はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と五十五
「ナゼ ヒトツノ カラマリニ ナレナイ?」
ん!?
んあっ、あ~、ひょ、ひょっとすると。
たとえば、圧倒的に不利な立場である非正規雇用のピーポーたち、あるいはアルバイターたち、は、実は、自分たちが圧倒的な数を誇る大票田であることに気付いていないのかもしれない。
「『票』やら『集票』やらが気になって仕方がない、どころか、愛してやまないあの人たちに、一泡も二泡も吹かすことができるほどの『数』を誇る、非正規雇用、アルバイター、たちが、ナゼ、ズッと、軽視され続けているのか、不利な立場のままであるのか。ソコのところが考えればか考えるほど不思議でならないのですが」
「おっ、いいトコ突いてくるね~」
いいトコ、突いているんだ。
なんか、嬉しい。
「おそらく、たとえ総数は多くても、一つの大きな塊(カタマリ)になれない、故に、どうしても、軽んじられてしまうんじゃねえのかな~」
たしかに。
弱者は『個』では闘えない。玉砕に意味などないのである。
「では、どうして、一つの塊になれないのでしょう」
「ん~・・・、この国の伝統なのか、はたまた、この国のピーポーたち独自の習性なのか、それとも、教育の賜物(タマモノ)なのか」
伝統?
習性?
教育の、賜物?
「だから、闘わない。モノ申さない。耐え忍ぶ。わけですか」
「そう。闘わず、モノ申さず、耐え忍び、そして、従順たれ、の、『美学』。みたいなのが、知らないうちに、我々一般ピーポーたちの心の中に刷り込まれてしまっているのかもしれねえな」
なんと。
だから、デモに参加している人たちに対しても冷たい目を向けがち、なのか。
「一つの塊になれば闘える。自分たちに目を向けさせるコトができる。のに、ソレができない、ソレをしようともしない、どころか、ソレをバカにさえする、悲劇」
「その悲劇も、あの人たちにとっては好都合な悲劇。むしろ、ウハウハの『喜劇』なんだろうよ」
ウハウハの喜劇?
ウハウハの、喜劇、か~。
・・・かも、しれないな。
(つづく)