四国八十八ヶ所巡礼
ついに、この長い長い旅を終えることができました。
「お遍路を終えて、何が変わったの?」
と聞かれたら、
体力も精神力も限界に近いところまで追い込まれましたが、
それ以上に、この旅は私にとって、
現代社会ではなかなか得られない、人生の核心となるような
気づきを与えてくれました。
この記事では、私がお遍路を歩き気づいたことやエピソードを交え
今後の人生にどう生かしていくかをつづっています。
もしこれからお遍路を歩いてみたい方や生活に行き詰った方がいるとしたら
この記事が目に留まり、少しでもお力になれれば幸いです。
1 「お接待」に触れて知った、見返りを求めない感謝の心
バックパックにテントや寝袋を詰め、野宿をしながら歩きました。
(後半、山道で足を捻挫してしまい、数日ホテルに宿泊しました。)
また、スマートフォンの電源をオフにし、いざというとき以外は使用しないようにしました。その他、アルコールや炭酸飲料を摂取しないや、コンビニで買い物をしないなど個人的なしばりを設けて歩きました。
野宿をしながらしばりを設けて歩く理由は、もちろん金銭的な問題もありましたが
修行を目的にこの方法を選びました。
のちに、長い野宿のあとに宿泊したビジネスホテルでは、感謝やたくさんの気づきを得ました。
そんな中、お遍路の旅で最も心を打たれたのは、
見知らぬ人々の温かい善意、
「お接待」でした。
お遍路旅初日、野宿場が見つからず日が暮れ真っ暗な中、不安な中ようやくお遍路休憩所東屋に出合い、そこでテントを張ることにしました。重い荷物で体は痛く、普段歩かないので足も痛みはじめていました。
テントを張って休んでいると、外から動物の足音のようなものが聞こえ、気になり疲れているのにほとんど眠れない夜でした。目が覚めるとまだ夜中3時。外へ出ると満点の星空でした。目覚めてしまったので早めに次のお寺へ歩こうと決め
早朝5時頃、お寺に到着したのですが、
仁王門は閉ざされていたため門前で待たねばなりませんでした。
10月の上旬、まだ辺りは薄暗く少し肌寒い朝でした。
すると住職らしき方が飼っていらっしゃる犬の散歩に出てこられました。
おはようございます、と挨拶を交わしたあとその方に
開門は8時ですよ。と告げられ、当然わたしは、待ちますと答え、
携帯用のダウンを着てうずくまって門前で待っていました。
7時過ぎたころでしょうか。
朝のお勤めを終えられ門を開きにこられたその方が、
「寒かったでしょう、こちらをお飲みください。」と差し出してくださったのは、
温かいコーヒーとチョコレイトでした。
わたしは予期しない出来事に思わず涙が込み上げてきました。
もちろん何百何千と訪問する巡礼者すべてに出されてるわけではなく
タイミングだったと思います。
これは、お遍路を歩く者に対する、無私の慈悲の心、
つまり同行二人の精神を体現するものでした。
いままでの人生で一度もなかった経験で
これがはじめての「お接待」でした。
お遍路を歩いているとこのようなエピソードはたくさんあります。
雨の日、歩いていると後ろから通り過ぎる車が止まり運転者が降りてきて
ご苦労様と言い、温かいお茶を差し出してくださる方や
疲弊しているわたしを見て、自宅の庭で休憩させてくださる方、
これで飲み物でも買ってくださいと現金を差し出す方、
もちろんモノを差し出す方だけではなく
声掛けしてくださる方。
彼らは「お気をつけて。」のひとことだけを残し、決して見返りを求めません。
現代の生活、特に都会の生活では、わたしたちは常に時間やコストパフォーマンスを考え、合理的な行動を重視しがちです。
しかし、ここでは、人としてごく自然な「思いやり」が連鎖していました。
※お接待は当たり前ではなく、すべての方が与えているわけではなく、すべてのお遍路者が受けるわけでもない。
この体験を得て強く感じるのは、
「自分ひとりの力で生きているのではない」
ということです。
旅路で受けた親切も、普段の生活で得ている環境も、すべて誰かの善意の上で成り立っています。このシンプルな事実に気づけたとき、それまで漠然としていた
「ありがとう おかげさま」
という言葉が、心の底から湧き出るようになりました。
あたりまえはおかげさまの裏側である。
温かい布団で寝る あたりまえ
温かいご飯を食べる あたりまえ
会社に勤める あたりまえ
あたりまえを止めて
おかげさま に変えてみませんか。
そう考えると、いろんな感謝が湧いてきます。
見返りを求めない感謝の心が芽生えてきます。
第二章へつづく...
ご一読いただきありがとうございます。
少しでも共感できたことがありましたらコメントしていただけますと幸いです。
またご質問等ございましたら、お気軽にお尋ねください。
「ありがとう おかげさま」が広がる世界になりますように
いもぷっぷ(42)自営業
大学卒業後、企業に勤めるも先の不安やマンネリ生活から脱するため、8年で退社、海外留学する。帰国後、海外で出会ったゲストハウスの居心地の良さに惹かれ、自身でも開業したい思いがつのり、北海道に移住しゲストハウスを開業。現在、旅人を受け入れながら、ときどき旅人になる。趣味:家庭菜園、登山、焼き菓子作り