読売新聞 によるストーリー
蚊は人が吐き出す二酸化炭素(CO2)を感知することで視覚や嗅覚が鋭くなり、においなどへの反応を強めることがわかったと、理化学研究所と花王の研究チームが発表した。蚊に刺されないための有効策を考える手がかりになるという。論文が科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
蚊の反応が強くなるイメージ
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蚊は人が吐き出したCO2を感知することで屋外では約10メートル先の人を認識し、視覚や嗅覚を頼りに近づくことができるとされる。
チームは、感知機能の特性を突き止めるため、自由に飛んでいるように蚊を錯覚させる「仮想空間」装置を開発した。
飛ばないように固定した蚊の前にLEDパネルを設置。
しま模様をパネルに映して動かし、様々なにおいやCO2に触れた蚊の羽音を測って反応の強弱を調べた。
その結果、人が吐き出した呼気の10分の1程度の濃度のCO2に触れた蚊は、触れていない蚊よりも反応が強くなり、模様を速く動かしたり、模様を薄くしたりしても追跡行動を取った。
また、蚊が好む使用済みの靴下のにおいと、嫌うハーブの香りを漂わせて反応を調べた。
するとCO2に触れた蚊は触れていない蚊より速く靴下のにおいに向かう一方、ハーブの香りをより回避する行動を取った。
花王ヒューマンヘルスケア研究所の難波綾研究員は「蚊はCO2があることで暗闇でも人を追いかけやすくなっているとみられる。蚊の手ごわさがわかった」と話す。研究成果を基に、新たな素材や製品開発につなげたいという。
渡辺幸三・愛媛大教授(生態・保健科学)の話 「以前から知られていた蚊の誘引行動をより明確に検証できた。
昆虫の誘引行動を仮想空間装置で調べる手法は、農業害虫などの駆除や対策を検討する上で活用の幅が広がる可能性がある」