トップインタビュー

「制限は人間の想像力」--ネットスイートのトップに聞くクラウドERPの将来

末岡洋子

2025-12-02 07:00

 Oracleは10月、米国ネバダ州ラスベガスでクラウドERP「Oracle NetSuite」をテーマにした年次カンファレンス「SuiteWorld 2025」を開催した。その基調講演では、NetSuiteの創業者でエグゼクティブバイスプレジデント(EVP)のEvan Goldberg氏が登壇し、「史上最大の発表」として「NetSuite Next」を披露した。

 この「史上最大の発表」と位置付けられるのは、AIの搭載によるものである。具体的には、対話形式で指示を出しながらタスクを実行できる仕組みが導入され、これによりクラウドERPの新しい姿が提示された。

 会場では、NetSuiteの創業者でエグゼクティブ・バイスプレジデントのEvan Goldberg氏、日本オラクル バイスプレジデント NetSuite事業統括 日本代表 カントリーマネージャーの渋谷由貴氏に話を聞いた。

「史上最大の発表」となったNetSuite Next--AIとクラウドERPの関係

NetSuiteの創業者でエグゼクティブバイスプレジデントのEvan Goldberg
NetSuiteの創業者でエグゼクティブバイスプレジデントのEvan Goldberg

 NetSuiteは1998年にクラウドERPとして誕生した。当時は「NetLedger」という社名で、2003年に現在の名称に変更している。SaaSの代表格であるSalesforce.comより1年早く市場に登場した歴史を持つ。

 今回のNetSuite Nextは、AIによるSaaSの進化が議論を呼ぶ中で発表された。Goldberg氏は「NetSuite創業時の目標は、起業家が簡単にビジネスを成長させ、成功できるようにすることだった。これまで使いやすさや実装の容易さを追求し、ユーザーが優れた洞察を得て自動化できるよう改善を重ねてきた。AIはその取り組みを大きく前進させる」と語り、AIがNetSuiteをさらに強化すると強調した。「AIは顧客のビジネス運営を改善し、加速する大きな力になる」という。

 中心となる機能は「Ask Oracle」だ。自然言語で「〇〇という顧客について教えて」や「〇と△を比較したい」といった指示を出し、NetSuiteを操作できる。Goldberg氏は「Ask OracleはCo-pilotではない。将来、システムとのやりとりは会話形式になる。Ask OracleはNetSuiteの全機能にアクセスする主要な方法になる」と述べた。

 AIの活用で最も期待するのは非構造化データだという。「文書化されたポリシーや顧客メモなど、さまざまな情報を組み合わせられる」とし、注文や経費が社内ポリシーに適合しているかを自動で確認する仕組みを例示した。

 NetSuiteはModel Context Protoco(MCP)をサポートし、外部AIとの連携を可能にしている。イベントでは「NetSuite AI Connector」を使い、Anthropicの「Claude」からNetSuiteのデータにアクセスし、情報取得やパイチャート表示を行うデモを披露した。NetSuite Nextの初期バージョンには、顧客がエージェントを構築できる「SuiteAgents」も含まれる。さらに、エージェントがアクセスするデータのセキュリティとプライバシー管理機能も提供する。

 Goldberg氏は「これらのAIツールを使って顧客が何を実現するのか、われわれも未知数で楽しみにしている」と述べ、イベントテーマ「No Limit」を引用しながら「制限があるとすれば、使う側の想像力だ」と語った。

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