jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

紅白が「MV紹介」になったのは時代の流れなのか--多様化時代にいよいよその歴史を閉じるときかも

2025年の大晦日。例年,テレビでお笑い系の番組を見る家族メンバーが海外に旅行に出たこともあり,音楽番組を見る流れになった。中でも「推し」が出るということでNHKの「紅白歌合戦」を何年ぶりかで見ることになった。

 年末のブログにも書いたが,出場者名も曲名もほとんど知らない状態だった。実際,曲が始まっても,歌詞は聞き取れないし,メロディーも耳で追うこともできなかった。しかし逆に,それがBGMのように聞こえ,聞き流している自分がそこにあった。結局,番組の最初から最後まで,チャンネルを変えることなく,終わったのである。これには自分自身で驚いている。

 紅白歌合戦の視聴率がかつてダントツで,他局が争って大物の裏番組を仕掛けてきた。エンタメ系,音楽系などの大型企画により,若い人の視聴率が他局の番組に流れ,紅白歌合戦の視聴率は年々下がって行った。これに危機感を覚えたNHKは,若者を引き付ける企画として,開始時間を早め,これまでの演歌・大御所路線に新しいアーティストを組み込んだ3部構成にするなどの工夫をしてきたが,回復は鈍かったように思う。

 筆者は逆に,新しいアーティストの楽曲が理解できないことと,大御所系への忖度ともいえる構成に嫌気が差していたので,ここ数年は紅白歌合戦を見ることもなかった。かといって,裏番組のエンタメ系はまったく関心がないので,早々と酔っ払って寝てしまうのが恒例だった。

 ところが2025年末の紅白歌合戦は,もはや「合戦」ではなくなっていた。かつて曲間で登場した「応援団」はいなくなった。出演者がステージの左右にそれぞれ集まって,センターで歌う歌手を応援するという演出もなくなった。

 一方で,かつては大物アーティストのそれぞれが開催するコンサート会場から,その時間帯だけ中継するというスタイルを取っていたが,どうやらそういう調整をするのが難しいと考えたのか,事前に収録したようなビデオ映像を「中継風」にインサートしているように見えるスタイルに変わったように見えた。つまり,MV(ミュージック・ビデオ)を流しているように思えたのである。NHKホールとの間でのやり取りが不自然に思えたのは,そんなカラクリがあったからではないかと思っている。

 かつての演歌系の大御所をトリに持って行くという流れはなくなり,演歌色がほとんど無くなった。ステージでの紅白らしい仕掛けも無くなった。筆者にとっては馴染みのある歌謡曲時代の郷ひろみさんが卒業宣言をしたほか,最後のスペシャルとして松田聖子さんが登場した。岩崎宏美さんも懐かしかった。しかし,昨今の音楽シーンに登場するアーティストを並べれば,ほぼミュージック・ビデオ風になるのだなと感じた。

 残念ながら司会陣も「紅白歌合戦」というコンセプトからすると総崩れだった。かつては,紅組・白組のリーダーの盛り上げ対決にプラスして局アナウンサーがつなぐ形で途切れなく雰囲気を盛り上げてきたと思うのだが,単に男性司会者としての有吉弘行さん,女性司会者としての綾瀬はるかさんと今田美桜さん,そして受け役としての鈴木奈穂子アナウンサーが,それぞれのセリフを棒読みしているような印象だった。さらにネットでは,出演者の紹介も楽曲の紹介もない,とかなりの批判票が見られた。

 今回で76回になるという同番組だが,もはや若者をテレビの前に戻せる時代ではなくなった現在,コンセプトそのものの維持が難しいと感じる。紅白,つまり女性vs男性という考え,さらに女性は赤,男性は白という色分けももはやステレオタイプで問題視されるのではないか。多様化時代,テレビ離れの中で,その使命を終えたと言っていいと感じた。