ミステリ関連
潮谷験の「名探偵再び」を読んだ。 軽いノリの女子高生探偵の話かと思ったら、最後にどんでん返しがやってくる。正直、前半は軽妙なコメディかと思って油断していた。だが終盤、目まぐるしく伏線が回収され、見事に騙されていたことに気づかされる。その巧妙…
城平京の「虚構推理」を読んだ。 「都市伝説✕ミステリー」という紹介文を『このミステリーがすごい!2026年版』で見かけて手に取ったのだが、これが思いのほかの当たりだった。アニメっぽい表紙に惑わされて今までスルーしていたことを悔やむほど、自分好み…
恩田陸の「鈍色幻視行」を読んだ。 一つの「呪われた小説」に関して関係者を一同にあつめた豪華客船でその小説について語り合うというなんだか一人や二人死人が出てもおかしくないシュチュエーション。 物語は、小説家の妻とその夫の二人の視点から交互に語…
恩田陸の「Q&A」を読んだ。 すべてが「会話」だけで描かれた謎だらけのストーリー 20年近く前に書かれた結構古い話だが、まるでその後の事件を予測しているかのようなストーリー。 大型ショッピングモールMで起こった大惨事。最初は火災と思われていたが、よ…
柳川 一 の「中山民俗学探偵譚 」を読んだ。 戦前戦後にかけて、中山が出会った有名人たちとのエピソードをうまく謎ときに仕立てたミステリー。 ナレーターの読み方の問題もあるかもしれないが、大変上品というか京都料理みたいな本。欲を言えば滋味深いが逆…
辻真先の「命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎」を読んだ。 事件の舞台は「むの字屋敷」。俯瞰で見ると、ひらがなの“む”のように見えるという、なんとも奇妙な構造だ。読者としても、その全貌をなかなか掴みきれないのだが、登場人物たちも迷いながら歩い…
湊かなえ の「暁星」を読んだ。 実は読後に嫌な気持ちになるのでは…と、しばらく聞き渋っていた作品だったが、いざ聴いてみると、その不安は杞憂に終わった。むしろ、心を大きく揺さぶられた。湊かなえの「暁星」は、宗教2世の痛みと、それに絡み合う人間の…
下村 敦史,の「口外禁止」を読んだ。 最新のAIが「サッカーワールドカップの対戦成績を予測」できたら? そんなはずないと頭では思いつつも、3回連続当たっていたら、信じてもしょうがないのかもしれない。 昔、ワールドカップの結果を予想するタコのパウル…
土屋うさぎの「謎の香りはパン屋から」を読んだ。 読む手を止めるたび、ふわりとパンの匂いが鼻腔をくすぐる気がして、お腹が鳴った。まったく罪なミステリーである。グルテンフリーチャレンジ中の人間が読む本ではない。 「謎の香りはパン屋から」は、主人…
三津田信三の「碆霊の如き祀るもの 刀城言耶シリーズ」を読んだ。 この「刀城言耶シリーズ」こつこつ読んでいるのだが、今回は読了までかなり時間がかかってしまった。去年の9月に購入して積読しまくって、再開しても波に乗れずようやく読了。 これだけ時間…
麻見 和史 の「殺意の輪郭 猟奇殺人捜査ファイル」を読んだ。 上品なものばかり食べていると、たまにジャンクフードが食べたくなるように、人気作家の新シリーズを読んでみた。 タイトルからして、もっと血みどろな「猟奇殺人」を期待していたが、思ったより…
青柳碧人 の「赤ずきん、イソップ童話で死体と出会う。 」を読んだ。 赤ずきんちゃんシリーズ、第4弾でお使いにでたまま、いまだ家に戻れない赤ずきんちゃん。今回は「イソップ童話」の世界に迷い込む。 うさぎと亀の寓話に絡めた殺人事件とか、オオカミ少年…
原田ひ香 の「一橋桐子(76)の犯罪日記」を読んだ。 いやー、老人になるのが怖くなる本。 (おそらく、歳を取るのもそんなに悪くないよね、と伝えたいのだとは思うが・・・いやいや、これはもう、笑えない。 超がつくほどいい人そうな桐子(76)は、同居…
恩田陸の『不連続の世界』を読んだ。 「塚崎多聞シリーズ」の第2作である。……と自信をもって書けるのは、前回『珈琲怪談』を読んだときに「シリーズ第3作だった」と知ってショックを受けたからだ。 順番を無視してシリーズの途中から読み始めた挙句、今回は…
M・W・クレイヴン の「ボタニストの殺人」を読んだ。 毒と皮肉の香りがただよう、心弾む英国ミステリー。 冒頭からして惹き込まれる。テレビ番組の収録中、女性蔑視発言で悪名高いコメンテーターがその場で毒殺されるのだ。誰もが見守る生放送中の事件、し…
