遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

茶の世界

『茶の世界史』 ビアトリス・ホーネガー 平田紀之訳 白水社

翻訳書には副題が付いている。表紙・背表紙に「中国の霊薬から世界の飲み物へ」と記されている。奥書を見ると、「新装版」として2020年4月に出版された。 本書の訳者「あとがき」に記された日付を読み、インターネットで検索してみて、2010年に出版されてい…

『裏千家十一代 玄々斎の茶と時代』 愛蔵版淡交別冊  淡交社

「変革の世に問う、茶の湯の真価」という本書のサブタイトルに関心を惹かれた。そこで、三代めの宗旦から、十一代に飛び、本書を読んでみた。 本書は2020年11月に刊行されている。A4サイズの本。 玄々斎については全く知らなかったので、関心を持って通読…

『裏千家今日庵歴代 第三巻 元伯宗旦』 千宗室 監修  淡交社

本書は既にご紹介した今日庵歴代シリーズの『第二巻 少庵宗淳』に引き続き、平成20年(2008)5月に刊行された。 以前に京都の相国寺を探訪した時、境内の鐘楼の北側に宗旦稲荷社が祀られていることと「宗旦狐」の伝承話を知った。その宗旦とは千家第三代宗旦…

『裏千家今日庵歴代 第二巻 少庵宗淳』  千 宗室 監修  淡交社

これまでは千利休その人に関心があった。その関心は今も変わらない。しかし、以前に川口素生著『千利休101の謎』(PHP文庫)を読み、その後村井康彦著『利休とその一族』(平凡社ライブラリー)を読む事で、利休切腹後の千家の系譜にも関心を持つよう…

『利休の風景』 山本兼一  淡交社

奥書を読むと、本書は月刊誌『淡交』(平成22年新年号から平成23年12月号まで)への連載に加筆・修正したものだ。千利休とその周辺の人々に関して著者が思索した心象風景がエッセイとして結実している。最後は、京都府大山崎の禅刹・妙喜庵内にるある茶室・…

『茶人たちの日本文化史』  谷 晃   講談社現代新書

「はじめに」に、「ほぼ五百年前に日本で成立し、現在まで受け継がれている日本独自の茶文化である茶の湯の歴史について述べる」(p5)という目的で本書が書かれたと明記されている。著者自身が記すように、本書にはいくつかの特徴(視点)がある。*茶の湯の…

『千利休 無言の前衛』  赤瀬川原平  岩波新書

この本、タイトルに興味を持って衝動買い。いつか読もうと思いつつ、書棚にたぶん十余年眠っていた。奥書を見ると、1990年1月に出版され、手許の本は2004年1月第25刷となっている。ロングセラーになっている新書だろう。 著者については全く無知のままで購入…

『千利休101の謎』  川口素生  PHP文庫

本書は2009年8月に文庫書き下ろしとして出版された作品。10年前の作品であるが、千利休という人物そのものにアプローチする入門書、いわば基本的教養書の1冊として手頃であると思う。部分読みに留まっていたので、改めて通読してみた。 「101の謎」とい…

『利休の功罪』 木村宗慎[監修] ペン編集部[編] pen BOOKS 阪急コミュニケーションズ

本書は、2009年11月に出版されている。「あとがきに代えて」を読むと、本書は雑誌特集として刊行された後で、単行本として出版されたようである。本書のタイトルに惹かれて購入し、部分読みして本棚に眠っていたのを改めて引きこもりの時期を活用し通読した…

『利休とその一族』  村井康彦  平凡社ライブラリー

本書のタイトルを最初に見た時は、利休とそれに続く系譜の千家一族と茶道の変遷に触れている本かと想像した。これまた長らく書架に眠っていた本。ステイ・ホームの機会に引っ張り出してきて遅まきながら読んだ。本書で考察される展開は、当初の想像とはかな…

『利休 破調の悲劇』  杉本苑子  講談社文庫

1996年11月にオリジナル文庫として出版された。それを今、読んだ。なぜオリジナルなのかと言えば、1990年2月に『利休 破調の悲劇』が出版されていて、それに「老い木の花」と「家康と茶屋四郎次郎」「『綺麗さび』への道」という小論が加えられて文庫本化さ…

『茶道太閤記』 海音寺潮五郎 文春文庫

『千利休の功罪』(pen books)を読み、本書を知った。海音寺潮五郎の戦前の代表作といわれる。「東京日日新聞」(昭和15年7月12日から12月28日)に連載された小説。”『茶道太閤記』で描かれた利休と秀吉の対立関係の構図が、野上弥生子の『秀吉と利休』や井…

『利休とその妻たち』 上巻・下巻   三浦綾子   新潮文庫

村井康彦著『利休とその一族』(平凡社ライブラリー、1995/5刊)を読んだのがきっかけで、千利休だけでなく彼の家族・一族にも関心をいだくようになった。 (『利休とその一族』の読後印象記は別途再掲する) その関心からまずこの『利休とその妻たち』を読…

