『都市伝説解体センター』 ネット叩きしたいだけの薄っぺらいライト文芸

 まあどっかで見たような話とオチが連続し、最後の展開も安易に読めてしまう。
 ただ、そこだけ力入れたデザインと演出で、薄い話しを誤魔化してるって感じ。
 こんな話しをありがたがるのはガキとアホくらい。
 話の内容は、ひたすらネット叩きしたいテレビドラマなどでよく見るような類のもの。
 ネット民はカス、でもそのネット民に評判悪い奴らもみんなカスという、屑ネット民=マスゴミ工作員だと分かっていなければ、何が言いたいのか意味不明だろうが、それが分かっていれば、どれだけ悪質なことをしてるか良く分かるだろう。
 ネット叩きするために屑工作員に暴れさせ、でもそのクズ工作員に叩かせたい相手も屑だと言いたいだけ。
 「イジメられた方にも問題があるんだー!」って言ってるのと同じ。
 それはそうと、ネット自体もネガキャンしたいから、「俺たちが雇って暴れさせてる虐めっ子たちも叩いて良いよ」ってわけだ。
 連中は真の上級国民だから、上級国民叩きしてる奴らは潰したいけど、それでいて、そういう奴らを扇動して、いつでも都合の悪い有力者を潰せるようにもしておきたい。
 それでこういう、糞みたいな話しを書いて、上級国民叩きはするなーと喚きながら、一部の権力者だけはボロクソに描く。
 だからこういう屑どもに扇動された衆愚なのか、そういうフリをしている工作員かは、上級国民がーと叩いても、いつも特定の有力者しか叩かず、システム自体には何も手を付けないから、そいつが潰れても、結局何も変わらない。
 ただ真の権力者たちにとって邪魔な奴が一人消えて、むしろ、より支配が強まる。

 


 昨今でも、サントリーの社長は、明らかに冤罪臭いアプリで捜査された。
 検査でも薬物反応は出なかったのに、辞任しただけで有罪扱いされ、ここぞとばかりにジャニーズに圧力をかけたとマスゴミは騒いで、ジャニーズ擁護を展開している。
 なら、検査からも逃げて海外逃亡した成宮とか完全にアウトじゃねーかという話しなのに、そっちは冤罪だのねるねるねるねだの喚いてる奴らが叩いてるのだ。
 誤認逮捕どころか、捜査されただけで犯人扱いなんてのは、本作の黒幕の兄の扱いより酷い。
 まあ、あの社長は、圧力かけたふりして、実際は平気でイケメンアイドルは雇っているという話しもあるし、なぜか潔白を証明したのに、即引退して、その後に音沙汰もないので、事件自体が、わざとやられ役してイケメンアイドル叩くなとやりたいだけの自作自演の可能性も疑ってしまうが。
 捜査されただけで逮捕さえされてないので、有罪同然に決めつけて叩いてる奴らは、間違いなく開示可能に思えるが。

 


