お茶の力で心と空間を浄化する冬の過ごし方|茶香炉・燻製茶

お茶の香りで心を整える冬時間

年末年始の慌ただしさが少し落ち着き、ふと静けさを感じるこの季節。寒さが深まる冬は、心も体も内側に向かいやすく、自分自身と向き合うのにぴったりな時期です。そんな時おすすめなのが、お茶の力を活用した空間と心の浄化法。

お茶といえば、飲んでほっと一息つくイメージが強いかもしれません。でも実は、お茶には「香り」や「触れる」ことで得られる癒しや浄化の力もあるのです。

たとえば、茶香炉でお茶の香りを焚いて空間を整えたり、燻製茶でひと息ついたり、出がらしの茶葉を使って手浴や足湯を楽しんだり。お茶の持つ自然の力を、日々の暮らしに取り入れることで、心も空間もすっきりと整っていきます。

この記事では、そんな「飲むだけじゃないお茶の浄化力」について、冬にぴったりの活用法をご紹介していきます。寒い日こそ、お茶のぬくもりと香りに包まれて、心地よい時間を過ごしてみませんか?

【1】茶香炉で空間を清める

茶香炉は、乾燥した茶葉を温めてその香りを空間に広げる道具です。自然な茶葉の香りが優しく広がり、アロマオイルや人工的な香りが苦手な方にもぴったりです。お茶は古くから香木や薬草とともに空間を浄化するために使われてきており、この香りには、空間を清める効果があります。茶香炉もその一環として、現代でも空間を浄化する手段として親しまれています。

使い方はとても簡単。茶香炉の上に乾燥した茶葉(緑茶やほうじ茶がおすすめ)をのせ、下からキャンドルでじんわりと温めます。茶葉の香りが立ちのぼり、空間がすっきり整い、気持ちもリセットされます。

また、お茶の香りには、心を落ち着かせるリラックス効果があります。特に冬の季節、澄んだ空気の中で茶葉の香りが漂うと、その効果が一層際立ちます。空間全体を包み込む優しい香りは、まるで森の中にいるかのような心地よさを感じさせてくれるでしょう。

👉【動画】茶香炉の楽しみ方

 

<1-1> 茶香炉の発祥

茶香炉のルーツは、古代中国の香炉文化にあります。香炉自体は約3000年前の殷・周時代に誕生し、宗教儀礼や先祖崇拝のために使用されていました。日本には、仏教と共に伝来し、寺院や貴族の間で香を焚く文化が広まりました。

平安時代には貴族の間で香を焚く文化が広まり、香炉は宮廷文化の一部として愛用されました。その後、戦国時代には武将や茶人たちが香炉を美術品としても珍重し、茶の湯文化とともに香炉の価値が高まったようです。

日本では、香を鑑賞する「香道」や、茶の湯の席で香を焚く「茶道」の中で香炉が使われるようになり、香炉文化が独自に発展しました。

茶葉を焚いて香りを楽しむ=茶香炉というスタイルは、日本で比較的近年になって生まれたものです。香道や茶道の「香りを楽しむ精神性」や「空間を整える所作」から影響を受けて、日常生活に癒しの要素として取り入れられるようになったと考えられます。

 

<1-2>茶香炉が一般に浸透している国々

茶香炉の文化は主に日本で発展していますが、最近では和の香りに関心を持つ海外の人々にも注目されています。欧米のティーラウンジやスパでも、茶香炉が取り入れられ始めています。中国や韓国にも香炉文化はありますが、「お茶の香りを焚く」というスタイルは日本独自のものです。

 

<1-3>どの茶葉が人気?

日本で茶香炉に使用される人気の茶葉は以下の通りです。

  • ほうじ茶:香ばしく甘い香りがリラックス効果を高める。
  • 緑茶(煎茶):清涼感のある香りが、空気をすっきりとさせてくれる。
  • 玄米茶:香ばしさと優しい香りが特徴。食後や来客時に好まれる。

その他、国によってはジャスミン茶や紅茶を焚くこともありますが、茶香炉としての使用は日本が中心です。

 

【2】 燻製茶で心を整える

燻製茶(スモークティー)は、茶葉を燻すことで香ばしさと深みを引き出したお茶です。燻製の香りが五感をやさしく刺激し、ひと口飲むごとに気持ちがゆるやかにほどけていきます。忙しい日々の中で、心を落ち着けたいときや気分を切り替えたいときにぴったりの一杯です。

茶葉本来の風味に、ほのかなスモーキーさが加わることで、味わいにも奥行きが生まれます。温かい湯気とともに立ちのぼる香りは、まるで静かな山あいにいるような安心感をもたらしてくれるでしょう。

 

<2-1> 燻製茶の発祥

燻製茶の起源は中国・福建省武夷山(Wuyi Mountains)にあります。ここで誕生した「プサンスーチョン(Lapsang Souchong)」という燻製紅茶が、世界初のスモークティーとされています。

このお茶は、清朝時代の戦乱中に茶葉の乾燥を急ぐ必要があり、松の木を燻して乾燥させたことがきっかけで生まれました。この偶然から、独特のスモーキーな香りを持つ新しいお茶のジャンルが誕生しました。

👉【動画】What is "Smoked Black Tea" (Lapsang Souchong)

 

<2-2>プサンスーチョンの別名

プサンスーチョン(Lapsang Souchong)は、スモーキーな香りが特徴の紅茶ですが、実は中国ではその名前が異なります。中国では「蓝山茶(Lán Shān Chá)」という名前で呼ばれることが多く、これは「青山茶」の意味で、製造地である福建省武夷山(Wuyi Mountains)に由来しています。この茶葉は、松の木で燻製されたユニークな香りが特徴で、製法の起源がこの地域にあるため、「蓝山茶」という名前がつけられました。

また、ラプサンスーチョンは「正山小种(Zhèng Shān Xiǎo Zhǒng)」という別名も持っています。「正山小种」は「正山」の部分が、茶葉が育つ場所(特に標高の高い場所)を指し、「小种」はその茶の種類を意味します。つまり、正山小种は「特定の山の茶の種類」といった意味合いで、品質の良いラプサンスーチョンを指す名前として使われます。

プサンスーチョンという名前の由来やこれらの別名は、この紅茶の長い歴史とその地域に根付いた文化を反映しています。紅茶好きの間では、そのスモーキーな香りと深い味わいで特に評価されており、中国や世界中のティーラウンジや専門店でも扱われています。

 

👉【動画】ラプサンスーチョン―燻製の風味はどのように生まれるのか?

