本書の内表紙の裏…
鎌倉時代と室町時代のはざまに生じた「南北朝時代」というある種特異な時代に名を馳せた楠木正成。時代の変遷に応じてその評価がまさに毀誉褒貶してきた人物。 この楠木正成の謎を解くことが、早乙女修吉が襲われた事件の解明に直結するというミステリー小説…
出雲市と松江市に所在する神社等を巡り歩いた橘樹雅(たちばなみやび)は、御子神准教授から何も分かっていないお嬢様旅行だなと揶揄される羽目になった。 御子神の発言に雅はカチンとくる。そのとき、蹈鞴製鉄の本場、出雲は「鉄の国」であり、奥出雲は素戔…
歴史ミステリーの新シリーズが始まっていたことを遅ればせながら先日(注記:2019年時点)知った。本書の奥書を見ると、2018年6月第一刷発行。 上掲の表紙カバーをご覧いただくと、そのキャッチフレーズで少しイメージの方向付けができると思う。 闇に葬られ…
本書は講談社ノベルスとして 2010年10月に刊行され、2015年7月に文庫化された。 天童純は高校1年の春のオリエンテーションで、鎌倉・長谷寺に行く。そして、地蔵堂の前であの水葉に瓜二つの少女が目の前を通り過ぎるのを見た。無意識にその少女の後を追う。…
本書は「鬼の巻」と「神の巻」の合本として出版されている。 単行本として出版された「鬼の巻」をまず読み、その読後印象記を既にご紹介した。 「鬼の巻」は、そちらの拙ブログ記事をご一読いただければうれしい。 ここでは合本の後半となる「神の巻」につい…
『鬼神伝』は、鬼の巻、神の巻、龍の巻と既に出ている。 そして、鬼の巻と神の巻が合本となり『鬼神伝』として出版されていることを後で知った。さらに、鬼神伝がアニメーション映画となっていることも遅ればせながら知った次第。 取りあえず単行本として200…
毒草師・御名形史紋が関わる事件の謎解明プロセスには、一つのパターンがある。 事件の展開につれて、読者は古代の史書、和歌集、地方の民話、伝説・伝承、歌謡・童謡など様々なものに通底していく一筋の解釈に導かれていく。 この小説もまた、新たな知られ…
毒草師シリーズは、『毒草師 QED AnotherStory』(2008/4)、『毒草師 白蛇の洗礼』(2008/4)につぐ第3作がこの作品である。この後未読だが『毒草師 七夕の雨闇』(2015/6)が出版されている。こちらもいずれ読みたいと思う。 本書『パンドラの鳥籠』は単行本と…
「プロローグ」は平治の乱で源義朝を破り勝利した平清盛が亡き父・忠盛の継室で、義母にあたる池禅尼(藤原宗子)に、捕縛している源義朝の三男・頼朝の助命嘆願を迫られる。将来への禍根を残さぬ為、一族を根絶やしにするのが当然と考える清盛は悩む。嫡男…
神の時空(かみのとき)シリーズ、第8弾!! これがいよいよ最終巻。 本書は、講談社ノベルスとして、2017年4月に刊行された。 摩季が死亡して7日目、辻曲了が摩季を甦らせる「死反術(まかるがえしのじゅつ)」を執り行うためのタイムリミットに来ている。…
神の時空シリーズ、第7弾!! 講談社ノベルスとして、2016年7月に刊行された。 鶴岡八幡宮(鎌倉)→熱田神宮(名古屋)→貴船神社(京都)→大神神社(奈良)→伏見稲荷大社(京都)と変転と場所を変えたこの神の時空シリーズはいよいよ辻曲家が住む東京に場所を…
神の時空(とき)シリーズ第6弾!! 本書は、講談社ノベルスとして、2016年3月に刊行された。 舞台は京都の伏見稲荷大社に移る。奈良、大神(おおみわ)神社の鎮女(しずめ)池に落ちてしまった磯笛は「道反玉(ちがえしのたま)」を持っていたために、鎮女の…
神の時空シリーズの第5弾!! 舞台は奈良の三輪山・大神神社から瀬戸内海の神坐す島・宮島に移る。 宮島の弥山山頂にある御山神社を始め、嚴島神社を囲む諸神社の結界が破壊され続け、遂には嚴島神社が危機に遭遇するという事態に陥る。 本書は、2015年11月、…
