jeyseni's diary

「ジェイセニ」と呼んでください。批判ではなく提案をするのが生き甲斐です。

視覚のマルチタスクは人間にはできない--歩きスマホ,脇見運転が危険な理由

クルマを運転していると,いろいろなことを同時に処理しなければ間に合わなくなることがよくわかる。目から入る状況の情報,耳から入る音の情報,身体にかかる加速度,そしてその判断のもとに,手足を的確に動かして加減速やハンドル操作をする。

 最初はこれを1つ1つ順番に処理しているので,もたもたした運転になるが,そのうち反射的,あるいは同時に無意識のうちに操作できるようになる。事故を起こさないための危険回避も,同時に無意識に操作することで実現できる。

 しかし,目からの情報は複数にわたる。前方,右前方,左前方,ルームミラー,右のドアミラー,左のドアミラー,そして車内の情報など,短時間に複数の状況を確認し,判断しなければならない。なるべく瞬時に見て判断しなければならないのだが,結論から言えば同時に見て判断することはできないことがわかる。

 視覚と聴覚,皮膚感覚,操作・運動などは同時にできるが,複数の視覚情報を同時につかむことはできない。つまり,視覚のマルチタスクは,人間にはできないのである。

 前方ばかり見ていては,横からの飛び出しはわからない。1つのことを集中して見ていれば,周囲の情報を見ることはできない。歩きスマホをしていては,前から来る人を認識できないし,足元も分からないからホームから線路に落ちたりする。

 防犯カメラを複数設置して,それをモニターしていても,1つのモニターを見ていてはほかのモニターの情報を見落としたりする。

 筆者は個人的に,クルマを運転するときにスピードメーターを見るのが苦手である。アナログ方式のメーターだが,制限速度をキープするのにある程度頻繁に見て確認する必要があり,その都度,前方や周囲の確認がおろそかになる。何しろ,今の速度をきちんと把握するのは,難しいと思うのである。

 そこで試しているのが,音声でスピードを読み上げてくれるアプリである(ナビに加えて速度を音声案内する試み--とりあえず英語で案内できるアプリを試してみたら満足のいく出来だった - jeyseni's diary (hatenablog.com) 2023/6/13)。特に,夜間や雨が降っているときなど,周囲により注意を払わなければならないとき,速度の確認に視覚を使う必要がなく,安心である。

 フロントガラスに速度情報を映すHUD(ヘッドアップディスプレイ)が高級車には搭載されているが,あらゆる天候状況で的確に表示されているのかどうかわからない。

 Apple Vision Proを筆頭とするMR(ミックスド・リアリティ)でも,外の風景とデジタル情報を重ねて表示するのだが,さすがに外の風景が必ず見えるという保証はない。ディスプレイそのものが不具合を起こす可能性も否定できない。クルマを運転する際に使用するのはさすがに危険かもしれない。

 マルチタスクといえば,聖徳太子が「一度に10人に話しかけられても、みんな正確に聞き分けられたという逸話」が有名だが,聴覚については普通の人でも3人ぐらいなら同時に話していても,だいたいの内容を理解することはできる。音楽を聴いていても,複数の楽器の音を聞き分けることができる。しかしおそらく,視覚で10個のことを同時に判断するのは難しいのではないか。剣術の達人,空手の達人が複数の相手とやり合う場面でも,視覚というより,動きの気配や,動きの微妙な音で判断していると思われる。

 ということで,普通の人間がスマホ歩きをするのは,周囲に対して危害を与える危険性を持つ。筆者としてはこれは,未必の故意であり,軽犯罪に当たると思う。軽犯罪なので検挙すべき案件である。特に,運転中のスマホ操作は,重過失に当たる。危険運転致死傷罪も適用できる。

 これを防ぐ方法は,スマホメーカーにしかできない。スマホ使用者が,今どういう状況にあるかを判断し,歩いて移動中,クルマで運転中,ということをAIで判断し,自動的に画面をオフにすることを組み込んだスマホ独自のインテリジェントなOSを作らなければならない。

 さて,これに同意してくれるスマホメーカー,ソフトハウスはあるのだろうか。そしてmicrosoftAppleは,そんな顧客離れを起こしそうなシステム開発はしないだろう。それが人間の性(さが)というものである。残念である。