水生大海 の「その噓を、なかったことには」を読んだ。 「どんでん返し」の爽快感を味わいたい読者にはたまらない、5つの短編が収められた一冊である。 ただし、甘いだけの展開では終わらない。最初の数話で「いい話かな?」と油断していると、後半でしっか…
辻村深月の「朝が来る」を読んだ。 出だしから心をつかまれる。静かなのに、胸の内にざわざわと波紋が広がっていくような物語だ。「朝が来る」は、ミステリーのように緻密な構成を持ちながら、圧倒的に人間ドラマである。 物語の軸になるのは、子どもを授か…
香坂 鮪 の「どうせそろそろ死ぬんだし」を読んだ。 いやー面白かった!このミス大賞、ということでみんな期待値が高いのか、結構レビューでは辛辣なコメントもあったけど、私は大いに満足。 視点がくるくる変わる構成は、一見稚拙に見えるかもしれないが、…
五条 紀夫の「殺人事件に巻き込まれて走ってる場合では無いメロス」を読んだ。 恐れ多くも太宰治の走れメロスを下敷きにしたユーモアミステリーだ。 何が面白いって、古代ギリシャの人の名前がどうせ覚えられないだろうと言うことで、めちゃくちゃわかりやす…
須藤 古都離 の「ゴリラ裁判の日」を読んだ。 人間とはなにか。そんな根源的な問いに、真正面から、けれど決して重たすぎずに向き合わせてくれる一冊だった。 本作「ゴリラ裁判の日」は、手話を使い人間と会話ができるゴリラ、ローズ・ナックルウォーカーの…
桃野 雑派 の「星くずの殺人」を読んだ。 宇宙で人がひとりずつ殺されていく――それだけでもじゅうぶんひきがあるが、「星くずの殺人」はその舞台設定に甘えず、しっかりと“論理”で読ませるミステリである。 無重力、閉鎖空間、抽選で当たった乗客たちという…
久坂部羊 の「絵馬と脅迫状」を読んだ。 冒頭から率直に言うと、面白かった。面白かったのだが、短編集ゆえの物足りなさもあった。 つまり「もっと読みたい」という欲が、肩透かしのような読後感に繋がってしまったというだけで、内容自体はどれも印象的だ。…
佐伯つばさの「ようこそ瑕疵ある世界へ」を読んだ。 “瑕疵”——この一文字でピンとくる人は、たぶん怪談好きだろう。そう、事故物件などでおなじみの「心理的瑕疵物件」の“瑕疵”である。 タイトルからして、ただのミステリーではなさそうな雰囲気がぷんぷん漂…
王谷晶の「ババヤガの夜」を読んだ。 ダガー賞を獲得し、日本より先に海外で話題になった本。 話題の中にチラホラとシスターフットという単語が目につく。 なんだろ?と思って調べてみる。 シスターフッドは「性愛を伴わない、セクシュアリティ抜きで成立す…
米澤 穂信 の「本と鍵の季節」を読んだ。 高校の図書室には、静けさと紙の匂いだけじゃなく、ときに“謎”も転がっている——そんな空気を見事にすくい上げたのが「本と鍵の季節」だ。 本作は、図書委員の高校生コンビが謎を解いていく連作短編集。軽妙な会話劇…
東川 篤哉の「朝比奈さんと秘密の相棒 」を読んだ。 あら、また鯉が窪学園の話なのね。という既視感があるのだが前作とは別のキャラクターのようだ。 今作の主人公・朝比奈麗華さんは、高飛車で傲慢、まさに「お嬢様」のテンプレートのような人物だが、なぜ…
新川 帆立 の「目には目を」を読んだ。 語り手が誰なのか、どんな立場なのかが少しずつ明かされていく構成に引き込まれた。 最初は「信頼できない語り手」なのではと疑ったが、実際には嘘をついているわけではない。ただ、性別すら隠されて語られるため、読…
2025年直木賞候補作の一冊、芦沢 央の「嘘と隣人」を読んだ。 先日読んだ「慈雨」を思い出す「引退した元刑事が主人公」の連作小説。 さすがイヤミス短篇の名手といわれるだけある。人間が持ついい面と悪い面でいうと、必ず悪い面で終わるカードゲームのよう…
柚月裕子の「慈雨」を読んだ。 一度警察官になった者は、死ぬまで警察官なのだろうか。そんな問いが頭をよぎる。柚月裕子の「慈雨」は、定年退職した元刑事が、過去に自らが「解決」したと信じていた事件に再び向き合う物語である。 論理的なミステリという…
アンソニー・ホロヴィッツ の「その裁きは死」を読んだ。 2021年、ミステリランキング4冠を3年連続で達成したという「その裁きは死」は、ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第2巻である。 読み終わってから気づいたのだが、どうやら私は第3巻を先に読んでし…