iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

ホラー

『虚構推理』嘘で怪異を解体するミステリー

城平京の「虚構推理」を読んだ。 「都市伝説✕ミステリー」という紹介文を『このミステリーがすごい!2026年版』で見かけて手に取ったのだが、これが思いのほかの当たりだった。アニメっぽい表紙に惑わされて今までスルーしていたことを悔やむほど、自分好み…

「トロルドお母さんが怖い!」はそんなに怖くない

古賀新一の「トロルドお母さんが怖い!」を読んだ。 KindleUnlimitedで古賀新一の作品が大量に読めるようになっていて、 エコエコアザラクの人、でもちゃんとよんだことなかったなーと思い一番タイトルが意味不明の一冊をチョイス。 怖い、というより生理的…

『月の裏側』これはホラーかSFか

恩田陸の「月の裏側」を読んだ。 シリーズを逆流して読み、ようやく第1巻にたどり着いたわけだが、えーーーって感じ。 SFやん、ホラーやん!3作目の世界感と全く違う。 物語は、街全体を包み込むように忍び寄る正体不明の“何か”によって始まる。その“何か”は…

梨氏が描くメタな世界「SCPって何ですか?」

梨 (著), 三山高 (著), ハチフン (著)の「SCPって何ですか?」を読んだ。 梨氏原作の漫画。(いつもは呼び捨てだが、梨だとなんだかわかんないのでね) なんとも説明がしづらいが、表紙に書かれているのが、登場人物の漫画家(の卵?)MとH。 黒髪のMはおそ…

『かわいそ笑』不誠実な語り手のせいで考察必須のホラー

梨 の「かわいそ笑」を読んだ。 読後にイヤー!と叫びたくなる一冊。 何が怖いって、読んだ自分も知らぬ間にこの呪術的な仕掛けに加担していたかもしれないという点だ。 そう、梨の「かわいそ笑」は、読む者の無意識をじわじわと巻き込み、読後になってよう…

『怪談小説という名の小説怪談』怖い話を書き続ける人の原動力

澤村伊智の「怪談小説という名の小説怪談」を読んだ。 ホラー作家が「怖さとは何か」を問い続けて書いた短編集、「怪談小説という名の小説怪談」には、もはやエンタメをこえて学究の魂まで感じる。 特に印象に残ったのは、ラストを飾る「怪談怪談」。 この作…

『ようこそ瑕疵ある世界へ』都市ボーイズも友情出演⁉︎

佐伯つばさの「ようこそ瑕疵ある世界へ」を読んだ。 “瑕疵”——この一文字でピンとくる人は、たぶん怪談好きだろう。そう、事故物件などでおなじみの「心理的瑕疵物件」の“瑕疵”である。 タイトルからして、ただのミステリーではなさそうな雰囲気がぷんぷん漂…

「耳なし芳一のカセットテープ」怪談と現実がクロスする?

最東対地 の「耳なし芳一のカセットテープ」を読んだ。 物語の主人公は、怪談師の馬代(ましろ)。 彼はとある有名な怪談を追っている。それは「深夜のラジオから、突然『耳なし芳一』の琵琶語りが流れてくる。その音声を録音したカセットテープを聴くと、聴…

『珈琲怪談』役に立たない時間の尊さ

恩田陸の「珈琲怪談」を読んだ。 前作を読んでいなかったことを、少し惜しく思った。やはり多聞の過去が気になってしまう。シリーズものは続けて読みたいA型の私。 しくじったわ。 本作に集まるのは、喫茶店で怪談をするためだけに顔を合わせる、働き盛りの…

「8番出口」

川村元気の「8番出口」を読んだ。 二宮和也主演の映画が先日公開されたばかりの、ゲームをノベライズした新しい取り組みの本だ。 と、わかったようなことを書いてみたが、実はゲームに対する理解がないのでなんのことやらである。 物語は.混み合う電車内で…

「怪談狩り まだらの坂」不気味でオチなし。

中山市朗の「怪談狩り まだらの坂」を読んだ。 Audibleで怪談狩りの新作が上がるとすぐに聞いちゃう。 そんなに怖くないので(怪談の意味)怖がりさんにも安心です。 ちなみに、怪談系は割とゆっくり読み上げてもらうほうが雰囲気でる。 怪談のあらすじをい…

『ドールハウス』その人形、何度捨てても戻ってくる

矢口史靖 ・ 夜馬裕の「ドールハウス」を読んだ。 人形が幼い娘と話ている。──そんな錯覚から、すべてが始まった。 「映画ノベライズ ドールハウス」は、ただのホラーではない。喪失と再生、そして静かに蝕まれる日常を描いた、深くて苦い物語だった。娘を亡…

『鸚鵡楼の惨劇』半世紀を超えて生きるオウム

真梨幸子 の「鸚鵡楼の惨劇」を読んだ。 いやあ、これは面白かった! 鸚鵡楼という屋敷で起きた事件を、半世紀にわたって追いかけるサスペンスである。 物語は過去と現在が予告なしてに意図的に時間がポンッと飛び、入れ子構造で何重にも重なっていく。 気が…

『力ばか』小泉八雲が描く愛の怪談

小泉八雲の「力ばか」を読んだ。 とても短い怪談だが、胸に残る余韻がある。 主人公の力(りき)は、16歳になっても心は2歳のまま。 印象的だったのはこの一文だ。 彼は生まれつき子どもの心のままだったからです。そのため、人々は親切にしていました。 普…

4月1日のマイホーム

真梨 幸子の「4月1日のマイホーム」を読んだ。 前々から、イヤミスの女王。ということだけ知っていて読むのをためらっていたが、読んでみたら思ったよりコメディで。好みの感じ。 初対面からタメ口の隣人女性に対する違和感とかを丁寧にすくっているところ…

『お経から読み解く未来予言 仏教コード』は仏教版ダ・ヴィンチ・コードか?

