おつかれっすぅ!
「一見落着」では、つまり落着してないンじゃないのか?
あらら。
「一件落着」でないと落着しないじゃないか。
貧ちゃン神さン紹介して後はしらばっくれようと思っていたのに。
取り合えず自分こそ落ち付け。
「ま、お茶どーぞ」
ええッ、お、お茶ッスかァァァーーーッ!!
人の情けが身に沁みて、湯呑を持つ手も震えがち。
感激こらえてすすったお茶は、ちょっぴり涙の味がした。
歌って頂きましょう!
ッて演歌調に突き進みつつも、お茶の一杯に感動できるピュアな心は無くさずに持っていたいネ、つーかいーのかそれで。
日頃お茶を出され慣れていると、すっかりそれが当然のように感じてしまって、かえってトラブルを招きかねない。
「お茶も出ない!」とか、
「お茶が遅い!」とか、
「お茶がぬるい!」とか、
「お茶がマズい!」とか。
何様だ?
ハァ、お客様ですか。
当たり前だ。
お客様だと思えばこそお茶の心配なンぞしてるのだ。
それを催促の上、文句まで言うか。
お茶を出すところに歓迎ともてなしの意が現れているのに、お行儀の悪い話だ。
しかるに、お客様と店舗ではパワーバランスとしてはお客様が上に決まっているが、雇用側と被雇用側では雇用側が上に決まっている。
強い者が力をちらつかせて相対的弱者を従わせようとするのはどこでも有り得る話である。
それなのに、強い立場の者が弱い立場の者に気を遣ってくれるとは、これは世の中何が転がってるか分からない。
「たかがお茶一杯でおおげさな」
そう思うなら暖かい部屋でヌクヌクとホットミルクティーでも楽しんでいればいい。
始めからそういうのはお呼びじゃない。
お茶の一杯に涙して、「ぽっぽや」ばりに小雪ちらつく西白島町の路地の一角に立ち尽くす位のムードが欲しい。
高倉健には雪が良く似合う。
映画の撮影時、雪深い山奥のシーンともなると「寒いどころじゃない」位寒いという。
ロケの仕度の最中も雪は降り続き、スタッフからキャストから皆凍えそうで待機小屋に入っていたいンだけど、健さンは雪の中ジッと作業を見守っている。
まさか健さンを差し置いて他の連中がヌクヌクとしている訳にもいかない。
スタッフは早速健さンに勧めたとか。
「寒いですからどうぞ中で温まって下さい」
健さンはシブい声で言ったという。
「イエ、自分、暖かなところにいると軟弱になりますから」
カッコイイ!
カッコイイけど、健さンにそう言われちゃあ何で他の者が温まれようか。
その撮影は耐寒訓練の如く過酷なものになったという。
健さンは自分の信念を口にし、それに従って行動しているだけで、別に他の人達にイジワルしてる訳じゃないンだけど、取り合えず皆寒かっただろう。
どれ程温かいお茶が欲しかったことだろう。
「あったか~い」のお茶缶には暖かいイラストが必要だ。
ゴのゲゲルに邪魔されてる場合じゃない。
飛び出しナイフなどもってのほかだ。
「何にするんだ、こんなもの?」