 

<2-3>燻製茶の変遷

プサンスーチョン(松の木で燻す紅茶)は中国では伝統的な紅茶として親しまれていますが、西洋ではその強いスモーキーな香りが魅力として人気を集めています。

また、近年、日本でも静岡県の金六松本園が独自のスモークティーを開発し、注目を集めています。ラプサンスーチョンにインスピレーションを受けて、桜・ウイスキー樽・シナモン・カカオなど、さまざまな素材で燻す独自のスタイルを確立していて、今では10種類以上の燻製茶を展開しています。この燻製茶は、2020年に農林水産省の海外輸出有望商品にも選ばれていて、フランスなど海外でも高い評価を受けているそうです。

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新しい年のはじまりに、心を整える一杯を|小寒・大寒に寄り添うお茶

小寒大寒の食文化と養生法:冬を温かく乗り越えるために

冬の寒さが一層厳しくなる「小寒(しょうかん)」と「大寒(だいかん)」。これらの節気は、1月から2月にかけて訪れ、まさに一年で最も冷え込む時期を迎えます。「寒の入り」とも呼ばれ、寒さが本格的に始まり、やがて最高潮に達するこの時期は、冬の終わりを迎えるための大切な準備期間と言えるでしょう。私たちの体も、春に向けて静かに、そして健やかに整えておくことが重要です。今回は、この寒さを乗り越えるために世界各地で親しまれている食文化や習慣をご紹介し、心と体を温める方法をお伝えします。

【1】小寒大寒

一年の中でもっとも冷え込む時期、それが「小寒(しょうかん)」と「大寒(だいかん)」です。 日本の暦では、1月上旬から2月初旬にかけて訪れるこの節気は、「寒の入り」とも呼ばれ、“春に向けて心身を整える期間”とも言えるでしょう。

小寒」は、寒さが本格的に始まる合図。 「大寒」は、その寒さが極まる頃。 この時期にしっかりと体を温め、整えておくことは、昔から“春を健やかに迎えるための養生”とされてきました。

 

<1-1>中国の小寒大寒

中国の「小寒(Xiǎohán)」と「大寒(Dàhán)」は、紀元前の戦国時代に成立したとされる二十四節気(èrshí sì jiéqì)の一部。 これは農業のために発達した暦で、自然の変化に合わせて暮らすための知恵が詰まっています。小寒は1月5日頃、大寒は1月20日頃にあたり、春節旧正月)の直前にあたることが多い。

 

◎ 食文化:スープと薬膳粥

寒さが一段と厳しくなるこの季節、中国では温かいスープや薬膳粥を食べて体を温める(温補:wēn bǔ)=温めて補う)習慣があります。

 

薬膳(yào zhēn)は、伝統的な中国の食文化で、食材や薬草を組み合わせて、体調や健康状態に合わせた料理を作ることを指します。食材に含まれる成分が、体に良い影響を与えるとされており、特に季節ごとに異なる養生法が取り入れられます。

 

例えば、寒い冬におすすめされる食材には、体を温める作用がある生姜(ジンジャー)や羊肉、消化を助けるナツメ黒米などがあります。これらの食材は、季節の変わり目や体調不良を予防・改善するために用いられ、現代でも多くの人々に親しまれています。

 

薬膳はただの食事ではなく、「体を内側から温める」「気血を補う」といった効果を持つものとして、"養生(yǎng shēng)"(養生=健康維持)の一環として実践されています。

 

この時期、寒さで弱りがちな体を内側から整えるために、以下のような料理がよく食べられるのです。北方(北京・東北など)では、羊肉や餃子、熱々のスープが定番。南方(広東・福建など)では、薬膳スープや甘い粥、温かいデザート(糖水)が好まれる傾向があります。

 

  • 羊肉汤(yáng ròu tāng):羊肉のスープ。体を温め、気血を補うとされる。

👉【動画】羊肉スープの作り方|体を温める薬膳レシピ

 

  • 八宝粥(bā bǎo zhōu):ナツメ、蓮の実、黒米などを使った甘い薬膳粥。大寒の朝に食べる地域も。

👉【動画】薬膳八宝粥|ナツメと黒米で寒い季節にぴったり

 

  • 姜枣茶(jiāng zǎo chá):生姜とナツメの甘いお茶。冷えや疲れに。

👉【動画】生姜とナツメの甘いお茶|寒い季節の温かいドリンク

  • 鸡汤(jī tāng)+党参・黄耆などの中薬材:鶏肉スープに漢方食材を加えて滋養強壮に。

👉【動画】鶏肉スープ|薬膳で滋養強壮

 

◎ 習慣の広がり

土用の丑の日のうなぎ」ほど全国的に統一された習慣ではないけれど、“寒い時期に温補する”という考え方は広く知られていて、特に中高年層には根付いています。 最近では若い世代にも「養生(yǎng shēng)」ブームがあり、SNSや動画でも冬の薬膳スープが人気。

 

<1-2>韓国の小寒大寒

韓国でも中国と同じく、二十四節気(이십사절기/이십사절후)に基づいた暦が使われてきました。 「소한(小寒)」「대한(大寒)」と呼ばれ、特に大寒は“最も寒い日”として意識されているんです。

 

◎ 食文化:体を温める伝統食

韓国では冷え込みが本格化する時期、「トック(餅入りスープ)」など、体を労わる料理が食卓にのぼります。

 

  • 떡국(トック):お正月に食べる餅入りスープ。体を温め、年齢を一つ重ねる象徴でもある。

👉【動画】牛肉入り餅スープ(トック)の作り方|新年にぴったり

 

👉【動画】サムゲタン|高麗人参入り鶏肉スープ

 

※【参考記事】 

 massage10.com

 

 

  • 미역국(ワカメスープ):誕生日や産後に飲むイメージがあるけれど、寒い時期にも体を温めるスープとして登場。

👉【動画】肉なしワカメスープのレシピ|シンプルで美味しい

 

◎ 習慣の広がり

韓国でも「소한・대한=寒い」という認識は広く知られていて、ニュースや天気予報でもこの節気が話題になります。 ただし、特定の料理を全国民が食べるというよりは、「寒いから温かいものを食べよう」という自然な流れとして根付いている感じです。

 

<1-3>二十四節気

二十四節気(にじゅうしせっき)は、古代中国で生まれた暦の仕組みで、太陽の動きをもとに一年を24の節目に分けたもの。 紀元前の戦国時代にはすでに使われていたとされ、農業の目安として発展してきました。

 

この節気は、季節の移ろいを繊細に捉える知恵として、今も中国や韓国で生活に根づいているんです。

 

◎ 中国での二十四節気

  • 2006年にユネスコ無形文化遺産にも登録されたほど、文化的価値が高いとされています。
  • 暦だけでなく、食・衣・住・養生・詩歌など、あらゆる生活文化に影響を与えている。

 