[神の時空(かみのとき)]シリーズは、『鎌倉の地龍』から始まり、この『三輪の山祇(やまづみ)』で4作目になる。 本書は、講談社ノベルスとして、2015年7月に刊行された。 このシリーズは、高村皇(たかむらすめろぎ)の謀計のもとに、高村皇の命を受けた…
『神の時空 -かみのとき-』シリーズの第3弾!! 『鎌倉の地龍』『倭の水霊』に続くが、舞台は京都になる。鎌倉から西の方向に時空が移動しつつある。未読だが、第4作が『三輪の山祇』として既に出版されているので、西の時空に次々に移動していきそうな気…
「神の時空」の第2弾! 講談社ノベルスとして、2014年7月に刊行された。 「プロローグ」は「ぼく」という一人称で第1巻に登場した福来陽一がある女性の危難を救おうとして男の剣先で胸を刺し貫かれるというシーンから始まる。これがこの第2巻でどのように…
新たなシリーズが刊行され始めた。その第1巻がこの『鎌倉の地龍』である。 2014年3月に講談社ノベルスとして刊行された。 私はこのブログを始める以前に、著者のQEDシリーズを読み、カンナシリーズを読み進めた。QEDシリーズは一巻完結型だが、カンナ…
カンナシリーズはこの第9弾をもって完結する。本書はノベルスとして2012年7月に刊行され、文庫本が2014年1月に刊行された。 カンナシリーズは『飛鳥の光臨』から始まる。鴨志田甲斐は兄が家を出たために、伊賀・出賀茂神社を継ぐ事になる。兄のように慕って…
カンナシリーズの第8弾! 2008年11月に出版された第1作『 カンナ 飛鳥の光臨』を2009年5月に読んで以来、読み継いできた。残念ながら、それはブログを書き始める前であり、読書印象記は残していない。このシリーズで読後印象記を記したのは、これが最初。 …
本書は2017年11月に刊行された。現(2019年)時点でQEDシリーズの最新作。 QEDシリーズの中で、「ortus」というラテン語が付されたのはこれが最初。 「ventus」(風)、「flumen」(時の流れ/流れ・水流)につづいて、「ortus」が加わった。ネット検…
QEDシリーズは『伊勢の曙光』で完結したと思い込んでいて、『伊勢の曙光』を読了後、QEDを意識しなかった。ところが、前回『ホームズの真実』で書いたように、その後にもQEDシリーズが外伝という形で出版されている。 本書は2016年11月にノベルスと…
『QED 百人一首の呪』(1998年刊)から始まり、『QED 伊勢の曙光』(2011年刊)で「QEDシリーズ」が完結したと思っていた。 ところが、2013年にこの『ホームズの真実』がQEDの外伝として出版されていることを知った。さらに「flumen」を冠した作…
本書はQEDシリーズの一区切りとなる。このシリーズを愛読してきた私は本作が完結編ということを最後の最後に読んで、残念に思う。 さて、このストーリーには、例によって二つの謎がある。 一つは伊勢にまつわる歴史的事実に潜む謎。もう一つは、伊勢の八…
この冒頭に載せた表紙がこのシリーズの始まる最初である。 朧げな記憶では、本書を読んだことが、著者高田崇史さんの本を読み継いでいく契機だったように思う。 その当時はブログとは縁がなかった。 パソコンの保存ファイルをチェックしていて、ブログを始め…
先月(10月)、『猿田彦の怨霊 小余綾俊輔の封印講義』の読後印象をご紹介した。 その際、見過ごしていると触れた本書を読んだ。この『采女の怨霊』が小余綾(コユルギ)俊輔シリーズの第2弾。書下ろし作品として2021年11月に単行本が刊行され、2024年7月に文庫化…
「猿田彦の怨霊」というタイトルに関心を抱き読んだ。『源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義』を読んでいたので、小余綾(コユルギ)俊輔シリーズの第2弾かと思って読み始めたら、第2弾として『采女の怨霊』が出版されていることを知った。これも見過ごしていたこ…