北海道新聞2025年8月6日「おくやみ」欄の岩見沢の項に「木村多伎子さん(97)」とあるのは、国展版画部と道展で長く活躍した木版画家の木村多伎子さんと思われます。住所は札幌市豊平区となっていますが、これは入居していた施設の住所でしょう。
国展サイトの関連ページ( https://kokuten.com/3701 =大量の図版があります)などによると木村さんは1927年(昭和2年)十勝の足寄生まれ(旭川生まれとする資料もあります)。札幌市立高女(現在の札幌東高)卒。道展の大ベテラン(といっても木村さんよりは年下)の中谷有逸さんに師事しました。
木村さんは木版画家です。海外渡航歴は多く、とりわけインドのベナレスには何度も足を運んでいます。ガンジスの河口に集まる女性たちの群像を大きな絵巻のような画面に表現した一連の作品は、人間たちへの深いまなざしが特徴的で、代表的なシリーズといえましょう。道立近代美術館にも左右4メートルに及ぶ大作「ベナレスの地」が収蔵されています。
ほかに着物姿の女性たちを描いたはなやかな作品もあります。晩年は札幌の施設に入り、版の制作はかなわないながらも、モノクロームのドローイングを精力的に制作していました。昨年の国展にも出品していました。
道内の版画家は、全国的な団体公募展に関しては、版画展(日本版画協会展)や春陽展への出品者が伝統的に多かった中で、国展への数少ない出品者として木村さんが踏ん張った結果、いまでは国展が相当数の出品者を擁するまでになっています。2006年には国展版画部の北海道出品者によるニューヨーク展も行いました。
道展では1971年に道立美術館長賞(彩美堂賞)を受賞し、73年に会友に、78年に会員に推挙されました。ほかにも北海道版画協会展にも出品していました。
関連書籍に『木村多伎子版画集』のほか、響文社から「北のアーティストドキュメント」シリーズの一冊として『木村多伎子 木版画家』が出ています。
北海道の女性版画家の草分けといっていい存在でした。ご冥福をお祈りします。
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参考 : 木村多伎子さんが版画を寄贈(足寄町のウェブサイト)