遊心逍遥記

遊び心で本の森を逍遥し、その時の思いを残しておこうと始めました。

『強襲 所轄魂』  笹本稜平  徳間文庫

所轄魂シリーズの第3弾。2015年7月に単行本が刊行され、2018年6月に文庫化された。 あることがきっかけとなり警視庁捜査一課の敏腕刑事、葛木邦彦は所轄への異動を希望した。願いは受理され、城東署の刑事・組織対策犯罪課強行犯捜査係長となる。所轄では犯…

『失踪都市 所轄魂』  笹本稜平   徳間文庫

『所轄魂』の第2弾! 2014年7月に単行本が刊行され、2017年5月に文庫本となった。 中心となる人物は、城東署刑事・組織犯罪対策課強行犯捜査係の係長、葛木邦彦。ノンキャリアの警察官で、警視庁捜査一課殺人捜査係に所属していたが、それを擲ち希望して所…

『所轄魂』 笹本稜平  徳間文庫

このストーリーで軸となるのは葛木邦彦。警視庁捜査一課の殺人犯捜査係主任となるまで、花形部署の第一線をつっぱしってきた。だが、2年前に妻がくも膜下出血でこの世を去った。それを契機に、所轄の刑事課へ異動を願い出て、江東区東部を管轄する城東警察署…

頌春

2026年のはじまり。お立ち寄りいただきありがとうございます。 はてなブログに引っ越してきて、年を越しました。 今年もよろしくお願いします。 昨秋、大阪の千里にある万博記念公園内にある大阪日本民芸館にて、「棟方志功と福光の風景」展を観てきました。…

『時の渚』  笹本稜平  文春文庫

著者は2001年にこの作品で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞した。2001年5月に単行本として刊行され、2004年4月に文庫本となっている。 だいぶ前に購入していたのを先日(注記:2020年4月)読んだ。 20年前に書かれた小説とは感じさせない…

『突破口 組織犯罪対策部マネロン室』  笹本稜平  幻冬舎

この小説のテーマはマネーロンダリングの大がかりなカラクリの捜査活動プロセスを描き出すことである。かつ、そのプロセスを通じて、副産物として政財界・警察組織などの組織機構に隠然と内在する利権体質およびそれに加担する一群の人々の存在を描き出す。…

『漏洩 素行調査官』  笹本稜平  光文社文庫

素行調査官シリーズの第3弾。「小説宝石」(2011年4月号~2012年2月号)に連載された後、2012年5月に単行本として刊行され、2015年1月に文庫本化されている。 素行調査官という官職名はない。警視庁の中に設けられた警務部人事一課監察係をここではさしてい…

『白日夢 素行調査官』  笹本稜平  光文社文庫

『素行調査官』シリーズの第2弾。「小説宝石」の2009年10月号~2010年9月号に連載発表され、2010年10月に単行本が出版された後、2013年6月に文庫本化されている。 東北地方の中央部にある都市の駅前の繁華街にほど近いマンションの屋上から一人の男が8月下…

『素行調査官』  笹本稜平  光文社文庫

このタイトルのネーミングに興味を持ち読んで見た。既に一つのシリーズになっているが、これが第1作。2008年に「小説宝石」に連載され、同年10月に単行本が刊行された後、2011年8月に文庫本化されている。 私立探偵を生業にしていたが、高校時代のクラスメ…

『相剋 越境捜査』   笹本稜平   双葉社

越境捜査シリーズ第8弾。「小説推理」(2019年7月号~2020年7月号)に連載された後、加筆、訂正が加えられ2020年10月に単行本が刊行された。著者は2021年11月に70歳で逝去。晩年の作品の一冊になる。また一人、愛読作家が鬼籍入り・・・・・ 合掌。 警察小説とし…

『転生 越境捜査』   笹本稜平  双葉文庫

越境捜査シリーズ第7弾。2019年4月に単行本が刊行され、今年(2022)2月に文庫化されている。 文庫本のカバー表紙折込に記された著者プロフィールの末尾を読み愕然とした。 「21年、逝去」知らなかった! 調べてみると、著者は2021年11月22日に急性心筋梗塞…

『孤軍 越境捜査』  笹本稜平  双葉文庫

越境捜査シリーズの第6弾。「小説推理」(2016年1月号~2017年2月号)に連載された後、2017年9月に双葉社より単行本が刊行された。2020年12月に文庫化されている。 鷺沼友哉は警視庁捜査一課特命捜査対策室特命捜査第二係に所属。強行犯捜査係が取りこぼし…

『偽装 越境捜査』  笹本稜平  双葉文庫

越境捜査シリーズ第5弾。2015年4月に刊行され、2018年11月に文庫化された。 まず、文庫本に付されたオビのキャッチフレーズをご紹介しておこう。「鷺沼&宮野の刑事コンビが仕掛けた罠と殺人犯の裏工作----。」「警察と犯人、騙されたのはどっちだ!?…

『逆流 越境捜査』  笹本稜平   双葉文庫

第10章に次の一節がある。「死ぬ気まではないが、ここが正念場なのはたしかだろう。これまでの相手の仕掛けは用意周到な上に大胆だった。その逆流に押し込まれては、このままなす術もなく退散ということになりかねない。だからといってただ気負いこめばいい…

『破断 越境捜査』  笹本稜平  双葉文庫

越境捜査シリーズの第3弾。『小説推理』(2010年3月号~2011年4月号)に連載された後、2011年10月に単行本が出版され、2014年11月に文庫化された。 最初に主な登場人物を挙げておこう。鷺沼友哉 警視庁捜査一課特別捜査一係所蔵。未解決事件の継続捜査が本…