◎ 韓国での二十四節気

  • 「절기(チョルギ)」と呼ばれ、農業や季節行事の目安として使われてきました。
  • 現代でも、天気予報やカレンダーに節気が記載されていることが多く、日常語としての認知度も高い

 

日本に根づかなかった理由とは?小寒大寒の風習を考察

日本にも二十四節気は中国から伝わり、江戸時代には広く使われていました。 今でもカレンダーに記載されているし、俳句や茶道などの季節感を大切にする文化にも影響を与えています。ただ、「小寒」「大寒」そのものが日常の行事や食文化に結びついていないのは、いくつか理由があるかもしれません。

① 旧暦から新暦への移行

明治時代に太陽暦グレゴリオ暦)に切り替わったことで、旧暦ベースの節気と実際の季節感にズレが生じた。 その結果、節気が生活のリズムから少しずつ離れていったのかもしれません。

② 日本独自の年中行事が強く根づいていた

七草粥、節分、ひな祭り、お彼岸など、日本独自の行事が豊富にあったため、節気に基づく風習があまり必要とされなかった可能性も。

③ 「小寒大寒」は“静かな節気”だった

たとえば「立春」や「夏至」は季節の変わり目として意識されやすいけれど、「小寒大寒」は目立った行事が少なく、印象に残りにくい節気だったのかもしれません。

 

【3】「新年の一杯」を選ぶ

一年のはじまりに、皆さんはどんなお茶を選びますか? それはまるで、「最後の晩餐」ならぬ「最初の一杯」。 新しい年をどんな気持ちで迎えたいか、自分にそっと問いかけるような時間です。

 

<3-1> 紅茶+生姜(しょうが紅茶)

冷えた体を芯から温めたいなら、 紅茶に生姜をひとかけ。 やさしい渋みと、じんわりとした温かさが、内側から巡りを促してくれます。

材料:

  • 紅茶(ティーバッグまたは茶葉)…1杯分
  • 生姜スライス…2〜3枚(またはすりおろし小さじ1)
  • お好みで黒糖や蜂蜜

作り方:

  1. 紅茶を淹れ、生姜を加えて3〜5分蒸らす。
  2. 甘みを加える場合は、最後に黒糖や蜂蜜を。

効能:

  • 体を内側から温める
  • 冷え性・むくみ対策
  • 消化促進、風邪予防にも◎

 

<3-2> 黒豆茶

黒豆茶は、香ばしさとほんのり甘みがあり、腎をいたわる冬の養生にもぴったり。

材料:

  • 黒豆(乾燥)…大さじ2〜3
  • 水…500ml

作り方:

  1. 黒豆をフライパンで香ばしく炒る(焦がさないように注意)。
  2. 鍋に水と炒った黒豆を入れ、弱火で15〜20分煮出す。

効能:

  • 腎を補い、老化予防
  • 利尿作用でむくみ改善
  • 香ばしさでリラックス効果も

👉【動画】腎を補う黒豆茶

 

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水と生き物が癒す心──アクアリウムセラピー・イルカセラピー・観賞魚と東洋思想

水槽を眺めていると、なぜか気持ちが落ち着く。
イルカと触れ合った人が「言葉にできない安心感」を覚える。
中国では、魚の色や動きを“生命の流れ”として見つめてきた——。

私たちは昔から、水と生き物に「癒し」を感じてきました。
それは医学や科学だけでは説明しきれない、感覚的で文化的な体験でもあります。

本特集では、アクアリウムセラピー、イルカセラピー、そして東洋的な観賞魚の考え方を通して、
「水の中の世界」が人の心にどのように寄り添ってきたのかを、国や文化の違いから紐解いていきます。

 

【1】アクアリウムセラピー 〜水の中に宿る癒しの力〜

水槽の中で泳ぐ魚たち、きらめく鱗、揺れる水草、静かな水の世界—これらは、私たちの心を穏やかにしてくれます。アクアリウムセラピーは、こうした水中の景観や生き物を見て、心身のリラックスやストレスを減らす自然療法です。

アクアリウムセラピーの起源ははっきりしませんが、水の音や魚の動きが人々に癒しを与えるという考えは、古くから世界中にあります。特に20世紀後半から、病院や高齢者施設、学校などにアクアリウムが設置されるようになりました。

アメリカやイギリスでは、都市で自然を感じる手段としてアクアリウムが人気です。日本でも家庭やオフィスで「癒しのインテリア」として取り入れられています。シンガポールやドイツでは、メンタルケアの一環としてアクアリウムの研究が進められています。

水の中の世界は、私たちの心に静けさを与えてくれます。アクアリウムセラピーは、その「水の癒し」を日常に取り入れるための優しい方法です。

【関連記事】世界の民間療法を探る—伝統が生む健康の知恵

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👉【動画】Scientifically Proven Stress Relief: Aquarium Therapy

 

<1-1> 何故、シンガポールで?

シンガポール都市国家であり、自然との共生を重視しています。アクアリウムは都市生活の中で自然を感じる方法として注目されています。特に高齢者施設や病院で、環境デザインの一環としてアクアリウムが導入されています。シンガポール多民族国家で、東洋医学や自然療法に対する理解が深く、アクアリウムセラピーが受け入れやすい土壌があります。

 

<1-2>何故、 ドイツで?

ドイツは自然療法や代替医療の先進国で、ハーブ療法や音楽療法アロマテラピーなどと並んで、アクアリウムセラピーも環境療法の一つとして研究されています。特に高齢者ケアや認知症ケアの分野で、アクアリウムが情緒の安定や会話のきっかけになるとされています。ドイツでは医療と心理学の連携が進んでおり、視覚的刺激が癒しをもたらす効果を科学的に調べる動きがあります。

 

【2】イルカセラピー〜海の知性がもたらす癒し〜

イルカセラピーは1970年代にアメリカで始まり、現在では世界中で実施されています。特に発達障害PTSD心的外傷後ストレス障害)のある人々に対して、情緒安定や社会性向上に効果があるとされています。

この章では、イルカセラピーが広がった背景と、イルカがなぜ人々を癒すのかを科学的に紹介します。

👉【動画】Child Uses Dolphin Assisted Therapy to Cope With His Disability

 

<2-1>イルカセラピーが広がった理由

イルカセラピーが世界中で受け入れられた理由には、各国の医療体制や文化、社会課題が影響しています。

 

◎ ロシア:医療と軍事

ロシアでは、ソビエト時代から動物介在療法に関心が高く、特に神経疾患やリハビリ分野での研究が進んでいました。イルカセラピーもその流れの中で導入され、1990年代以降は民間施設でも広がりを見せます。

そして、近年では軍事的な背景や社会不安の影響で、PTSDや心的外傷を抱える人々が増えていることもあり、イルカとのふれあいを通じた情緒の安定や回復支援が注目されているんです。特に子どもや退役軍人へのケアとして、国家レベルでも支援されている例があります。

