遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『探偵の探偵 桐嶋颯太の鍵』   松岡圭祐   角川文庫

『探偵の探偵』は紗崎玲奈を主人公にした四部作として完結した。と、思っていたのだが、その『探偵の探偵』が復活した。スマ・リサーチで紗崎玲奈の先輩になる桐嶋颯太が主人公となって! 『探偵の探偵』では桐嶋は脇役として登場していた。今回はその桐嶋颯…

『眠れないほどおもしろい 徳川実紀』  板野博行  王様文庫

本書はたまたま読んだ市政だよりの図書コラムで知った。大河ドラマで徳川家康をとりあげている関連での紹介だったのかもしれない。 『徳川実紀』について手許の辞書には次の説明がある。「江戸幕府編纂の史書。516巻。林述斎を総裁に成島司直らが編集。文化6…

『また会う日まで』  池澤夏樹   朝日新聞出版

本文709ページという長編小説。作者の父方の大伯父にあたる秋吉利雄とその家族について書かれた小説である。本書の主題部は秋吉利雄が己の人生と家族・親族のことを回想する、つまり「わたし」という一人称の視点で語られていく。自伝風小説の形式をとってい…

『朝星夜星』  朝井まかて  PHP

大阪の中之島に、かつて「自由亭ホテル」があったということを、本書を読み初めて知った。1881(明治14)年に開業し、1895(明治28)年に改築し「大阪ホテル」と改称された。明治・大正時代に、大阪の最高級の格式を誇り、当初は外国人が大阪市内で唯一宿泊…

『教場 2』  長岡弘樹   小学館

教場シリーズ第2弾。第1作に続き、短編連作集でこちらも6話を収録する。「STORY BOX」(2014年9月号~2016年1月号)に定期的に短編が連載され、大幅な加筆改稿を行い、2016年2月に単行本が刊行された。2017年2月に文庫化されている。 『教場』のエピロー…

『舟を編む』  三浦しをん  光文社

辞書とは何か。辞書がどのように編纂されるのか。辞書はどのようなプロセスを経て世に刊行されるのか。株式会社玄武書房の辞書編集部が、十五年余の歳月をかけて『大渡海』と命名する辞書を刊行する経緯を描いたフィクションである。 本書は、最初、女性ファ…

『マル暴 ディーヴァ』  今野 敏   実業之日本社

マル暴シリーズの第3弾。「ディーヴァ」の意味を知らなかったので、ネット検索してみた。ウィキペディアにこの項目があった。手許の英和辞典にも載っていた。「diva」という語で、イタリア語と明記され「(オペラの)プリマドンナ、花形女性歌手、歌姫」と…

『教場』  長岡弘樹   小学館

つい先日、新聞を読んでいるとさかんに「教場」と称するテレビドラマの宣伝を目にした。テレビドラマは視聴していない。テレビドラマの宣伝広告にはこの本とそのシリーズ本が併記されていた。この作家の作品を読んだことがなかった。そこで原作に関心を抱き…

『覇王の轍』  相場英雄   小学館

この小説のモチーフが、本書のタイトルになっている。私はそう受けとめた。著者はこの小説の最終ステージで次のように語らせている。<この国で一番悪い仕組みは、一度決めたら中断はおろか、後戻りすることが一切許されないことだ>(p411)さらにこの一文に…

『香君』(上:西から来た少女 下:遙かな道) 上橋菜穂子  文藝春秋

児童文学の領域で秀逸な作品を発表し続ける著者によるファンタジー小説。2022年3月に上下2巻の単行本が刊行された。上巻には「西から来た少女」、下巻には「遙かな道」という副題が付いている。 物語は、ウマール帝国とこの帝国の属国である4つの藩王国-…

『千里眼 トオランス・オブ・ウォー完全版』上・下  松岡圭祐  角川文庫

”<イラクで新たに四邦人拉致 解放条件は自衛隊撤退> 共同通信 十月七日 十六時十八分”という報道見出し文から始まって行くストーリー。 2005年8月に小学館文庫として発刊後、加筆・修正されて、この完全版が2009年1月に角川文庫で刊行された。 現地で働くボ…

『Curious George Lost and Found』 Houghton Mifflin Company

久しぶりに英語絵本電子版を読み、ナレーションを聴いた。冒頭の表紙の下辺には、”Curious about direction "と記されている。 お猿のジョージ・シリーズ、今回はジョージと黄色帽子の友達が、週末に車で都会を離れて、彼らの田舎の家(country house) に出…

「剛心」 木内 章  集英社

本書をU1さんのブログ「透明タペストリー」で知った。本書の主人公は妻木頼黄(つまきよりなか)。辰野金吾、片山東熊とともに明治期の建築界において三大巨匠の一人だったという。片山東熊は京都国立博物館正門や現在の名称で明治古都館、また奈良国立博…

『塞王の楯』  今村翔吾  集英社

著者の作品を読むのはこれが初めて。かなり前に、本書の新聞広告で「矛」と「楯」、つまり「矛盾」という語に触れていたことが読んでみようと思う動機だったのではなかったかと思う。私にとっては初作家なので、地元の図書館で予約、長らく順番待ち待ちして…