『挑発 越境捜査』  笹本稜平  双葉文庫

越境捜査シリーズの第2弾。2010年2月に単行本が刊行され、2013年4月に文庫化された。 中心人物は鷺沼友哉。警視庁捜査一課所属、とは言え、継続捜査担当の特別捜査一係。一課の華である殺人班の遊軍というのが実態。しかし、鷺沼は警察組織内に巣くう悪、利…

『東京湾臨海署安積班 天狼』  今野 敏   角川春樹事務所

GOOブログからこちらに移転する際に正規の手続きでブログ・ファイルを転送できなかった読後印象記を順次、こちらに再掲載している。先日今野敏さんの小説についてのブログ記事を再掲載していた。その時、幾冊か近年刊行された小説で見過ごしているものに…

『越境捜査』 上・下  笹本稜平  双葉文庫

2017年4月27日付で改正刑事訴訟法が成立し、即日施行された時点で、殺人などの時効は廃止された。 この警察小説は2007年8月に単行本、2009年12月にノベルスとして刊行され、2010年11月に文庫本となった。つまり、殺人犯罪に時効が成立した時代のストーリーで…

『南京事件 新版』  笠原十九司   岩波新書

2025年は戦後80年。あと少しで2025年が終わろうとしている。節目の年として、この戦争についての己の無知さ加減を補うために、昭和史関連の書籍を読み進めている。 入手した『決定版 日中戦争』(2018年11月刊、新潮新書)を読み進めていて、本書『南京事件 …

『駐在刑事 尾根を渡る風』  笹本稜平  講談社文庫

駐在刑事シリーズの第2弾。現時点で単行本あるいは文庫本となっているのはこの第2弾までと思う。単行本は2013年11月に刊行され、文庫本化は2016年10月。 「駐在刑事」のタイトルの由来は最初の『駐在刑事』の読後印象記で述べているので再掲しない。本書も…

『駐在刑事』  笹本稜平  講談社文庫

まずタイトルがおもしろい。駐在といえば駐在所、刑事は刑事、なぜその2つが繋がるのか? そこから始まるストーリーである。 駐在所は東京都の北西端、奥多摩の山里。青梅警察署水根駐在所をさす。刑事とは、警視庁捜査一課第四強行犯殺人犯罪捜査第七係に…

『太平洋の薔薇』 上・下  笹本稜平  光文社文庫

40年近い船員生活を過ごしてきた柚木静一郎は最後の航海に臨んでいた。彼の最後の伴侶となる船がパシフィックローズ号。本書のタイトルはこの船名に由来する。 パシフィックローズ号は船齢24年の不定期貨物船。1万総トン、15,000トン積みでほとんどあらゆる…

『遺産 The Legacy 』 笹本稜平  小学館

いままで読んだことのない作家の作品だが、沈没船の表紙絵とタイトルに引かれて読んだ。水中考古学者とトレジャーハンター会社との間でのスペイン沈没帆船の引き上げ回収をめぐる海洋ストーリーものである。海洋冒険ものの作品は、クライブ・カッスラーの諸…

『逆軍の旗』  藤沢周平   文春文庫

藤沢周平の小説は文庫本で集めた。どちらかというと、晩年に文庫本となった小説からランダムに読み始めている。 本書は1985(昭和60)年3月に文庫化された。単行本が刊行されたのは、1976(昭和51)年6月、著者49歳の時である。 この短編集を先に読もうと思…

『日本庭園のフォスタリング』  八代目植彌加藤 加藤友規  昭和堂

地元図書館の新刊紹介コーナーで書名中の「フォスタリング」というカタカナ語に目に止まった。読み返すと、「日本庭園のフォスタリング」とある。何だろうこれは? と言うのが読むきっかけとなった。 「<こころとわざ>の継承と創造」という副題が付されてい…

『玄鳥』  藤沢周平  文春文庫

短編集で5編を収録する。平成3年(1991)2月に単行本が刊行され、1994年3月に文庫化された。手許にあるのは2007年6月の第21刷。今なら刷版の数字がさらに大きくなっているだろう。 収録の第1編が< 玄鳥 >。続いて< 三月の鮠 > < 闇討ち > < 鷦鷯 > < 浦島 >…

『暗殺の年輪』  藤沢周平   文春文庫

藤沢周平の作品を思いつくままに読み始めた。どちらかというと、今までのところ著者の作家生活後半の作品を読んできた。そこで、著者の作家活動の始めに飛んでみることにした。 著者は1973(昭和48)年、46歳の時に『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞した。…

『三屋清左衛門残日録』  藤沢周平  文春文庫

本書の奥付を読むと、「別冊文藝春秋」(172~186号)に発表され、1989(平成元)年9月に単行本が刊行された。1992年9月に文庫化され、それ以降増刷が続いている。 江戸屋敷詰め用人の職まで勤め、新藩主が家督を継承する時点で、三屋清右衛門は家督を惣領又…

『蝉しぐれ』  藤沢周平  文春文庫

奥書を読むと、「山形新聞」夕刊に連載された後、昭和63年(1988)5月に単行本が刊行され、平成3年(1991)7月に文庫化された。 海坂藩では次期藩主の継承をめぐって密かな抗争が進行していた。それを知っているのはほんの一部の人々だけ。藩内にはその継承…

『決闘の辻 藤沢周平新剣客伝』  藤沢周平  講談社文庫

隠し剣シリーズの2册を読んだので、その続きとして剣客ものをもう一冊読んでみることにした。 本書は短編集で5つの短編を収録している。「小説現代」に各短編が昭和56年4月号~昭和60年5月号の期間に断続的に発表され、1985(昭和60)年7月に単行本が刊行さ…