👉【動画】退役軍人のためのイルカセラピー:ウクライナ軍兵士は身体的、精神的両方の支援を受ける

 

イスラエル:トラウマケア

イスラエルは、紛争やテロの影響を受けやすい地域であることから、トラウマケアや心理療法の研究が非常に進んでいる国です。イルカセラピーは、発達障害自閉症スペクトラムの子どもたちへの支援として導入され、感覚統合や非言語的コミュニケーションの訓練として高く評価されています。

また、地中海に面した自然環境も、イルカとのふれあいを可能にする大きな要因になっているんです。

 

メキシコ:観光と医療の融合

メキシコでは、観光地に併設されたイルカ施設が多く、そこにセラピー機能を組み込む形でイルカセラピーが発展してきました。特にカンクンやプラヤ・デル・カルメンなどのリゾート地では、観光客向けの体験型セラピーと、地元の子どもたちへの支援プログラムが共存しています。

また、医療費が比較的安価であることから、アメリカなどからの“メディカルツーリズム”の一環としても注目されているんです。

👉【動画】Dolphin Therapy Land ( Michelle )

 

日本:福祉と教育の現場

日本では、イルカセラピーは医療機関よりも、福祉施設や特別支援学校などでの導入が多いようです。特に発達障害や情緒障害を持つ子どもたちへの支援として、イルカとのふれあいが「心を開くきっかけ」になると期待されています。

 

2-2 イルカが癒す理由

イルカが人を癒す理由にはいくつかの科学的な要素があります。

  1. エコーロケーション(超音波)
    イルカが発する超音波は、人間の脳波や自律神経に影響を与える可能性があり、リラックス効果や集中力向上が報告されています。
  2. 非言語的コミュニケーション
    イルカは人の表情や動きに敏感に反応し、言葉を使わずにコミュニケーションを取ることができます。特に自閉症などの言語に困難を抱える人々にとっては、安心感を与えます。
  3. ミラーニューロン
    イルカの動きを見ていると、人間の脳内のミラーニューロンが活性化され、共感や情緒の安定に役立ちます。
  4. 水中の癒し効果
    イルカセラピーは水中で行われるため、水の浮力や音の伝わり方が心地よい刺激となり、アクアリウムセラピーと共通する「水の癒し」を感じることができます。

 

【3】魚に鍼を打つ? 〜東洋的な視点から〜

 

<3-1>韓国:魚の鮮度

韓国では、魚の鮮度を保つために「神経締め」という針を使う技法が使われます。これを「鍼灸」に似ていると感じる人もいます。

この技法は、冷蔵技術が今ほど発達していなかった時代に、魚の鮮度を保つための知恵として発展しました。特に、魚の筋肉が死後に硬直してしまう「死後硬直」を防ぐために、神経を破壊して筋肉の動きを止めるという方法は、漁師や市場関係者の間で重宝されてきました。

しかし現代でも一部の漁師や高級料理店、または鮮度に強いこだわりを持つ地方の市場などで、今なお実践されています。特に刺身文化が根強い韓国では、「締め方」によって味や食感が変わることが知られており、魚の扱いにこだわる人々の間では、伝統的な技法として受け継がれているのです。

👉【動画】魚を最も新鮮に処理する方法(活け締め)생선을 가장 신선하게 손질하는 방법(이케지메)

 

<3-2>中国:観賞魚へのケアと東洋医学的な考え方

中国では、観賞魚、特に高級な金魚や錦鯉に対して、病気の回復や元気を保つ目的で、細い針を使った刺激や、**漢方薬を溶かした水に浸す「漢方薬浴」**が行われることがあります。

これは人間の鍼灸と同じものではなく、科学的に確立された治療法でもありません。ただ、一部の研究者や愛好家の間では、魚の体にも人の経絡やツボに似た反応点があるのではないか、という視点から観察や試みが続けられています。現在のところ、こうした考え方はまだ整理された理論にはなっていません。

一方で、魚の泳ぎ方や体色の変化を「気の流れ」や生命力の表れとして見る考え方は、中国では古くから存在してきました。

 

◎中国の観賞魚文化

中国は国土が広く、観賞魚の文化も地域によって大きく異なります。その中でも、江蘇省広東省などでは、古くから金魚や錦鯉の飼育が盛んで、現在でも市場や家庭で身近な存在です。

中国における観賞魚の歴史は非常に古く、金魚の飼育は宋代(10〜13世紀)にはすでに行われていたとされています。明・清の時代には、宮廷や裕福な人々の間で鑑賞文化が広まり、品種改良も進みました。

現在でも、金魚や錦鯉は「富」「繁栄」「幸運」の象徴として親しまれ、旧正月やお祝いの贈り物としても人気があります。

代表的な品種には以下のようなものがあります。

近年では、アロワナやディスカスといった熱帯魚も、特に富裕層を中心に人気が高まり、観賞魚の世界はさらに広がりを見せています。

鍼や漢方薬浴といったケア方法は、こうした高級魚を扱うブリーダーや熱心な愛好家の間で行われることが多く、中国全体に広く普及しているわけではありません。しかし、都市部を中心に、専門的な知識を持つ人々の間で静かに続けられている文化の一つと言えるでしょう。

👉【動画】漢方薬による海水魚の疾病予防・治療

 

魚と「気」の関係:東アジアの自然観

この考え方は、科学的な証拠に基づくものではなく、東アジアの伝統的な自然観や風水思想、古典文献に見られる象徴的な読み解き方に根ざしています。

特に中国や日本において、「魚の動き」や「色の変化」を「気の流れ」や「生命力(気)」と結びつけて観察するという考え方は、風水や道教の影響を受けてきた文化の一部です。特に金魚や鯉に関しては、風水では「運気を呼び込む存在」として特別な意味を持ち、水槽の設置場所や魚の動きが運気に影響を与えると考えられています。魚が元気に泳いでいると「気が巡っている」とされ、逆に動きが鈍くなると「気が滞っている」と解釈されることもあります。

また、明代の李時珍による薬学書『本草綱目』などの古典には、魚の色や動きが季節や環境の変化と連動しているという記述もあります。

 

