時代小説
短編集で5編を収録する。平成3年(1991)2月に単行本が刊行され、1994年3月に文庫化された。手許にあるのは2007年6月の第21刷。今なら刷版の数字がさらに大きくなっているだろう。 収録の第1編が< 玄鳥 >。続いて< 三月の鮠 > < 闇討ち > < 鷦鷯 > < 浦島 >…
藤沢周平の作品を思いつくままに読み始めた。どちらかというと、今までのところ著者の作家生活後半の作品を読んできた。そこで、著者の作家活動の始めに飛んでみることにした。 著者は1973(昭和48)年、46歳の時に『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞した。…
本書の奥付を読むと、「別冊文藝春秋」(172~186号)に発表され、1989(平成元)年9月に単行本が刊行された。1992年9月に文庫化され、それ以降増刷が続いている。 江戸屋敷詰め用人の職まで勤め、新藩主が家督を継承する時点で、三屋清右衛門は家督を惣領又…
奥書を読むと、「山形新聞」夕刊に連載された後、昭和63年(1988)5月に単行本が刊行され、平成3年(1991)7月に文庫化された。 海坂藩では次期藩主の継承をめぐって密かな抗争が進行していた。それを知っているのはほんの一部の人々だけ。藩内にはその継承…
隠し剣シリーズの2册を読んだので、その続きとして剣客ものをもう一冊読んでみることにした。 本書は短編集で5つの短編を収録している。「小説現代」に各短編が昭和56年4月号~昭和60年5月号の期間に断続的に発表され、1985(昭和60)年7月に単行本が刊行さ…
本書は、単行本が 1981(昭和56)年1月に刊行され、1983年11月に文庫化された。 著者の年譜を見ると、先(9月初旬)に読後印象をご紹介した『隠し剣秋風抄』の単行本は 1981年2月の刊行であり、読む順序が逆転してしまった。「隠し剣」という共通語句から、…
秋風。秋に吹く風は肌寒い。「秋風が吹く」「秋風が立つ」という語句には、「a.男女の間の愛情がさめる。b.何かの流行が下火になる。」(『新明解国語辞典』三省堂)という意味で使われる位である。つまり、秋風はネガティヴなニュアンスを感じさせる。 こ…
獄医立花登シリーズの第4弾。これをもって完結となる。 「小説現代」(昭和57年4月号~昭和58年2月号)に各短編が順次掲載された後、単行本が 1983年4月に刊行され、1985(昭和60)年11月に文庫化された。 小伝馬町牢獄の獄医を務める立花登が、日々囚人の…
立花登シリーズの第3弾。「小説現代」の昭和56年1月号から翌年の1月号までの期間に発表された6つの短編連作がまとめられている。1984年11月に文庫本が出版された。手許の文庫が1992年2月時点で第16刷発行。 この立花登シリーズはやはりロングセラーになっ…
立花登シリーズ第2弾。短編5本の連作集になっている。 1980(昭和55)年に「小説現代」に連載され、単行本が1981年3月に刊行された。 1983年11月に文庫化されている。 各短編は読み切りであるが、この5編の連なりには通底していく流れが引きつづき2つあ…
土曜日に老母の夕食時の介護をしている時、たまたまNHKを見ると、時代ドラマをやっていた。「立花登 青春手控え3」のシリーズ。立花登? どこかで目にした名前・・・・。藤沢周平の作品を思い出した。 かなり以前に高校時代からの友人との会話で藤沢周平の小…
『漆の実のみのる国』 文春文庫 ブログ記事を書き始める前に、本書の読後印象をアマゾンに投稿していた。 覚書を兼ねて、こちらに掲載しておきたいと思う。 著者最晩年の作品。「年譜」を参照すると、1993(平成5)年1月、66歳の年に「漆の実のみのる国」が…
サーベル警視庁シリーズの第2弾。日本海海戦で連合艦隊がヨーロッパから回航してきたロシアのバルチック艦隊をほとんど全滅させた。その後の日露戦争の終結に向けた日露講和会議の結果、1905年9月、日本側首席全権小村寿太郎外相がロシア側首席全権ヴィッテ…
タイトルから想像できると思うが、警察官が腰にサーベルを装着していた頃、つまり明治時代、それも明治38年7月、日露戦争の最中、日本海海戦で日本が快勝し、国内は大いに沸き立ち、樺太の戦いを国民が見守っているという時期がストーリーの背景となっている…
主人公は桜木治郎。この名で思い出したのは芙蓉の干城(たて)』。この読後印象をご紹介したとき、「桜木治郎は、江戸歌舞伎最後の大作者、三代目桜木治助の孫であり、早稲田大学に勤める教員である。祖父が木挽座・狂言作者の総帥であったことから、木挽座…
