
登山用の日本酒として喜多の華酒造場の【星自慢 特別純米 無濾過生原酒】を調達しましたので、甘口辛口などの味の解説やレビューをざっくばらんに書き殴ります。皆さんの日本酒選びに1ミクロンでもお役に立てますと幸いです。
一つ前の記事です→『016|若州の酒 桝々福々 純米吟醸搾りたて生原酒』
お酒のレビュー
概要と経緯

このお酒は2025年6月の飯豊連峰縦走の登山酒として持参したものです。
当ブログの山行記事の方でもたびたび書いていますが、山に登る場合はその周辺の日本酒を飲むことを信条としていまして、製造元となる酒蔵がアクセス可能な場所にあれば立ち寄り、無ければその付近の酒屋で地元のお酒を調達する事を心掛けています。
登山メインにした記事はこちらからご覧ください。喜多の華酒造場での日本酒調達についても触れています。→『飯豊連峰その1(弥平四郎バス停→弥平四郎登山口)』

今回調達したのは福島県の喜多方市。会津盆地と言えば酒どころで知られていますが、その中にあるこちらの喜多方市も市内に11もの酒造があるという日本酒の町。当初の予定では昼過ぎ頃から夕方まで何時間か滞在できる予定だったので、色々な所で試飲を楽しみながら登山酒2本を選び、帰りに喜多方ラーメンなんて感じで考えていたのでしたが……。
途中の乗り継ぎ駅である郡山駅にて。登山口までの移動で用いる、磐越西線の野沢駅から弥平四郎まで乗車するデマンドバスの予約で電話を入れてみると、なんと既に入っている予約の都合で予定の時間のものが乗れないという事態に。このバスに乗れないと登山そのものが中止になりかねないのでなんとかならないか相談してみた所、1本早い便であれば乗れるとの事。
その1本早い便というのは予定よりも2時間ほど早い便なので、本来3時間あった喜多方での滞在時間がわずか45分となってしまう……とは言え選択肢はないのでやむなくそれで決定。
お酒が無いと登山できないタイプの人間なので、その上で喜多方駅到着後45分間のという短時間の間に調達する事に。地図を見てみると喜多の華酒造場という酒蔵が駅から最も近く、ここであれば時間内での調達は叶いそうだという事で、駅を出た後はまっすぐそちらに向かいます。
ちなみに喜多方の市街地は市内を流れる田付川を境に東西で二分されていて、西に商人の町である小荒井(駅はこちら側)、東に醸造町である小田付という街がそれぞれあります(ちなみに小田付の方は重伝建にも指定されています)。
喜多の華酒造場は小荒井の方の街の南側の駅寄りに立地しており、駅からは徒歩10分程度の距離。

さて、訪れた6月の中旬は早くも夏の気候で各地で真夏日なみの気温を観測。フライパンのような地形の会津盆地の中にある喜多方も例外ではなく、訪れた日も30℃を越えていました。そんな猛暑の中、45分間というタイムリミットという制限の中で喜多の華酒造場へ。酒蔵はメインの通りから1本入った所にあって閑静とも言える環境の中にありました。
中に入り声を掛けると店員の方が応対。こちらの酒蔵では試飲できるという話だったので色々と飲ませて頂いた上で決めることに(少し前の事で会話の内容は忘れてしまったので、今回は会話形式無し)。

試飲できる種類はかなり豊富ですが、ドライ→濃醇という順番が良いという判断から、まず最初は【蔵太鼓 辛口純米】を選択。日本酒度は+10という事でしたが、それを感じさせない程の芳醇さを感じられ、それでいて後味はすっきり。初っ端から良いお酒でした。
次いで飲んだ【明日の日本を語る酒 純米吟醸】も全体的にすっきりした傾向であるものの、蔵太鼓と比べると中庸寄り。ただ風味が若干独特で、酒米には福島産の酒造適合米である夢の香。酵母は福島県の日本酒酵母であるうつくしま夢酵母を使用という、福島づくしがコンセプトのお酒との事。
【喜多の華 純米吟醸 会津産山田錦 一火入】からは一転して甘味が主張するお酒となり、こちらは山田錦の55%という事で甘さに加えて華やか。ただ、軽快ではなく少なからず飲みごたえがあるタイプ。
【喜多の華 純米吟醸 うすにごり】は一火入を更に濃醇かつ複雑味のある味わいにしたお酒。甘さが立つものの全体のバランスは調和していてよく纏まっている。
そして今回の記事の【星自慢 特別純米 無濾過生原酒】は、先の喜多の華の二種と同様に濃醇甘口であるものの、風味はだいぶ違っておりこちらは華やかさは控えめ。使用米は五百万石とタカネミノリとの事。
次に飲んだのが、次回記事『018|天の希 純米吟醸』にて紹介する【天の希 純米吟醸】。これは一転してさっぱりしたタイプであるものの、さらっとした甘い風味が独特。福島県浜通り富岡の天のつぶという酒米を使用して作られたお酒らしい。