◎日本における金魚文化と“風雅”の美意識

さらに、日本の江戸時代の園芸や観賞魚文化においても、金魚の色や泳ぎ方を「風雅」や「気品」と結びつけて鑑賞する記録が残されています。

  1. 江戸時代の園芸や観賞文化
    江戸時代、日本では金魚を鑑賞する文化が盛んになり、金魚の色や泳ぎ方が「風雅」や「気品」の象徴として扱われました。この考え方は、観賞魚に関する文学作品やエッセイ、絵画などにも表れています。江戸時代の浮世絵や絵巻物には、金魚を描いたものがあり、金魚の優雅さが視覚的にも強調されていました。金魚を描いた浮世絵の中で、金魚が「美しさ」や「静けさ」を象徴していることがよくあります。
  2. 俳句や短歌
    直接的に金魚を描いた俳句や短歌もいくつか存在します。特に、金魚の色や泳ぎ方に対して「風雅」や「美しさ」を表現するために、金魚を題材にしたものが多く、金魚が持つ優雅さや静かな動きが、自然や風雅に通じるものとして詠まれました。

「うらやまし 浮世の北を よそにして」松尾芭蕉(『笈の小文』より)

松尾芭蕉:解説>金沢の兼六園近くの池に泳ぐ鯉を見て詠んだとされ、「世の中の喧騒をよそに、悠々と泳ぐ鯉がうらやましい」という気持ちが込められています。

「金魚玉 月もゆらゆら 動きけり」正岡子規

正岡子規:解説> 金魚鉢の水面に映る月が、金魚の動きに合わせてゆらゆら揺れる様子を詠んだ句。視覚的な美しさと、静かな時間の流れが感じられます。

 

世界の動物セラピー図鑑:癒しと治療で読み解くペットのウェルネス最前線

動物と人が、互いに癒し合う時代へ。心と体、どちらも整える“ウェルネス”のかたち。

動物たちは、ただそばにいるだけで私たちの心を癒してくれる存在です。 その力を活かした「ペットセラピー(アニマルセラピー)」は、医療や福祉の現場だけでなく、日常の暮らしの中でも注目されるようになってきました。

たとえば、犬や猫と触れ合うことで、ストレスホルモンが減少したり、血圧が安定したりするという研究もあります。 また、認知症の高齢者の方が、動物とのふれあいを通じて表情を取り戻したという話もよく耳にします。

私自身は獣医ではありませんが、鍼灸師として「触れること/寄り添うこと」の大切さを感じる時があります。 動物たちとの関係も、まさに“触れることで生まれる癒し”の1つなのかもしれません。

最近では、ペットのためのマッサージやアロマ、音楽療法なども広まりつつあり、まさに“動物のウェルネス”という考え方が根づき始めています。 これは、単に「病気を治す」だけでなく、「心地よく生きる」ことを大切にする、東洋医学の考え方にも通じるものがあります。

そして何より、ペットの健康を気づかう時間は、飼い主自身の心を整える時間にもなります。 動物と人が、お互いを癒し合いながら共に生きる。 そんな関係こそが、これからのウェルネスのかたちなのかもしれませんね。

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1】癒しのアプローチ:心をほぐす動物セラピー

動物たちの心を癒すことを目的としたセラピーは、近年ますます注目を集めています。これらの療法は、身体的な治療というよりも、ストレスの軽減や情緒の安定、そして人と動物の絆を深めることに重きを置いています。ここでは、世界各地で実践されているユニークな癒しのアプローチをご紹介します。

<1-1>アニマル・アロマセラピー(イギリスなど)  

アニマル・アロマセラピーは、1990年代にイギリスを中心に広まり始めた比較的新しいアプローチです。人間のアロマセラピーの知見を応用し、犬や猫のストレスを和らげるために精油を使用します。特に保護施設や動物病院で導入されており、ラベンダーやカモミールといったリラックス効果の高い香りが人気です。

現在ではアメリカ、カナダ、オーストラリアなどでも広く取り入れられており、ペット用アロマ製品の市場も拡大しています。ただし、動物の嗅覚は非常に敏感なため、専門家の指導のもとで行うことが推奨されています。

【動画】ペットのためのエッセンシャルオイル:安全?それとも有毒?ジョーンズ博士が選ぶTOP7

 

<1-2>音楽療法アメリカ・ドイツなど)

動物に音楽を聴かせるという発想は、2000年代初頭にアメリカの動物行動学者たちによって研究が進められました。特にクラシック音楽や自然音が、犬や馬の心拍数を安定させ、落ち着きをもたらすことが分かっています。

ドイツでは馬の厩舎でバッハやモーツァルトを流す施設もあり、音楽によって馬の不安行動が減少したという報告もあります。アメリカでは保護犬のケアに音楽を取り入れる施設が増えており、YouTubeなどでも「犬用音楽チャンネル」が人気を集めています。

【動画】Music for Horses. Calming and relaxation music for horses!

<1-3>動物用ヨガ「ドガ」(アメリカ)

「ドガ(Doga)」は、2000年代初頭にアメリカ・ニューヨークで誕生したユニークなセラピーです。飼い主と犬が一緒にヨガを行うことで、心身のリラックスと絆の強化を目指します。ポーズや呼吸法を通じて、犬も自然と落ち着いた状態になるとされています。

現在ではカナダ、イギリス、日本などにも広がっており、都市部を中心に「ドガクラス」が開催されています。SNSでも「#doga」の投稿が増えており、愛犬家の間で人気のアクティビティとなっています。

【動画】ドッグヨガクラス:DOGA

<1-4>キャット・メディテーションルーム(アメリカ・オランダ)

猫のための瞑想空間は、2010年代にアメリカの保護施設で始まりました。アロマやヒーリング音楽が流れる静かな部屋で、猫たちが安心して過ごせるように設計されています。特にストレスを抱えた保護猫に効果があり、落ち着いた環境が新しい家族との出会いを後押ししているそうです。

オランダでは、猫カフェと連携したメディテーションルームも登場しており、訪問者が猫と共に静かな時間を過ごすことで、双方に癒しをもたらしています。

<1-5>馬の森林浴(日本・ドイツなど)

「馬の森林浴」は、日本の北海道やドイツのバイエルン地方など、自然豊かな地域で行われているセラピーです。人間の森林浴と同様に、馬を森の中でゆっくりと歩かせることで、ストレスを軽減し、心拍数を安定させる効果があるとされています。

この療法は、競走馬やセラピーホースのメンタルケアとしても注目されており、特にドイツでは獣医師と連携したプログラムが展開されています。日本でも、乗馬クラブや動物介在療法の一環として導入が進んでいます。

2】 治療のアプローチ:体を整える動物療法

動物たちの身体の不調やリハビリ、健康維持を目的とした療法は、近年ますます専門性を高めています。ここでは、医療的な視点から発展してきた、世界のユニークな治療アプローチをご紹介します。

<2-1>鳥のための光療法(北欧)  

北欧では、冬になると日照時間が極端に短くなり、人間だけでなく動物たちの体内リズムにも影響を及ぼします。特にオウムやカナリアなどの鳥類は、日光に敏感で、光のリズムが乱れると食欲が落ちたり、羽づくろいをしなくなったりすることがあります。