 作中で、唯一SNSに叩かれて冤罪だったのは、黒幕の兄だけで、そいつの復讐ということになっているが、その事件の場合だけ、警察が事件を隠蔽し、マスゴミが冤罪を煽りまくった結果の冤罪なので、なぜネットにだけ復讐が向いているのかも意味不明である。
 作中の描写を考察すると、警察が隠蔽せず、マスゴミが冤罪を煽らない限り、ネット民は正しい相手だけを叩いて、忠告すべきことを忠告していただけということになるのだが。
 そのくせ、警察だけはまともなキャラを出し、全ての警察が悪いんじゃないですよって描写をし(作品に疑問を抱いた人のためのヘイト・スケープゴートだろうが)、マスゴミに至っては、存在感を消して議題にも上がらないようにし、正しかったネット民だけをボロクソに描いている。
 もちろん、「我々が本当に有罪で、情弱を騙そうとしてるだけの時も叩くなー! 情弱に忠告するなー!」ということが言いたいがためだろうが、「実はネット民の皆さんを良く描いてるんですよ」という言い訳のためかもしれない。
 なんにせよ、連中は、自分たちの時は、一部の人間に非があっただけと言い訳して、ジャニーズみたいに、一緒に共犯していた責任さえ逃れるのに、自分らは、一部のネット民どころか、自分たちの工作員を暴れさせただけで、他の一般人も悪者にする。
 マスゴミの一部の人間だけが悪いってだけでは、もう済ましてはいけないのだ。
 作中では、「悪者はこうあって欲しいという願望」とか言って、ネット民を一括りに叩いているが、その言葉が当てはまるのは、あんな画一的なSNSの描き方をした作者自身だけだ。
 「歪んだ正義感」は、まさにこの作者が持ってるものに過ぎない。
 それこそ、「ユダヤ人」や「共産主義者」や「ブルジョワインテリゲンチャ」を一緒くたに悪者にし、虐殺した連中とそっくりの。
 こいつは、それが「ネット民」に向かってるだけ。
 結局のところ、まともな観察や推理から得たリアリズムではなく、自分の欠点や悪意を、叩きたい対象に投射しているだけの、下らないプロパガンダだ。

 


 しかし、今時こんな『ファイトクラブ』の一億番煎じみたいなもので喜ぶ連中ってなんだろう。
 そんだけ、マスゴミの愚民化工作が浸透してるんだろう。
 そもそも『ファイトクラブ』だって、先進的な演出と時代のニーズに合いまくったことを別にすれば、けっこう安直で即物的な話だ。
 それを劣化コピーされても。

 連作短編が実は繋がってたパターンは、さして珍しくもない上に、その欠点も露骨に出ている。
 無理やり事件を繋げる、作り上げるために、それぞれの話しは薄っぺらかったり強引になりやすいのだ。
 本作においては、なんで復讐の相手が揃いも揃ってセンターに依頼しに来てんだというご都合過ぎる前提がある上、そうじゃなかったツアーも、犯人との関係が曖昧に濁され、それ以前からの付き合いだったら、何で二人きりの時とかもっと踏み込んだ会話しなかったのかとか疑問点が残る。

 最初の事件では、共犯者に依頼させたのだと考えられるが、他は全て、わざと事件を起こしてはいるが、犯人たちは自分で依頼している。

 ツアーの事件では、センター長が何をしたかったのかもよく分からない。
 被害者遺族をけしかけて、無関係な人を巻き込んで危険に晒し、最終的には自分が潜入してそれを止める?
 ガスマスクをしていて顔が分からなかったから、誘き出したってことなのか?
 だとすると、顔を確認した時点で、主人公には犯人だと分かるわけで、それ以上あんな茶番を続ける必要なかったことになるが。
 まあそれは良いとして、他にも、センター長がアザミにだけ姿を見せてたのに、他の奴らは誰も疑問に思わなかったのかとか、廃墟だったということは、一切人の出入りがなかったわけで、生活必需品を運びこむ人間さえいなかったのだから、外から監視していただけで直ぐおかしいと分かるだろとか、電話のシーンの不自然さとか、最初の事件で、ビルからジャスミンと二人きりでトラックに乗って帰っている時に何で配信できたのかとか、あざみには公安の監視がついてたはずなのに、何であんな犯行できたのかとか、全ては超人的ハッカーが一人でやりましたという下らなさとか、ツッコミポイントはあまりに多い。
 もし超人ハッカーが一人で、警察のサーバ使っただけであんなことが出来るなら、警察はいつでもあんなことが出来ることになるが。
 こういう話しを見ると、冨野が「それまでの巨大ロボットものは、天才博士が一人で全て作りましたという下らない子供だましばかりだったのを、ガンダムでは、リアルな組織と軍隊で開発され、運営されているという描写をちゃんと出しただけで別物になった」という話しを思い出さずにいられない。