日本のエネルギー政策で再生可能エネルギーを現在の8倍にするという目標が出され、そのメインが洋上風力発電だとされていた。それは違うだろうとずっと思って来たが、ここに来て三菱重工と中部電力がいずれも赤字決算を出し、事業継続に暗雲が立ち込めている(https://www.msn.com/ja-jp/money/other/洋上風力への-逆風-日本にも-三菱商が第3四半期に522億円の減損/ar-AA1yvf7g?ocid=BingNewsVerp)。
一方アメリカでは、トランプ大統領の指示で再生可能エネルギーを止めて石油(シェールオイル)、天然ガス開発に舵を切った。すでに風力発電事業からの撤退も始まっている(洋上風力発電に大逆風、トランプ政策受け相次ぐ計画変更:日経ビジネス電子版)。
洋上風力発電に使う大型の風車を製造開発している企業は、日本にはない。アメリカのGE以外は中国メーカーである。日本で設置を進めるには輸入しかない。基本はアメリカだが、事業撤退すれば輸入先がない。
砂漠ばかりのアメリカや中国と違って、日本では大規模の太陽電池発電プラントも数十基規模の広範囲な風力発電プラントも建設する場所がない。だからと言って海の上という不安定なところに設置し、塩水による腐食を受け、しかも台風、津波の影響も考えると、洋上風力発電を選択した理由が分からない。
太陽光,太陽熱,風力,波力,地熱などの再生可能エネルギーを使うことを考えると,それはつまり「自然」な生き方をすることのように思われる。そもそもエネルギー密度が低いので,これでクルマを動かそうとか空を飛ぼうとか,すでに化石エネルギーで贅沢三昧したような文化をそのまま続けようという人類の姿勢そのものが間違っている。これは,自分の生きる環境すら破壊して生きようとする侵略者の生き方のように見える。人類の知恵を超越しようとしている生成AIを動かすために,データセンターの横に原子力発電所を作る,という本末転倒な考え方は,もはや生きものの生きる知恵を捨てたモンスターのようにも思える。
落雷や大風で樹木が発火し,その火を使って暖を取り,食物を加熱して安全に食べる,という知恵から人類は急速に進化した。道具を作り,水をせき止めて大きな力を得ることができた。やがて地下から掘り出した燃える石(石炭)や湧き出す燃える水(石油)をただ燃やすだけでなく,動力源にし,そして電気を生み出した。
現在の電気の大半が,石炭,石油,LNGなどの化学反応(燃焼)と,ウラニウムの化学反応(核分裂)に伴う「熱」という最も低級なエネルギーを使って「電気」という高級なエネルギーを得ている。燃焼という化学反応の代償として二酸化炭素やさまざまな排ガス物質が生まれ,核分裂の代償として放射線や放射性物質が生まれる。
再生可能エネルギーは,こうした副産物が発生しないので環境に優しいと思われるが,そのエネルギー変換に用いる太陽電池パネルや風車を作るために,化石燃料由来の大量の電気が使われる。これで一生ものの発電システムができればいいが,寿命はせいぜい10年である。高速道路が永遠に高速料金を取る必要があるのと同様,新しい設備やメンテナンスのために化石燃料をベースとしたエネルギーが必要なのである。
今必要なのは,化石燃料を燃やしても二酸化炭素などの排気ガスを出さない仕組みの開発ではないだろうか。単なる吸着ではなく,きちんと化学反応で処理する方法を開発できないものだろうか。
【追記】人工光合成で二酸化炭素を酸素と炭素に分解する,触媒でメタンに変換する,などの技術があるようである。火力発電プラントに適用できる規模のシステムを早期に開発すべきだろう。
そして究極の再生可能エネルギーである核融合を実現することに注力すべきかと考える。化石燃料は,いましばらくは使い続けられる可能性があるからだが,現在の再生可能エネルギーはあまりにも投資効果が低く,逆に環境負荷も低くなく,生態系への影響も大きい。