このような問題に対応するため、北欧諸国では2000年代から「光療法」が導入され始めました。太陽光に近いスペクトルを持つ人工ライトを使い、鳥たちの生活リズムを整えることで、健康を維持するという方法です。現在では、家庭の飼育環境だけでなく、動物園や鳥専門の保護施設でも広く活用されています。

👉【動画】Scandinavian Light Therapy – Relax with Colorful Budgies 

<2-2>リハビリ用水中トレッドミルスウェーデン・日本など)  

水中トレッドミルは、もともと人間のリハビリ用として開発された技術ですが、2000年代以降、動物医療にも応用されるようになりました。特にスウェーデンや日本では、犬や馬のリハビリに積極的に取り入れられています。

水の浮力によって関節への負担を軽減しながら、筋力や可動域を回復させることができるため、手術後の回復期や高齢動物の運動療法として注目されています。日本では、動物病院やリハビリ専門施設に導入されており、都市部を中心に利用が広がっています。

👉【動画】Hydrotherapy Dog underwater treadmill MeCan Medical

<2-3>アニマル・カイロプラクティックアメリカ・ドイツなど)

これは背骨や関節の歪みを整える療法で、特に運動量の多い犬や馬に使われています。 例えば、アジリティ競技に出る犬たちは、ジャンプや急な方向転換で体に負担がかかるから、定期的にカイロで整えてあげるとパフォーマンスもアップするそう。

アニマル・カイロプラクティックは、1990年代にアメリカで発展し、現在ではドイツやオーストラリアなどでも専門家による施術が行われています。背骨や関節の歪みを調整することで、神経系や筋肉のバランスを整えることを目的としています。

特にアジリティ競技に出場する犬や、運動量の多い馬に対しては、定期的な施術がパフォーマンスの向上やケガの予防につながるとされています。アメリカでは、獣医師と連携したカイロプラクターの資格制度も整備されており、専門性の高いケアが提供されています。

▶【関連記事】動物にも東洋医学を:家畜・ペット・競技動物に広がる鍼灸ケアの世界

👉【動画】Animals Chiropractic

👉【動画】猫のカイロプラクティック

 

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東洋医学のアプローチにご興味がある方は、

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「動物にも東洋医学を:家畜・ペット・競技動物に広がる鍼灸ケアの世界」

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動物にも東洋医学を:家畜・ペット・競技動物に広がる鍼灸ケアの世界

動物鍼灸とは?

東洋医学の視点から見る、家畜とペットのケア〜

私たち人間と同じように、動物たちにも「気・血・水」の流れがあると東洋医学では考えられています。このバランスが崩れることで、痛みや不調、行動の変化が現れる――そうした視点に基づいて行われるのが「動物鍼灸」です。

鍼灸といえば人間の治療を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は動物にも「経絡」や「ツボ」が存在し、古くから家畜を中心に応用されてきました。特に中国では、馬や牛などの家畜に対する鍼灸治療の歴史が非常に古く、なんと数千年以上も前から行われていたと言われています。

私は鍼灸師として日々人の身体と向き合っていますが、獣医師ではないため、動物に対する専門的な治療経験や知識はありません。ただ、動物に関する鍼灸の映像や情報を目にするたびに、「東洋医学の可能性は人間だけにとどまらないんだな」と感じさせられます。

【1章】家畜から始まった動物鍼灸の歴史

 

<1-1>中国における家畜鍼灸

中国では、馬・牛・豚・鶏・鴨といった家畜に対し、鍼灸を含む伝統的な獣医療が発展してきました。特に馬は、農耕や戦、移動手段として極めて重要な存在だったため、ケガや疲労、消化不良などに対するケアが重視されてきました。

現代においても、競技馬のコンディション調整や、薬物使用を極力避けたいケースにおいて、補完的な選択肢として鍼灸が用いられることがあります。

👉【動画】真の達人は、動物にも鍼を打てる!象、豚、馬、ウサギ、犬

📌中国の動物鍼灸における主な考え方(流派的傾向)

  • 中医獣医学的アプローチ
     気・血・陰陽・五行といった人の中医学理論を動物に応用
  • 中西医結合型アプローチ
     西洋獣医学の診断をベースに、鍼灸を補助的に活用
  • 経絡重視型
     経絡(ツボの流れ)を中心に診断・治療を行う。特に馬や犬の運動器疾患に強い。

<1-2> 日本での家畜への鍼灸利用例

日本では昭和中期頃、農村部で「牛の乳量増加」や「分娩後の体調回復」を目的に、鍼灸的手法が試みられていた記録があります。現在では大規模に行われることは少ないものの、一部の酪農家や研究分野では、ストレス軽減や繁殖率向上の補助として注目されています。

<1-3>各国におけるペット鍼灸の広がりと背景

 

国・地域 主な対象 法的立場・資格 特徴・背景
🇨🇳 中国 家畜→ペット 国家資格(中医獣医学) 古代からの伝統あり。近年は都市部でペット鍼灸が増加中。
🇯🇵 日本 ペット(犬・猫) 獣医師のみ施術可 高齢ペットのQOL向上目的で注目。都市部に専門クリニックも。
🇺🇸 アメリ 犬・猫・馬 州ごとに異なる。獣医師+認定資格が必要 リハビリや疼痛管理に活用。スポーツドッグや老犬ケアに普及。
🇩🇪 ドイツ 犬・猫 獣医師+自然療法士 ホメオパシーやハーブ療法と組み合わせるケースが多い。
🇦🇺 オーストラリア 犬・馬 獣医師 アジリティ犬や牧羊犬へのケアが進む。
🇰🇷 韓国 犬・猫 獣医師 韓医学とは別に、独自の動物鍼灸が発展中。

<1-4>動物鍼灸の教育と資格制度

動物鍼灸は国によって法的な扱いや教育制度が異なりますが、いずれも獣医師が中心となって施術することが基本とされています。私は獣医師ではないため、実際の現場での経験はありませんが、調べてみると興味深い制度がいくつか見つかりました。

たとえばアメリカでは、「IVAS(International Veterinary Acupuncture Society/国際獣医鍼灸学会)」という団体があり、獣医師向けに専門的な鍼灸教育を行っています。修了者には認定資格が与えられ、リハビリや疼痛管理の一環として動物鍼灸を行うことができます。

日本でも、いくつかの獣医系大学や研修機関で、東洋医学鍼灸に関する講義や実習が行われており、高齢動物や慢性疾患への補完的アプローチとして注目されています。

【2】競技に関わる動物たちと鍼灸

競走馬やアジリティ犬は、「運動能力の維持・向上」が主目的で、一般的なペットケアや「家畜の生産性向上」とは少し目的が異なります。

<2-1>スポーツドッグの鍼灸

オーストラリアでは、アジリティと呼ばれる競技に出場する犬や、牧羊犬、警察犬など、日常的に高い運動能力を求められる犬が多く活躍しています。

アジリティというのは、ジャンプやトンネルなどの障害物を走り抜ける大会に出場する競技犬のことです。

こうした犬たちは、少しのコンディションの差がパフォーマンスに大きく影響します。そのため、筋肉の張りを整えたり、疲労を抜いたりする目的で、鍼灸が取り入れられることもあるようです。

