貧しい開拓地の暮らし
デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ニコライ・アーセル監督、127分
18世紀中ごろのデンマーク。退役軍人のケーレン大尉は貴族の称号を条件にユトランドの荒れ地ヒースの開拓に名乗りを上げる。

それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルは自らの権力が揺らぐことを恐れ、あらゆる手段でケーレンを追い払おうとする。その悪逆非道ぶりは印象に残った。ケーレンはひどい仕打ちに会いながらも、シンケルのもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや、家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスと出会い、家族のように心を通わせていく。
そんな時間も長くは続かず、彼らは幾度となく、様々な人の悪意にさらされる。それでもケーレン大尉はしんぼう強く開拓を続けてゆく。やがて土を選ばないジャガイモの栽培に成功する。夫を殺されたアン・バーバラはリキュールに薬を混ぜて領主シンケルをナイフで惨殺してしまいます。

フィクションかと思ったのだが、このケーレンは実在していて、デンマーク開拓史の英雄らしい。荒野の開拓を行った退役軍人の史実を映画化したもの。
18世紀の封建社会の絶対王政でもその権威が行き届かない僻地での虐げられた人々の愛と労働を真摯に見詰めた人間ドラマ。
主人公ケーレンを演じたマッツ・ミケルセンの演技は無条件に素晴らしい。彼の内に秘めた感情の寡黙な表現には深みと的確性が自然と溶け込んで、ケーレンそのものに成り代わっている。