遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『風の王国 官兵衛異聞』 葉室 麟  講談社

黒田官兵衛という人物には、戦国武将の一人として関心を抱いている。本書のタイトル「風の王国」という言葉と「異聞」にまず興味を抱いた。「異聞」という言葉を見ると、何かおもしろいことが書かれているのだろうとワクワクする。 本書は秀吉の軍師にもなり…

『川あかり』 葉室 麟  双葉社

読後感の爽やかな時代小説だった。 鹿伏山から南に流れ、川幅が五町にもなり流れの急な巨勢川が御定法により川止めとなる。その汐井宿がこの物語の舞台である。ここは上野藩六万石の領内で、隣国の綾瀬藩に仕える軽格の武士・伊藤七十郎が巨勢川の川止めに遭…

『乾山晩愁』 葉室 麟  新人物往来社

この読後記録を始める前に読んだ『秋月記』から4冊目でこの本を手にした。奥書に「乾山晩愁」で歴史文学賞を平成17年(2005)に受賞と記されていたので、どんな作品か興味が湧いたためだ。手に取る前は勝手に長編だろうと思っていたのだが、本書を開いて、…

『見て楽しむ 江戸時代の暮らしと文化の絵事典』 安藤優一郎 監修  成美堂出版

先日『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 江戸の文化』(加唐亜紀著、西東社)をご紹介した。 同じ時に目にとめていたのが本書。通読したので、こちらもご紹介したい。 『江戸の文化』を入門ガイドブックとすると、本書は「絵事典」という語句がタイ…

『柚子の花咲く』 葉室 麟  朝日新聞出版

隣り合う日坂藩と鵜ノ島藩の間で、瀬戸内海に面する笠島湾での干拓地の境界線をめぐる紛糾が起きていた。日坂藩には鄕学(きょうがく)・青葉堂村塾がある。「郷学とは各藩が武士だけでなく百姓、町人も勉学ができるように藩校とは別に開設した学問所」であ…

『刀伊入寇 藤原隆家の闘い』 葉室 麟 実業之日本社 

葉室氏の小説はだいぶ前に『秋月記』を読んだ。関心を持つ作家の一人だ。この小説はこのタイトルに惹かれて手にとった。「刀伊」という言葉は初めて目にする。「寇」という語からは「元寇」を連想した。「藤原隆家」も記憶にない。学生時代に日本史を授業と…

『龍の起源』   荒川 紘   角川ソフィア文庫

龍/ドラゴンに関心を持っている。昨年(辰年)以来、過去に探訪した寺社で見かけてデジカメで撮った龍彫刻等の画像抽出から始めた。それが、インターネット画像検索で入手できる様々な領域の龍/ドラゴン像の画像探しに広がって行った。今年も世界に広がってい…

『陰陽師  飛天ノ巻』  夢枕 獏   文春文庫

陰陽師安倍清明は一時期ブームになった。シリーズとして出版されていることは知っていたが、その時は関心がなかった。昨年、NHKの大河ドラマ「光る君へ」を見ていて、安倍清明に興味を抱き、この陰陽師シリーズを思い出し、フィクションを承知で読んでみ…

『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 江戸の文化』 加唐亜紀 西東社

江戸時代を扱った小説を読み継ぎ、一方で、蔦屋重三郎に対する関心からNHKの大河ドラマ「べらぼう」を継続して見ている。江戸時代の絵画や寺社建築物など特定の対象への関心は以前から持っていたが、江戸の文化の総体についてはそれほど関心はなかった。…

『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』   東野圭吾    光文社

ブラック・ショーマン・シリーズの第2弾。2021年から2023年にかけていくつかの媒体に発表された短編に書下ろしの短編2つを加えて、2024年1月に単行本が刊行された短編連作集。 今までのところ、シリーズものを中心に読み継いできた愛読作家の一人。これから…

『風に立つ』 柚月裕子   中央公論新社

「辛い思いをしたあなただからこそ、誰かのためにできることがきっとある」(p308)というメッセージがこのストーリーの出発点になっている。そして、「人生はいいことばかりではない。その逆もある。なにが幸いで、なにが不幸と思うかは、人それぞれだ。ほか…

『成敗  鬼役七』  坂岡 真  光文社文庫  

鬼役矢背蔵人介の身辺事情に少し変化が加わってきた。 ここしばらくは、御小姓組番頭の橘右近が、蔵人介に近づいてきて、政の正義を貫くためにと蔵人介の裏仕事だった暗殺御用に再び指令という形で、関わらせようと試みてきた。蔵人介は今まで、かろうじて橘…

『思い出袋』  鶴見俊輔   岩波新書

表紙カバーの折込に、”著者80歳から7年にわたり綴った『図書』連載「一月一話」の集成に、書下ろしの終章を付す”と記されている。著者晩年のエッセイ集。著者は2015年7月20日に死去、享年93歳。 本書は、2010年3月に第1刷が刊行された。地元の図書館本を借り…