<2-2>競走馬と鍼灸治療

ドーピングの厳しいチェックがある競走馬の世界では近年、鍼灸やマッサージといった東洋医学的なアプローチが注目されていて、いくつかの国ではすでに積極的に取り入れられています。

🇯🇵 日本 日本では、JRA日本中央競馬会)に登録された獣医師の中にも、鍼灸やマッサージを専門とする人がいて、特に疲労回復や筋肉のこわばりの緩和、レース後のケアとして使われています。

🇺🇸 アメリ アメリカでは「Equine Acupuncture(馬の鍼治療)」が獣医学の一分野として認められていて、認定資格を持つ獣医師が施術しています。特にカリフォルニアやケンタッキーなど競馬が盛んな州では、レース前後のコンディショニングとして利用されていることが多いようです。

🇦🇺 オーストラリア オーストラリアでも、競走馬のパフォーマンス向上や怪我の予防を目的に、鍼灸やマッサージが取り入れられていいます。特に「Equine Bodywork(馬のボディワーク)」という分野が発展していて、専門のセラピストがチームに加わっている厩舎もあるとか。

📌 どんな効果が期待される?

  • 筋肉の緊張を和らげる
  • 血流やリンパの流れを促進
  • 精神的なリラックス効果
  • 怪我の予防や回復のサポート

【関連記事】世界の動物セラピー図鑑:癒しと治療で読み解くペットのウェルネス最前線

【3】ペット医療として広がる動物鍼灸

一方で、ペットに対する鍼灸治療は比較的新しい分野です。中国では長らく「ペットを飼うことは贅沢」とされていたため、ペットへの鍼灸はあまり行われてきませんでした。しかし、20世紀に入り、アメリカを中心にペット鍼灸の研究が進み、日本でも徐々に広がりを見せています。

特に都市部では、自然に触れる機会が少ないペットたちがストレスを抱えやすく、それに起因する体調不良や行動異常が増えていると言われています。そんな中、鍼灸は副作用が少なく、自然治癒力を高める手段として注目されています。

犬や猫、ウサギなどに対しても、体の状態に合わせてツボを選び、細い鍼を用いて施術が行われます。

👉【犬の動画1】犬に対する鍼治療の様子

👉【犬の動画2】犬の病気に対する鍼灸治療

👉【猫の動画1】猫に対する鍼治療の様子

👉【猫の動画2】猫の鍼灸治療

<3-1> 高齢ペットへの鍼灸と「やさしいケア」

高齢の犬や猫に対して、鍼灸は以下のような目的で用いられることがあります。

  • 関節炎・腰痛の緩和
  • 食欲や消化機能のサポート
  • 認知機能低下への補助的ケア
  • 不安・緊張の緩和

ここで重要なのは、**「治す」よりも「生活の質(QOL)を支える」**という視点です。

冷えは体質から整える──世界のあったか料理に学ぶ、食養生の基本

 

スープ・鍋・煮込みで内側から温める冷え対策

冷え体質の背景には、
体質・生活習慣・年齢・気候など、さまざまな要因があります。
東洋医学では「冷え」は単なる寒さではなく、
気血の巡りが悪い・臓腑の働きが低下している・エネルギー不足などのサインとして捉えられてきました。

寒さの厳しい地域で生まれた鍋やスープ、シチューには、
長い歴史の中で育まれてきた
「身体を守るための料理」があります。

本記事では、そうした世界のあったか料理を
冷え体質別の食養生という視点から紹介します。

 

 

【第1章】冷え体質チェック

あなたの冷えはどのタイプ?

YES / NOで直感的に答えてください。

A|腸・消化型の冷え

  • 冷たい飲み物でお腹を壊しやすい
  • 便秘や下痢を繰り返しやすい
  • 食後にお腹が冷える感じがする

👉 YESが2つ以上
→ 腸を温めるタイプ

B|エネルギー不足型の冷え(気虚

  • 冬でなくても手足が冷たい
  • 疲れやすく、声が小さくなりがち
  • 食べてもすぐお腹が空く or 逆に食欲がない

👉 YESが2つ以上
→ 体力・エネルギー補給タイプ

C|巡り不足型の冷え(血の滞り)

  • 肩こり・首こりが慢性化している
  • 生理痛・頭痛が起きやすい
  • 温めると楽になるが、すぐ戻る

👉 YESが2つ以上
→ 血行促進タイプ

D|深部冷え型(腎の冷え)

  • 下半身が特に冷える
  • 年齢とともに冷えが悪化している
  • 朝がつらく、回復に時間がかかる

👉 YESが2つ以上
→ 深部から温めるタイプ

✍ 【冷え体質タイプ別】養生まとめ表

複数タイプに当てはまることも珍しくありません。

冷えタイプ 東洋医学的背景 主な不調 食養生の軸 向く料理
腸・消化型 脾胃の冷え・弱り 下痢・便秘・腹部冷感 腸を温め、消化を助ける 穀物入りスープ、発酵スープ
エネルギー不足型(気虚 気血不足 疲労感、手足の冷え 滋養・エネルギー補給 骨付き肉スープ、脂のある煮込み
巡り不足型(血滞) 血行不良 肩こり、頭痛、生理痛 巡りを促進 ナッツ・香味野菜・酸味
深部冷え型(腎虚 腎陽不足 下半身冷え、回復力低下 深部から温める 羊肉・生姜・滋養スープ

 

第2章 鍋・スープ・シチューの違いと食養生としての役割

 

鍋|温め続ける料理

  • 加熱しながら食べる料理
  • 冷えが強い人向け
  • 冬・疲労時に◎

スープ|内臓を休ませる料理

  • 液体を主役として飲む料理
  • 消化が良い
  • 回復期・虚弱体質向け
  • 毎日の養生に

シチュー(煮込み)|滋養を蓄える料理

  • 栄養が濃い(具材と栄養を濃縮した料理)
  • 脂質・穀類が多く、エネルギー補給向き
  • 冷え+疲労+消耗向け
  • 寒冷地の主食的存在

【3】冷え体質別・世界のあったかレシピ集
──スープ・鍋・煮込みで内側から温める

 

<3-1> 腸を温めたい人に(北欧・東欧)

 

🌿 カレリアン・スープ(フィンランド東部)

