hello! progress!!

音楽の話はここで書くかもしれません

音の振る舞いのリアリティー:V-Pianoが拓く新境地

Rolandのデジタルピアノ「V-Piano」開発者に聞く〜新開発の鍵盤と音源で“リアリティー”を追求〜(AVWatch)

この記事にある「音のリアリティー」と「音の振る舞いのリアリティー」という使い分けは非常に興味深いですね。プレイヤーにとってのリアリティとは、単に録音された生ピアノの音色に似ていることだけではないはずです。むしろ、自分のタッチに対して楽器がどう反応するか、すなわち「楽器を演奏している感覚」をどれだけ持てるかという点に本質があるのかもしれません。

既存のサンプリングピアノが決して楽器的でないわけではありませんが、V-Pianoが目指しているのは、物理モデルによって「現実にある生楽器としての質感」を再構築することなのでしょう。もっとも、プレイヤー側は「振る舞い」だけでなく、当然「音色そのもの」にも生ピアノに迫るクオリティを求めてしまいます。そもそも「生ピアノの音」といっても、奏者の耳に届く音、ホールで聴く音、マイクを通した音など、人によって定義する「リアリティ」が異なるのがまた難しいところですが……。

「音源」ではなく「楽器」であること
特に興味を引かれたのが、鍵盤と音源の通信に関する開発者の発言です。

藤本:(中略)V-Pianoを2台並べてMIDI接続し、片方で弾いた場合、それで鳴る音と、MIDI信号を受信して鳴る音では違いがあるわけですか?
開発者:はい、結果的にはそうなりますね。V-Piano本体の鍵盤をリアルタイムに弾いてこそベストな出音が得られるということでは、V-Pianoは、音源というより楽器です。

鍵盤に専用のCPUを搭載し、MIDI規格の枠を超えた情報を音源とやり取りすることで、あの連打性や繊細なニュアンスを実現しているとのこと。つまり、MIDI接続した外部音源として鳴らすのと、V-Pianoを直接弾くのとでは「楽器としてのポテンシャル」が根本的に違うということになりますね。

「MIDIですべてを解決するのではなく、ハードウェアが一体となって初めて一つの楽器になる」という思想は、現代の電子楽器において非常に潔く、かつ説得力があります。最新号のキーボードマガジンでも特集されていますが、これは一度じっくり触って「振る舞い」を確かめてみたい一台です。