平日ヒマ人クラブ、発足!
僕がまだ「パソコン通信」にどっぷりハマっていた頃の話。
当時の楽しみといえば、ガジェットもさることながら、やっぱり“人との出会い”だった。ネットの海に浮かぶフォーラムで、年齢も職業もバラバラな人たちと話し込んで、気づけば朝なんてこともざら。まさに“文字だけの深夜ラジオ”状態。
でも実は…僕、それを友達に言えなかった。
なぜかって?
理由は単純明快。「オタク」と思われるのがイヤだったのだ。
当時の“オタク”って、今みたいに「推し活最高!」なんて言える時代じゃない。どちらかというと、テレビで連日流れていたあの忌まわしい事件――宮崎勤事件のせいで、「オタク=やばい人」みたいなレッテルを貼られることもあった。
だから僕は、地元のドトールで小型端末をポチポチ打ってるだけで周囲の視線を浴びるような、そんな時代に、ひっそりとパソ通を楽しんでいたわけである。
社会人デビュー → まさかの孤立
そして迎えた社会人生活。 最初に就職した会社は、当時ではちょっと珍しかった「平日休み」の週休2日制。聞こえはいいが、いざ生活してみると孤独である。
なぜなら、大学の友達はみんな土日休み。こっちは火曜と水曜が休み。遊ぼうにも、誰も捕まらない。 「平日、ヒマすぎ問題」が発生したのである。
地元スーパーで掲示板デビュー!
そんなある日、近所のスーパーでふと目に入った掲示板。
「売ります」「買います」「あげます」「教えます」…の隣に、「仲間募集」の文字が。
──これは…いけるのでは?
と思った僕は、思い切ってこう書いた。
「平日休みでヒマしてる人いませんか? 一緒に遊びませんか?」
軽いノリで書いたそれは、言ってしまえば“昭和的SNS投稿”。
地元だからすぐ会えるし、地元話で盛り上がれそう。まぁ1人か2人、連絡くれたら御の字かな〜と思っていたのだが――
まさかの、問い合わせ80件オーバー!
……あのとき、その数の多さにひっくり返りそうになったのを、僕は今でも忘れない。
居酒屋で初対面祭り!
最初のオフ会は、掲示板を出したスーパーの敷地内にあった小さな居酒屋で開催。
フタを開けてみれば、なんと30人が集結! 年齢も性別もバラバラ。でも共通していたのは、「平日ヒマ人」という、絶妙な共感ポイント。
地元だから終電も気にせず、お酒も会話も進む進む。 「駅前のあの喫茶店まだある?」「あの商店街の八百屋のオヤジさ〜」みたいな、地元ネタで爆笑の連続。
ここで出会ったメンバーが、のちの“平日遊びクラブ”の主要メンバーになるのである。
あれが僕の「リアルSNS」だった
その後、誰かが「今度ボウリング行きません?」って言い出せば、即イベント化。 「平日割引狙って映画行こうぜ!」とか、「うちの会社の保養所安く使えるからちょっとした旅行でもしちゃう?」なんて話にもなった。 ちなみに、平日割引を使って仲間と映画に行って、映画が終わった後、地元の居酒屋で映画の感想を朝まで語り合うっていうのも最高だった。
パソ通と、掲示板と、ちょっとの勇気。
あの時代にあの場所で、人とつながったあの体験は、今のSNSにはない“ぬくもり”があった気がする。
そういえば、あの掲示板に書いた紙、ちゃんと回収したっけな……?
SNSがなかった頃、人と人はスーパーの掲示板でつながっていた。
むしろ、あの頃のほうが”いいね”がリアルだったかも。