👉 腸を温めるスープ

◎【養生ポイント】
腸を温め、消化を助ける

◎【向く人】
・お腹の冷えを感じやすい
・冷たい飲食で不調が出やすい

◎【控えたい人】
・乳製品で不調が出やすい場合は量を調整

【材料(2杯分)】
・ライ麦(押し麦で代用可)…大さじ2
・じゃがいも …1個
・にんじん …1/2本
・玉ねぎ …1/4個
・牛乳または豆乳 …200ml
・水 …200ml
・塩 …少々

【作り方】
1. 根菜を小さく切り、水と麦で柔らかく煮る
2. 牛乳(豆乳)を加えて温め、塩で調える

🔽【動画】Finnish Karelian Stew Recipe

 

🌿 ルーマニア山岳地帯のザワークラウトと豚肉の煮込み
(現地では Varză acră cu porc :ヴァルザ・アクラ・ク・ポルクと呼ばれる)

👉 発酵×温熱

【材料】
・ザワークラウト(なければ酸味のある漬物)…50g
・豚肉または鶏肉 …80g
・玉ねぎ …1/4個
・水 …400ml
・黒胡椒 …少々

【作り方】
1. 肉と玉ねぎを煮る
2. ザワークラウトを加えて10分温める
3. 酸味と塩気で調整

🔽【動画】Ciorba de varza acra cu afumatura - reteta ardeleneasca sau ungureasca de varza murata

<3-2>骨・エネルギー不足を感じる人に(中央アジア

 

🌿 シュルパ(Shurpa)

👉 骨から滋養を取るスープ

【養生ポイント】
長時間煮込んだ肉と骨のエキスで、
気血を補い、身体の芯から温める。
消耗しやすい体質・慢性的な冷えに向く。

【向く人】
・疲れやすく、冷えると回復に時間がかかる
・体力不足・虚弱体質を感じる
・食べても力がつかない感覚がある

【控えたい人】
・脂っこいものが苦手な人は肉の量を控えめに
・消化力が弱い場合は少量から

【材料】
・羊肉(なければ牛すね)…100g
・大根またはかぶ …適量
・にんじん …1/3本
・水 …600ml
・塩 …少々

【作り方】
1. 肉と水を弱火で30分以上煮る
2. 野菜を加え、柔らかくなるまで煮る
3. 塩のみで味付け

🔽【動画】И первая шурпа!

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極寒の地で愛される“冬の定番”ホットドリンク特集

凍える寒さを乗り切る、世界のホットドリンク

冬が深まると、世界中の人々は寒さをしのぐためにさまざまな“あったかドリンク”を手に取ります。しかし、その内容は地域によって驚くほど違い、気候・文化・歴史が色濃く反映されています。特に、極寒の地で生きる人々の知恵が詰まった飲み物は、日本ではあまり知られていないものも多く、「こんな材料を入れるの!?」と驚かされることも。本記事では、世界で最も寒い居住地域ベスト10から、各国の人気ホットドリンク、そして日本ではほとんど知られていないユニークな冬の飲み物まで、読みやすくまとめてご紹介します。

 

【1】 世界の極寒居住地 TOP10

 

1|オイミャコン(ロシア) — 最低気温:−67.7℃

“世界一寒い村”。冬は−50℃以下が普通。

2|ベルホヤンスク(ロシア) — 最低気温:−67.6℃

極端な大陸性気候で、年間の寒暖差が最大級。

3|ノリリスク(ロシア) — 最低気温:記録多く変動(極寒)

北極圏近くの巨大工業都市。冬は−40℃前後が続く。

4|ヤクーツク(ロシア) — 最低気温:−48℃

「世界一寒い大都市」。冬は−40℃台が当たり前。

5|ウランバートル(モンゴル) — 最低気温:−49℃

世界で最も寒い首都。乾燥と寒さのダブルパンチ。

6|イカルイット(カナダ) — 最低気温:極地レベル

ツンドラ気候のため冬は長く、体感温度は常に極寒。

7|バロウ(ウトキアグヴィク/アメリカ・アラスカ) — 最低気温:極地級

北極圏特有の“極夜”が続き、日照ゼロの期間あり。

8|シスミュート(グリーンランド) — 最低気温:極地級

氷に閉ざされる北極圏の町。強風も厳しい。

9|ムルマンスク(ロシア) — 最低気温:厳寒地域

北極圏最大の都市で、軍港としても知られる。

10|レイキャビクアイスランド) — 最低気温:寒冷だが比較的温暖

地熱の影響もあり極寒の割に住みやすい面も。

【2】各地域の冬の定番ホットドリンク

 

国・地域 飲み物名 主な材料 効果・特徴
アイルランド アイリッシュコーヒー コーヒー+ウイスキー+クリーム 体を温める・疲労回復
ドイツ/北欧 グリューワイン ホットワイン+スパイス 血行促進・抗菌作用
アメリカ/カナダ エッグノッグ 卵+牛乳+砂糖+スパイス 栄養補給・免疫力サポート
メキシコ メキシカンホットチョコレート カカオ+シナモン+チリ 抗酸化作用・体を温める
インド チャイ スパイスミルクティー 消化促進・抗炎症作用
ロシア/東欧 スビテン 蜂蜜+スパイス+ハーブ 抗菌作用・風邪予防
チベット/ネパール バター茶 茶葉+バター+塩 高カロリーで寒冷地に強い

 

(1) 北欧 : ノルウェーフィンランド

 

📌グリューワイン

赤ワインにシナモンやクローブなどのスパイスを加えて温める北欧の冬定番ホットワイン
クリスマスマーケットや冬祭りには欠かせない存在。効能:免疫力アップ、抗酸化作用

📌ベリー系ハーブティー

ブルーベリー、リンゴンベリーなどを煮出して作る、北欧家庭で親しまれる素朴なハーブティー
ベリーの酸味と香りが楽しめる、冬の“おうち味”。冬の健康ドリンクとして大人気。
効能:免疫力アップ、抗酸化作用

(2) カナダ : ユーコン・スナグ

 

📌ホットアップルサイダー

  • 材料:リンゴジュース+シナモン+クローブ
  • 寒い季節の家庭定番で、子供から大人まで幅広く親しまれる一杯。

効能:

  • ビタミンC補給
  • 血行促進
  • 風邪予防

📌カナディアンコーヒー

  • 材料:コーヒー+メープルシロップ
  • メープルの自然な甘さを生かした、寒冷地でのエネルギー補給にもなるホットドリンク。

効能:

  • 疲労回復
  • 抗酸化作用

(3) バター茶モンゴル/チベット高原

茶葉にバターと塩を加えた高カロリー飲料。
寒冷地でのエネルギー源として欠かせず、遊牧民の生活に深く根付く“日常のお茶”。

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