EV,AI,DX,ドローンなど,いずれも海外発の単語が溢れている。筆者も仕方なく使っているのだが,いずれも最初は日本で実現した技術だと思う。EVは「電気自動車」,AIは「人工知能」,ドローンは当初はUAV(無人飛行機)と紹介されていたし,初の量産電気自動車として日産自動車の「リーフ」の技術開発の裏話は,NHKの「プロジェクトX」でも紹介された。人型ロボットも,現在は「ヒューマノイドロボット」として紹介される。DXに至っては,「X」の意味や由来を理解しないまま使っている日本人も多いだろう。
カタカナ語や略語が溢れる日本では,何でも短縮語が流行る傾向がある。マイコン,パソコンから始まり,カーナビ,スマホなどの和製短縮語が当たり前のように使われ,定着していった。短縮化は現代日本語の文化とも言える。しかし,短縮しても意味が理解できるものしか短縮語にならない。EVを“エレビー”(エレクトリック・ヴィークル)とは呼ばないし,AIを“アーティン”(アーティフィシャル・インテリジェンス)とは呼ばない。
ほかにも,インターネット,ウェブ,クラウドなど,海外で定義された言葉が世界を席捲する。一方で,COVID-19は相変わらず「新型コロナウイルス」だし,エムポックスは相変わらず「サル痘」をカッコつきで説明している。
柔軟といえば柔軟なのだが,「ご都合主義」とも言えなくない。日本人には感覚的には理解できるが,これを日本語以外のネイティブな人に説明するのに苦労する。今年の流行語大賞のノミネート語を見ても,かつては「短縮語文化はすごい」と思っていたのが,現在は「文化への侮辱」のように感じることがある(候補なしの2025年新語・流行語ノミネート--新スポンサーへの忖度? 造語をさらにこね回した? - jeyseni's diary 2025/11/5)。
かつて日本は「オートメーション」を武器にFA(ファクトリー・オートメーション),OA(オフィス・オートメーション),SA(ストア・オートメーション)などを次々に実現してきた。特にOAは和製英語だと思うのだが,なかなか素晴らしい言葉だと思う。今の日本に,世界に誇れる言葉やコンセプトがあるだろうか。
観光立国を標榜したときは,「お・も・て・な・し」が日本を代表する文化のように発信されたが,その結果はインバウンドによるオーバーツーリズムを招いてしまった。科学立国の代表としては,スーパーコンピュータの「京」や「富嶽」,その前身となる「地球コンピュータ」など,世界に誇るコンピュータシステムがあったが,富嶽による新型コロナウイルスの飛散拡大シミュレーションはあったものの,結局は「マスクをつけるのが有効」という常識的な指摘に使われるにすぎなかった。ワクチンも日本では結局生まれなかった。クリーンエネルギーとしての太陽電池パネルは中国に奪われ,原子力発電所は水素爆発事故を起こしたうえに廃炉プロセスが遅々として進まない。サンプルを取り出すことすら,アームの故障やカメラの故障などのトラブル続きである。唯一,小惑星からサンプルを採取して地球に持ち帰った「はやぶさ」プロジェクトが世界に誇れる技術であるとはいえ,今の地球や人類の役に立つ技術や成果とは思えない。
COP30が開かれたブラジルの熱帯雨林が拓かれて,食糧供給のための大豆畑に変わっているという状況がNHKで報道されていた(アマゾンの森林破壊 違法伐採に森林火災 ブラジルで何が? COP30開催中 - 番組からのお知らせ - クローズアップ現代 - NHK 2025/11/17)。食糧供給の代償としてCO2を吸収する熱帯雨林が減少し,さらに山林火災が発生しやすくなって森林の減少が加速しているという。
やはり,筆者が提案している「水素エネルギー」と「植物工場」「陸上養殖」でクリーンエネルギーと食糧の安定供給の両立を図れる唯一の国が日本である。「ハイブリッドカー」が現時点では持ち直しているのと同様,日本には底力があると信じている。姑息な政治ゲームなどしている場合ではないと思うのである。