三木大雲の「お経から読み解く未来予言 仏教コード」を読んだ。 冒頭から、まるで仏教版ダ・ヴィンチ・コードかと思わせるタイトルに心躍ったが、読み進めるうちに「ああ、これは普通に怪談和尚だったな」と。 すなわち、科学的な考察やデータ分析を織り交ぜ…

『6』梨が仕掛ける、不気味で知的な物語

梨の「6」を読んだ。 むむむ、難解!なんだこれ。 タイトルからして「?」だし、読み進めてもスッキリするどころか、ますます霧の中。 最終的には伏線が回収されるっぽいんだけど、それまでの道のりが長い。そして重い。怖いというより、気色悪い。言葉のセ…

Audibleで聴ける不気味な小説6選──本を読む気力がない日にも、ゾッとしたいあなたへ

Audibleで聞ける不気味な話 2021年からAudibleを愛用し、月に150時間以上を聴いている私だ。最近は寝落ちするまでAudibleで読み聞かせしてもらっているいい大人だが、暑くなってきたことだし、ここらでおすすめのホラーを集めてみた。 日常の隙間時間に“背後…

伊藤潤二展に行ってきた

福岡市科学館で行われている「伊藤潤二展~誘惑~」に行ってきた。 先週行くつもりがダラダラしているうちに日が暮れてしまったので、今日こそは前日から伊藤潤二の「死びとの恋わずらい」などを読み、気持ちを高める。 それにしても、子どもたちが喜び集う…

「とらすの子」を聴く――オーディブルの臨場感が怖すぎる!

芦花公園の「とらすの子」を読んだ。 表紙の「の」の字が反転していて、おしゃれ?なのか、おどろおどろしいのか、判断に迷う。 なんとも不穏なデザインだ。 タイトルからして謎めいているが、まずはこの公園みたいな名前の作家は何者なのか?と思い調べてみ…

小泉八雲の「〇〇の話」3選

小泉八雲の「おかめの話」「お貞の話」「蝿のはなし」を読んだ。 どれも10分未満なのでなんとなく一気読み。 明日これを読むので予習。どうやら小泉八雲のお話らしい。 小泉八雲「おかめの話」 作者:小泉 八雲 Audible Amazon おかめの話は、タイトルのおか…

「死に髪の棲む家」紙の本の醍醐味—帯の髪の毛にニヤリ

織部 泰助の「死に髪の棲む家」を読んだ。 先日、久しぶりに天神(福岡の中心地)の書店へ行くと、この本がやたらとおすすめされていた。 よくよく見ると、なんと著者はこの本屋で働く書店員さんとのこと。これは気になる。郷土の星と呼ぶにふさわしいではな…

「コワい話は≠くだけで。」ホラーモキュメンタリーという世界

景山 五月の「こわい話は聞くだけで」を読んだ。全三巻、完結まで読んだので感想を書こうと思う。 まず、仕掛けがすごいのよね~ それもそのはず、原作者に「梨」の文字が。 あらすじにあるように「巻き込み型ホラー」。 今流行りに流行っている「モキュメン…

「もう、聞こえない」まさかの犯人・・・ではないところがミソ!

誉田哲也 の「もう、聞こえない」を読んだ。 警察ミステリーかと思ったら、女性の霊(の声が聞こえる女性)が捜査を誘導するというまさかの展開。 しかし、物語の視点人物が巧みにスイッチするので、読者は結構騙されてしまう。 幽霊が犯人を教える、なんて…

「入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください」続巻期待!

寝舟 はやせの「入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください」を読んだ。 本屋でみて気になっていた一冊。 今流行りのモキュメンタリー風ホラーかと思いきや、割と良い方向に想像を裏切られた。ところどころ笑えるライトノベルのような小説。 なん…

「花まんま」懐かしくて切ない物語たち

もうすぐ鈴木亮平主演の映画が公開されると聞き、朱川 湊人の「花まんま」を読んだ。 ノスタルジーとホラーが交錯する短編集で、その舞台は生き生きと描かれた大阪。 表題作「花まんま」以外にも良いお話がたくさん出会った。 私は三人の女にそれぞれ愛され…

「私はチクワに殺されます」オンリーワンな作品

五条 紀夫 の「私はチクワに殺されます」を読んだ。 「前代未聞のチクワサスペンス」と銘打たれたこの物語は、序盤こそ荒唐無稽なホラー(というよりホラ話)かと思いきや中盤でミステリ要素が加わり、最後には再びホラーに戻るという不思議な構成の作品だっ…

「穢れた聖地巡礼について」恐怖と考察が交錯する

背筋の「穢れた聖地巡礼について」を読んだ。 先日読んだ「近畿地方のある場所について」とは違い、いくつかの怪談エピソードが詰め込まれていたものの、ストーリー性に重きが置かれていて読みやすかった。 「穢れた聖地~」では、いくつかの心霊スポットに…

「近畿地方のある場所について」ホラーの幕の内弁当

背筋の「近畿地方のある場所について」を読んだ。 最近、「ジャパン・ホラーの現在地」でこの作品について言及されているのを読んで、確認のための再読だ。 前回読んだ時はわかっていなかったことがあったので再読だ。 エンタメ小説だからそんなに真剣に理解…

「過呼吸」怪談師の世界

村上ロックの「過呼吸」を読んだ。 当たり前のように村上ロックと言われてもわからない方が多いと思うのでちょっと注釈。 村上ロックは、怪談師である。そんな職業がいつの間にかできているのだ。 要は怪談を語ることによりみんなを楽しませるエンターテイナ…