『利休椿』 火坂雅志  小学館文庫

タイトルの「利休椿」に惹かれてかなり以前に購入していたのをやっと読んでみた。 勝手に長編と思い込んでいたのだが、開けてみると7作をまとめた短編集で、最後のタイトルが「利休椿」。末尾の「解説」によると、1994年から1996年にかけて各誌に発表された…

『宗旦狐 茶湯にかかわる十二の短編』 澤田ふじ子  徳間書店

この短編集は、2003年3月に徳間書店から第一刷が出版された。そして、2013年10月には、光文社時代小説文庫として文庫化されている。 手許の本は単行本の第二刷版。タイトルの副題は十二の短編となっているが、単行本としては、十二の短編に短編「仲冬の月」…

『利休にたずねよ』 山本兼一 PHP文芸文庫

「利休にたずねよ」に対して、利休は、結局秀吉に答えなかった。 利休の侘び茶は枯れることなく、その底に熱を秘め、艶がある。その真因を突き止めたい秀吉のあくなき欲望に対し、利休は怒りとともに切腹を受入れた。 天正19年2月の「死を賜る」日を起点に、…

『利休の闇』  加藤 廣   文藝春秋

残された事実の痕跡に空隙が数多くある故に、その空隙を想像により織りなして行くという魅力が、作家の創作欲を刺激するのだろう。本能寺の変で織田信長の遺体が発見されなかったこと。関白の位に上り詰めた豊臣秀吉と茶道の宗匠として独自の境地を切り開い…

『茶聖』  伊東潤  幻冬舎

奥書によると、全国各地16の新聞に連載された小説に加筆・修正されて、2020年2月に単行本として出版された。 カバーには、「Sen no Rikyu」と名前が付記されている。その名の通り、茶の湯を究め佗茶の境地を確立したとされる千利休の人生を織田信長並びに豊…

『天下人の茶』  伊東 潤   文藝春秋

映画にはオムニバスと呼ばれる方式がある。辞書には「それぞれに独立したいくつかの短編をまとめ、全体として一貫した作品にした映画」(『日本語大辞典』講談社)と説明されている。本書の読後印象は、短編小説をオムニバス方式で構成したものといえるよう…

『幻にて候 古田織部』 黒部 亨  講談社

古田織部についての小説をもう一冊みつけた。それがこれである。1990年8月発行。 この作品が出ていることを当時は知らなかった。織部焼にはその当時から関心を持っていたが、それでとどまっていた。戦国武将に関する小説として、古田織部を手がける作家が数…

『古田織部』 土岐信吉 河出書房新社

1992年3月に出版された伝記小説。『小堀遠州』(中尾實信著)を読み始めたのだが、その第一章の冒頭に古田織部が登場してくる。そこで、つい脇道にそれ、古田織部についての小説があることを知り、こちらを先に読んでしまった。 私は、織部焼に関心を抱いて…

『小堀遠州』 中尾實信  鳥影社

本書を読み始め、最初に出てくる古田織部の方がまず気になって、最初から脇道にそれ、織部に関連する小説を2冊はさんでしまった。その後、本書に戻りやっと読み終えた。 本書は1冊本だが本文2段組で838ページに及ぶ大長編の歴史小説、伝記小説である。 、著…

『孤蓬のひと』  葉室 麟  角川書店

「孤蓬のひと」→「孤篷庵」→(庵号)→「小堀遠州」という連想で一人の武将に行きつく。この小説は、天正7年(1579)に近江国坂田郡小堀村で生まれ、幼名は作介、元服後は、正一、政一と改め、武家官位で遠江守を得たことにより、後年に遠州と通称された人物…

『秀吉 vs. 利休  和合と、破局と』  矢部良明  宮帯出版社

7月に著者の『茶道の正体』(宮帯出版社)を読んだ時に、本書について知った。本書は『茶道の正体』より4ヵ月先行し、2022年8月に単行本が刊行されていた。 「はじめに」を読むと、研究という領域で論文や本を発表してきた著者が、「はじめて、ノンフィクシ…

『茶道の正体』  矢部良明  宮帯出版社

地元の図書館に設けられた本を紹介する書架で本書のタイトルが目に止まった。まず「正体」という語に惹きつけられた。「茶道の正体」というちょっと思わせぶりなタイトルで何を語るのか? 千利休関連の本は幾冊か読んでいるが、直接「茶道」を冠した教養書は…

『茶人物語』 読売新聞社編  中公文庫

市の図書館で参考資料を探していて、たまたまタイトルが目に止まり、借り出して読んでみた。「あとがき」に編者が日野忠男氏と出ている。その説明によれば、当初、「茶道の人々」として約2年間にわたり読売新聞に連載されたものという。「一冊の本とするに…