この小説は「小説すばる」の2017年7月号~2018年6月号に連載後、大幅な加筆・修正が加えられ、2018年12月に単行本が出版さた。久しぶりに著者の作品を読んだ。 本を手に取る切っ掛けになったのは「干城」というめずらしい語句に惹かれたから。 本書では「干…
今年2月に『吉原手引草』と『仲蔵狂乱』を立て続けに読んで以来、この作家の小説を興味にまかせた順番で読み進めてきた。これが15冊目になる。 (gooブログで「遊心逍遥記」を開設してからは、本書が最初に読了したもの。)登場人物の筋からすると、歌…
現在の島根県西部は、江戸時代、石見国と称され、天領(幕府領)、津和野藩と浜田藩が分有し支配していた。江戸幕府は大森町に大森代官所を置き、石見銀山附御料を支配する役所とした。この代官所は江戸幕府開闢以前から銀の産出地である杣の山を御直山とし…
「オール讀物」(2016年1月号~2019年12月号の期間)に年2作の掲載で発表された短編をまとめて、2020年4月に単行本として出版されたもの。合計7作の短編は連作として、いわばオムニバス形式と言えるものになっている。 京都・洛北にある修学院離宮に隣接した…
2014年2月に単行本が徳間書店から刊行され、2017年11月に文庫化されている。 12話の短編連作集で、第4話のタイトルが本書の題名になっている。「東海道浮世がたり」という副題が付いている通り、東海道を行き交う人々の喜怒哀楽、さまざまな場面が鮮やかに切…
月刊『なごみ』の2017年7月号から2019年6月号までの期間に、3ヵ月連載を1作として連載された短編をまとめて出版された単行本。「能楽ものがたり」とタイトルにある通り、能の曲目を下敷きにしている。和歌で言えば本歌取りという作歌法、四字熟語「換骨奪胎…
2015年から2018年にかけて「小説新潮」に断続的に発表された6つの短編連作に加筆修正を行い、単行本化された作品集。 「名残の花」はこの連作の第一作の題名。それが単行本のタイトルになっている。そして、第一作「名残の花」の中で、「誘う花とつれて、散…
先般『腐れ梅』を読み、その奥書からこの小説が出版されていることを知った。菅原道真絡みの関心から早速読んでみた。末尾にこの作品が書き下ろしであると付記してあるので、当初から文庫本として出版されたようである。2014年6月に出版されている。 手許の…
「ほとがかゆい」という独り言で始まり、「ほとがかゆい」という独り言でストーリーが締めくくられる。一瞬、ええっ!と艶っぽさを感じさせる冒頭である。そして、巻末も同じ独り言で終わる。しかし、この同じ語句が全く異なる状況での独り言であり、一人の…
御腰物奉行黒沢勝義の長男・光三郎は勘当されて、町人となり己の好きな道を歩んでいる。刀剣商ちょうじ屋光三郎となって、刀剣の売買に勤しんでいる。「黄金の太刀」にからむ因縁話に巻き込まれるストーリー。 毘沙門天門前の料理屋で、旗本の刀剣好きの集ま…
この短編集は、2003年3月に徳間書店から第一刷が出版された。そして、2013年10月には、光文社時代小説文庫として文庫化されている。 手許の本は単行本の第二刷版。タイトルの副題は十二の短編となっているが、単行本としては、十二の短編に短編「仲冬の月」…
私が「代表作時代小説」を読むのはこれがまだ2冊目なのだが、このシリーズ自体はこれで60巻目を迎えるという。ここに選ばれている短編は、「前年に発売された文芸誌に掲載された新作の短編から選んでいます」(「まえがき」)という。文芸誌に掲載された新…
単行本や文庫本以外で、葉室麟の作品を掲載しているものがあるのかどうか検索していて、この代表作時代小説のシリーズに作品が収録されていることを知った。手始めに手にしたのがこれ。「まえがき」の冒頭に、このシリーズは「半世紀に余る歴史の重みを持つ…
この小説は、雨宮蔵人を主人公とするシリーズ『いのちなりけり』、『花や散るらん』に続く第三作。一応、三部作として完結編に相当する。 2016年6月から2017年7月にかけて全国4地域の新聞に掲載され、時差を持ち、他地域の2紙にも連載された。2017年12月に逝…
奥書を読むと、「小説 野生時代」の2016年4月号~2017年1月号に連載され、著者が逝去した翌年となる2018年5月に単行本として発行されたことがわかる。遅咲きの作家が晩年に書き終えた数冊の小説の中の一冊。 5年前に城下で起きた「お狐火事」を大きな原因と…