アンリ・ルソーはよく「元祖ウマヘタ」といわれる画家です。
個人的には「ウマヘタ」ってどういう意味?とも思いますが。
これまで絵の上手い多くの画家と作品を紹介してきましたが、この人の作品は普通に下手ですw
でも、この人はただ下手な絵を描いてただけじゃない!
この人自体が超ド級の天然ちゃんで、面白すぎるエピソード&作品が盛りだくさんなんです!
西洋絵画は敷居が高くて難しいとよく言われますが、是非アンリ・ルソーを見てみてください。
芸術の高尚なイメージがガタガタになること間違いなし!
どうぞこの人の奇妙奇怪な作品で笑って、日々を楽しんでいただきたい。
早速、作品を見てみましょう。
『詩人に霊感を与えるミューズ』
描かれているのは詩人のアポリネールとその彼女で画家のマリー・ローランサン

アートはよくわからないと思う人もいるかもしれませんが、素直に見て大丈夫です。
ウィリアム・アドルフ・ブグロー『二人の姉妹』

どっちがリアルで上手に見えますか?
上手じゃなくても個性的でこれはこれでOKでは??
ピカソや抽象画まで当たり前に受け入れて見ている現代の私たちには、ちょっとわかりずらい感覚かもしれません。
ブグローが描いたリアルな人物の絵。これが「芸術」とされた時代です。
当時の画家たちはブグロー先生みたいな絵を競い合って描き、注文を受けていました。
ルソーから20~30年くらい前に描かれたルノワールのこの絵でさえ、リアルじゃないから「酷い、下手すぎ。肌に紫斑がでてる。」とボロカスにいわれた時代です。

当時の新聞にも「ルソーの絵をみて笑わなかったものはいない」とまで書かれちゃってました。
しかし、ここからが奇跡のド天然の真骨頂。
この人は酷評の新聞記事をみて、自分の作品が話題になった!と大喜び。
しかも自分はアカデミーの大画家だと公言していた(言い張っていた)のです。
本人はブグローなどの大画家レベルだと思って描いていたのです!
(何を見てそう思ったのか??謎www)
みんなドン引きです。
描き方も独特。
通常は対象を見てキャンバスに描きます。上手くいかないならデッサンをしっかりやって練習する。
しかし、このド天然はこの作品をリアルに描くために、モデル本人たちをメジャーで測っていたそうです。
(そんなことしてる人、筆者は初めて聞きました)
非っ常にこと細かく、パーツ毎に。
顔の横幅は〇cm、目から鼻まで〇cm、肩幅は〇cm….などなど。
それを元にこの作品を描いています。モデルさんは戸惑って嫌がったでしょうね。
それでこの作品ができました。
ちなみに本人たちの写真はこれ。

マリー・ローランサンは小柄で有名な女性だったのですが、明らかにアポリネールより大きくてマツ〇DX化www
(いったいどこを測ったんだ!?)
ちなみに、同じころにピカソ14歳が描いた作品が『初聖体拝領』
(ネットで検索して見てください)
ピカソもちゃんと上手い絵が描けるのです。10代でこれを描いちゃうのはやっぱり天才ですが。
こうやって並べると、ルソーがいかに(いろんな意味で)抜きん出てるかがわかります。
他の作品も見てみましょう。
『フットボールをする人々』

筆者が初見で吹いた作品ですw
浮いてる!??どこでやってるの?もうどこからつっこんでいいのやら。
冗談で描いたわけじゃありません。ルソーおじさんはこれを本気モードで描いてます!
『岩の上の子供』

もう浮いてるとかそういう問題じゃなくなってきましたwww
座ってる??山に刺さってるよ!足どうなってるの??
というかこれ子供??
美大の大先生ブグローと比べちゃいましたが、ルソーは職業画家ではなく日曜画家です。
つまり、ルソーは別の仕事をしながら趣味で日曜に絵を描いていた人で、ちゃんとした美術教育も受けていない素人画家です。
だから下手なのは仕方ないんですが、それにしたって下手すぎだし独特すぎだし、なんで自分は絵が上手いと思い込んでたのかも謎。
ルネサンスやバロックの時代など、昔は美術学校がありませんでした。
この頃は、画家はアーティストではなく職人。
受注して絵を描く職人。絵の技術は親方から学んだり、先人画家の作品を模写したりして学びました。レオナルド・ダ・ヴィンチもレンブラントも工房に弟子入りして学びました。
近代になると美術学校ができて、みんなそこで学びました。
(今でもそうですが)美大に入れなくても、絵画教室を開いている先生の所に行って学ぶこともできました。
印象派グループはこの絵画教室の受講生仲間です。
しかし、ルソーは絵画教室にも行ったことのない、全くの素人。
だからブグローのような絵を描けなくてもしょうがないことなんですが。。
こういう素人画家で有名な作品を残した人たちのことを、後の美術史家たちが「素朴派」(アウトサイダー・アート)と名づけました。
印象派は自分たちで「印象派だ!」と名乗りましたが、素朴派はあとから勝手に分類された一派です。
素朴派のほかの画家の作品も見てみると、確かにルソーっぽい。
下手だけど味がある作品が多いです。
しかし、ルソーの知名度は群を抜いてTOPです。
なぜこんなに有名なのかは次回。






















