のこされし者のうた / 浜田真理子(1998年)
「のこされし者」の無力感を歌った知る人ぞ知る名曲
「のこされし者のうた / 浜田真理子(1998年)」とは
1998年、島根の地元レーベルPLANKTONEから500枚だけ売り出されたリリースされていた浜田真理子さんのファースト・アルバム『mariko』。
完全にネイティヴ(英語)としか思えない完璧な発音と作詞センス、ジャズとローラ・ニーロなどの知性的シンガー・ソング・ライターと歌謡曲の親しみやすさが同居した奇跡的音楽性が衝撃を与える。
地元レーベル時代、流通状況がとてもいいとはいえなかったにも関わらず、都内量販店では軒並み3ケタを越すセールスを記録した。
なかでも英語詩を中心にしている中でポツリと収録された日本語曲「のこされし者のうた」のインパクトは鮮烈。
2001年になって、再リリースされた『mariko』が、東京のタワーレコード・ジャズフロアーで注目される。
誰も知らない歌手。
誰?この人。
噂は噂を呼んで、口コミで静かにそっと売れ続ける。
直ちにマスコミも注目した。
2004年には、TBSテレビ「情熱大陸」で取り上げられ、たちまち浜田真理子さんは全国区となる。
離れていく心に対して人は無力だ
本作にはじめて触れたのは、アニメーション映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』の挿入歌としてだった。
人生において何度もなんども繰り返される別離において、「のこされし者」は離れていく人を止める事はできない。
自分の知らない、別の方向へ動き出した人の心は、誰も止められない。
体も心も振り絞って「わたしをおいてゆかないで」と願うしかない。
いばらの道を
ひとりでゆくあなた
何がそんなに
あなたを呼ぶのでしょうか
夜空の星も 朝の霧も
みんな みんなあげるから
わたしをおいてゆかないで
やさしい風よ
あの人に届け
心のかけらを
のせてゆけ
あなたの暮らす 遠い空に
涙の雨が降ったなら
ああ わたしを
思い出して
本詞のいう「あなた」とは、共に過ごした伴侶のような愛しい人のことを指しているのだろう。
だが、本作を聴いて真っ先に思い浮かべたのは、今はもうこの世にいない愛しい人の姿だった。
先の大戦で若者たちが航空機や魚雷に乗って敵に体当たりした特攻。
東日本大震災の地震や津波の被害などで亡くなった多くの人たち。
その他、災害や事故や人災で不慮の死をとげた人たちの話の裏には、それ以上に多くの「のこされし者」たちいたはずだ。
その心中を慮ると、胸が張り裂けそうになる。
わたしをおいてゆかないで
人はひとりでは生きられないのだと、つくづく思い知らされる。
人は誰かに生かされ、誰かのために生きている。
生きたくても生きられなかった多くの人たち。
その人たちの想いを抱えて、「のこされし者」はひたすら今日を生きていく。
のこされし者のうた (Live at ビルボードライブ東京, 2017)
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