いまさらですが、自分のうかつさを反省しています。
恥を忍んで正直に書くと、孫田さんのスキャナーによる植物の作品について、わりと手軽なものだと誤解していたのです。よく考えると、これはかなりたいへんな作業ではないかということに気がついたのです。

たとえばこれはナナカマドです。
この作品の中央部に三つ並んでいる赤い実は街路樹でおなじみですが、それ以外の花や実は、気にとめたことのない人も多いのではないでしょうか。
左端はつぼみ。左から2列目は、上が「複散房状花序」で下が花。3列目が果実。4列目は果実の断面で、上が横断面、下が縦断面(左)と種子(右)、5列目(右端)が実生(芽生え)です。
これだけそろえるのに、春から秋まで1年近くかかります。それぞれの部位を手に入れられる時季は限られています。しかも、植物に対する広汎な知識がないと、採集もおぼつかないことは、明らかです。
筆者のような初心者カメラ愛好者が、雪を載せた街路樹のナナカマドの実にレンズを向けて喜んでいるのとはわけが違い、この1枚を組み立てるまでには相当な苦心が必要なのです。

いずれも北海道では非常によく見られる樹種です。
シラカンバは木に雄と雌があり、にょろっと長いのは雄花です。公園や道端に落ちているのをしばしば見かけます。

右はすぐに分かった向きも多いでしょう。クリです。
右側にある堅果と実生(芽生え)、そのとなりの毬は、なじみがありますが、左側の花(尾状花序)や雄花、雌花を見ると、いかに自分が、ふだん木に注意して見ていないかを知らされるようです。
左はイタヤカエデです。

右はヤチダモ、そのとなりはハンノキで、どちらも湿った土地を好む木です。
その奥は、3種の植物をスキャンしたものが並んでいて、上から順にミヤマザクラ、オオカメノキ、タマゴケです。
ほかにコナラ、オニグルミ、ギョウジャニンニク、ドロノキがあり、クリとオニグルミが新作とのこと。「森も観る 森を測る」と題した、札幌芸術の森近辺の植生を調査して図示したものも掲示されています。ドロノキは会場奥に離れて展示してあるので、お見逃しなく。
花粉が飛散する瞬間をとらえたように見える作品は、そう見えるように花粉を散らしてスキャンしたそうで、こういうことが可能なのもスキャナー使用の大きなメリットだと感じました。
この会場は森に面して大きなガラス窓があり、孫田さんの作品はあたかも森とつながっているかのようです。面積のわりに壁の面積が小さいため、中央部にイーゼルのように材木を組み立てて作品を据え付けました。こういう展示方法や作品プリントには山岸靖司さんが力を発揮しています(案内状は畑江俊明さん)。光沢のないマットな用紙にプリントしています。
会期中は、会場の周辺に広がる森で、黒い森ガイドウォークも2度行われ、孫田さんが講師役となって木々を解説したそうです。
2025年5月5日(月・祝)~7日(水)、12日(月)~14日(水)午前10時半~午後3時半
作者 Instagram : @sats_s6713
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「植物細事記 -身近な木々の一年を辿るー」 (2019)
・北広島駅前もしくは福住駅バスターミナルから中央バス「広島線」に乗り「竹山」で降車、約680メートル、徒歩8分
※駐車場あり。札幌からは国道36号を恵庭・千歳方面に行き輪厚中央の三叉路(目印は「コーユーユニフォーム」)を左折し、道央道の上をまたいで道なりに行くと、左手に看板が見えてくるのですぐに右折、森の中の細い一本道をまっすぐ進み突き当たりです