最後に飲んだのが貴醸酒(再仕込みのお酒)の【きたのはな 時をかさねて】。自分の中の貴醸酒のイメージに近く、甘味たっぷりでどことなく果実感。けど飲み終わりはさっぱりしていて、これも良いお酒だなと思った。
という訳で短い時間の間に7本ものお酒を飲ませて頂いたのですが、個人的に印象に残ったのが星自慢の無濾過生原酒。濃醇かつバランスの良さと味わいの独自性も感じ、まずはこれを1本。
山には2本担いでいくのでさらにもう1本を選ぶ事になりますが……次点で気になったのが喜多の華のうすにごり。ただ、星自慢の方と風味は異なるものの濃醇甘口という大筋は似通っているので、2本選ぶのであればもう少しタイプの違ったお酒にしたい。
気になったのは後半で飲んだ天の希。酒米の違いによるものか、これは他とは風味がだいぶ異なっているように感じる。星自慢と比べるとさっぱり傾向で食事にも合わせやすいので、もう1本はこれに決めました。
市内に多くの酒蔵がある喜多方で今回立ち寄ったのは、駅から徒歩圏内にある喜多の華酒造場
— 犬山 (@Urayama_City) June 17, 2025
こちらは試飲も可能。味の幅があり、飲み比べてて凄く楽しかった。
登山用の水として、仕込み水も大量に汲ませて頂けたのは有り難い。 pic.twitter.com/zvBCIkHhpe
味覚の傾向

ソロ登山だったので、今回は自分ひとりだけのレビューとなります。
口切りは登山初日の弥平四郎登山口での夕食時(試飲で既に味を知っていますが)。最初の印象は濃厚な甘さ。しかし甘いだけではなく酸味や渋味も介在していて複雑さも感じられて飲みごたえは抜群。料理に合わせずとも、単体で飲んでいても十分楽しめるお酒でした。

杁差岳の山頂にて飲む星自慢。景色をぼーっと眺めながらなんとなく呷るには丁度良いお酒。

※数値が高ければ味が優れているという訳ではないのでご注意下さい
料理との組み合わせ

単体で十分楽しめるタイプのお酒なので、つまみ的なものとして道中生えていたネマガリダケを採取、塩茹でしたものと合わせてみました。ネマガリダケの仄かな甘味と塩味でお酒の味が引き立ち中々の相性で85点の組み合わせ(登山補正あり)。
一方で、やや食中向けの天の希との相性は……つまみとしては少々弱いのでそこまでのではなく70点程度といった所。
スペック一覧表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵元 | 喜多の華酒造場(福島県喜多方市)→(HPリンク) |
| 使用米 | 五百万石(麹米)、タカネノミノリ(掛米) |
| 精米歩合 | 50%(五百万石)、55%(タカネノミノリ) |
| 日本酒度 | -1 |
| 酸度 | 1.7 |
| アルコール度数 | 18度 |
| 種別 | 特別純米酒(生原酒) |
| 購入価格(税込) | 1,634円(720ml) |
買えるお店の紹介(あれば)
一升瓶のみですが、楽天で星自慢の同じスペックのものを扱うお店がありましたので紹介致します。甘味傾向、かつ吟醸香が控えめで飲みごたえのあるタイプの日本酒が欲しい方には特におすすめです。
※流通量の少ない地酒なので、品切れ&リンク切れの際はご容赦下さい。
次回のお酒はこちら→『018|天の希 純米吟醸』
