『それでも前へ』 ホップ・ステップ・ドロップ――この悪い癖を抑え込み、自らに課した目標に向けてまい進し続けることが、果たして俺にはできるのだろうか。 考えれば考えるほど、もはや単なるレポート課題の提出という次元を超越した、自身に内在する光と闇…
『安心の罠』 有名な『ウサギと亀』の寓話で、ウサギは亀とのレースに敗れた。しかしウサギは亀に負けたのではない。ウサギは自分自身に負けたのだ。 亀を大きくリードしたウサギは勝利を確信し、ゴール前で一休みしたところ、そのまま寝落ちしてしまう。そ…
『レポートの嵐作戦』 孫子は今から約2500年前に「敵を知り己を知らば百戦危うからず」の言葉を残した。 そこで俺も労働法のレポートを書くにあたり、労働法の学びの内容について調べてみた。 担当の教員は、学びの眼目として、雇用関係法を始め労働法の基本…
『定まった標的』 俺はふたたび赤鉛筆を舐めながら学習指導表に赤マルをつけ始めた。 しばらくしてレポート合格が3科目、テスト合格が1科目、のこり7科目がスクーリング合格ということが判明した。「スクーリングが7科目とは多いな」思わず俺は舌打ちをする…
『科目を選べ!』 トンネルを抜けると、そこは新しいトンネルが口をあけて待ち構えていた。山積するレポート課題である。俺はさっさとシラバスを忘却の彼方に追いやると、レポート作成の準備に取りかかる。 まずは通信教育部のホームページで自分の『卒業要…
『戦いのすえに』 この532件の中から自分が必要とする科目を絞り込んで履修登録をするのだが、絞り込み条件がアクティブラーニングやらラーニングアウトカムズ(アウトでカムズとは禅問答なのか?)など、まるで何かの暗号のようだ。 中には“教員”という検索条…
『シラバスを攻略せよ!』 もともとシラバスの語源は、羊皮紙のラベルという意味のギリシャ語で、大学における授業のスケジュールや講義内容、評価の方法などを詳しくまとめた資料のことだ。 40年前、とうぜんシラバスなどというものは無かった。ましてや大…
『シラバスとの戦い』 疲れ果てた体を引きずるようにして帰宅すると、待ちかまえていたかのように悪魔がささやく「お前はきょう十分に働いた。しっかり休まないと体を壊してしまうぞ」「まずは冷たいビールでも飲んで、テレビでも見たらどうだ?」 まるで退…
昭和おやじ、街をさすらう 世界有数の大都市、東京。 今日もまた、このメガロポリスに住む人々の一日が始まる。 喜び、悲しみ、楽しみ、苦しみ――それぞれの物語を胸に、老若男女が行き交う。 そんな街の片隅で、やや猫背で静かに歩みを進める初老の男がいる―…
退学か再入学か 大学からの通知はだいたいこんな感じだった。 文部科学省より通信制大学に長期在籍する者に対して制度の見直しが通達され、一定期間以上の在籍者には、「退学」または「再入学して10年以内に卒業」のいずれかを選択するよう制度が改められた…
誰がために鋏は鳴る いつしか時は流れ、平成という長かったような短かったような時代がおわった。 つづく令和の世が始まったころには、俺は植木職人になってすでに30年近くがたっていた。 造園会社勤務の職人として国家資格も取り、様々な現場の実務経験もつ…
ミイラ化した向学心 その後俺は、書店の店員、出版社の小間使い、データ入力のパンチャーをはじめ様々なアルバイトを転々とした。 カメラマン助手のアルバイトをしていた時は、いまの東京都庁はまだ開庁前で、 そのパンフレット用の写真撮影のため、内部の撮…
遠のく足音と近づく足音 ある日、学問をつかさどる神が、スクーリング会場にあらわれた。 居合わせた学生のひとりが、神に歩み寄り、こう尋ねた。 「私は、何年後に卒業できましょうか?」 神は答えた「10年後じゃ」。 その学生は泣きながら去って行った。 も…
40年前の、あの日から 今を去ること約40年前、春の風に吹かれながら卒業を誓い合った学友たち。 あるものは晴れて卒業の栄冠を勝ち取り、あるものは志半ばで学業を諦めた。 また、なかには学籍から鬼籍へと転籍したものも少なからずいることだろう。 そして…